忘却に沈む神話
“太古の昔、世界はただ混沌としていた
ただうつろうばかりの緩やかな世界。曖昧な世界”
“やがて現れた光と闇は、まだその境界線はなく
ときには光が闇の飲み込まれ、ときには闇が光に焼かれ失せ
けれど存在意義の相違ゆえ、その二つが交じり合うこともなく”
“光の眩耀、闇の冥暗
いつしかはっきりと分たれた二つに、命が灯る
後に、太陽神と常闇王と呼ばれる2対の神
世界が大きく動き出す”
“2対の神らの争いは、完全に分離したことでさらに激しさを増す
自身の持つ力を最大限に振るって、ただ相手の消滅を願った”
“血が流れる
太陽神と常闇王の血がぶつかり合うたびに流れる
それは絶えることなく。枯れることもなく
いつしか2対の神は、互いの命を奪って砕け散った”
“太陽神から散った血は、その明るさにより昼を作り
その亡骸は、大地に生まれ変わった
対して、常闇王から散った血は、その深い暗闇により夜を作り
その亡骸は、海に生まれ変わった”
“そして二つが合わさった血からは新しい命がたくさん生まれた。
最後に生まれたのが、性別の違う2人の人間だった”
“最初に生まれた人間が持っていた色は太陽神と同じく、金の髪、金の目
やがて二人は結ばれ、たくさんの子を産み、国を作った
のちに太陽国アースガルドと呼ばれる、わが祖国の誕生である”
“以降、太陽神を祖に持つ我が国には、神の御遣いが降臨される
王族貴族と関係なく、太陽神の言葉を受ける者。それが御遣い
そして啓示を受けた御使いはその証として、太陽神と同じ金に瞳と神が変化するとされる”
創世神話[太陽神と常闇王]序章より一部抜粋/著作者不明/太陽暦201年/現在絶版