11話 叙爵されるけど規模は小さいぜよ。
「じゃあ、フェリア。帰ろうか。」
「分かりました!ご主人様!」
後は、もと来た道を戻るだけの簡単なお仕事です。
さて、法術【水】の開発をしようか。
氷等の止、振動、幻惑。
この辺りだろうか?
じゃあ、先ずは止。
「水法・止」
違うらしいな。
なら、氷じゃなく水のままで、粒子運動を止める。
「水法・止」
おお!出来た。
「水法・振」
現れたのは鎚型の水。
柄は固定されている様で、普通に持てる。
木にぶつけると、
「うおっ!」
木が爆散する。
「水法・幻」
水を蒸発、霧化させ、光の屈折を変えて、実像を生み出す。
完璧に再現されているが、光なので勿論触れる事は出来ない。
まあ、こんな所じゃないだろうか。
◆◇◆
「あれ、カリウルさん?」
「あっ、タツヤ殿!……そちらの女性は?」
「オレのな─「一番奴隷のフェリアです。ご主人様には大切にされております。」かまだよ……。」
何故かフェリアとカリウルさん(騎士団の隊長さんで女性)が睨み合いを始め、聖女さんがこっちに熱っぽい視線を送ってくる件について。
……長いな。
「まあまあ、フェリア落ち着いて。それでカリウルさん、そちらの方は?」
「この方は、第二王女並びに聖女様です。」
「この方がかの有名なパトロンの聖女様ですか。その様な方がギルドにどんな用で?」
「はい。この前助けていただいた時にも伝えたように、叙爵するために王城に招待しに来ました。」
Oh……マジですか。
異世界に来てまで、公務員っすか。
いや、公務員って地味にブラックですからね?
「えっと、今からですか?」
「はい。勿論、服などはそのままで構いませんので、安心して下さい。」
まあ、固定収入が手に入ってくる様になると考えれば、悪くはないかな?
「では、いきましょうか。」
カリウルさんが馬車まで先導する。
馬車内は四人だと少し大きい位には広かった。
馬車は揺れが酷いものだと聞いていたが、意外とそうでもなかった。
どうやら風の魔石を使い、揺れを軽減しているらしい。
「近衛騎士団団長補佐、カリウル=リーディア。賓客をお連れしました。」
「入れ。」
そんな事を考えている内に、王様の居る部屋に着いた。
部屋の中には、いかにも王様然とした、男性が座っていた。
思ったよりも、室内は豪華絢爛と言った感じでは無く、質素剛健と言った感じだ。
男性も格好は王様然としているが、見るからに体は引き締まっていて、鍛えている事が分かる。
レベルも中々に高いようだ。
◆レイフォン=ディゼル=ステリア◆ 三十四歳 人族 男性
天職 魔法剣士(lv59) 二次職 王(lv23) 三次職 軽業師(lv67)
ね?強いでしょ?
いや、強すぎだから。
上級職二つ持ちの上、50超えって。
変態かよ。
「おお、中々強そうな奴じゃねえか!」
うん。一気に第一印象が崩れたよ。
「俺はレイフォン=ディゼル=ステリア。この国の王で、アリシアの父親をしている。」
聖女様ってアリシアって言う名前なんだ。
鑑定してなかったから、知らなかったよ。
「娘を助けてくれた、貴殿に子爵の爵位とアリシア=シャロン=ステリア、屋敷を与える。これが、貴族の証にもなる短剣だ。決して無くさないように。」
「はっ!」
うわぁ。面倒事が舞い込んでくるぅ。