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5 作戦会議

待たせて、どうもすいませんでした!

とはいったものの、まだ戦闘では無いと言う……


7月25日、PM9:00。武井翔自室。

「ふぅ~、疲れた」

俺は寝台に寝そべり愚痴をこぼした、やっと緊張が解れたのか体の力がドッと抜けていく感じがした、もう起き上がりたくない。

「少し眠ろうかな…」

ゆっくりと瞼を閉じたが一向に眠気に襲われない、それもその筈だ。あんな通告を受けたら……

誰だって……

それはさっきの出来事だった。


PM8:00、宿舎・作戦会議室。

「……どういう事ですか?司令」

集まった一同がざわつく中、美春が声を上げた。

「今言った通りだ、千坂准尉」

そう返したのは長机の中央に座る、顎鬚が似合う威厳のある60代の男、松本まつもと孝史たかし海軍中将だ。

ここにいる全員が驚いているのは、松本中将が告げた言葉だった。

「先程、朝鮮空軍の暗号を入手した。その内容は明日の10:40時、平戸市・下関市・福岡市に3箇所同時爆撃を行う。と言う内容だ」

松本中将の言葉で再びその場が騒がしくなる、それを松本中将は手で制し、目を瞑って深く息を吸い再び目を見開いた。

「ここからが本題だ、我々はこの情報を無視する訳にはいかない。そこで、この中から敵爆撃機を撃墜する、迎撃作戦部隊の編成を行いたい」

松本中将の口から出たのは、俺の予想通りの言葉だった。

「まず、迎撃部隊を編成するにあたって、作戦に志願する部隊を募る。志願する部隊は挙手を」

すると、隊員の中から次々と手が挙がる。俺の覚悟は、その時点で決まっていた。

俺は席から立ち上がり、挙手をする。

「松本中将、自分は福岡市の迎撃部隊として、今回の作戦に志願します」

「隊長!?」

美春が声を上げ、俺の側まで駆け寄って来た。そして俺の軍服の袖を、強く引っ張った。

「駄目ですって!隊長はともかく、私はまだろくにあの機体を乗りこなせていないんですよ?」

どうやら美春が言いたいのは、自分がまだ機体を乗りこなせていないから、戦闘は無理だと言うことらしい。確かに、今日初めて搭乗した機体で、明日出撃と言うのはさすがに無理がある。

「そうだな……よし、明日の作戦には美春は参加しなくていい。基地にて待機をしろ」

「えっ!?い、いや、そう言う事じゃ無くて、私は!…」

「そう言う訳で、松本中将。明日の作戦には、我が遠雷隊は一名欠けた状態ですが、作戦部隊に志願します」

俺は美春の言葉を遮り、作戦部隊に志願をした。

「よし、遠雷隊は明日、福岡市の迎撃部隊として出撃を許可する。志願、ご苦労だ」

俺は、席に着いて一息を吐いた。俺にはどうしても、福岡の守りに着かないといけない理由があったからだ。福岡市、そこには俺の幼馴染である千恵美がいる、何があっても守り抜かなければいけない。

「よし、あとの部隊は、明日の朝に部隊編成を発表する。以上だ、志願した部隊の隊員達は、明日に備えて就寝しろ。解散!」

松本中将は全員に解散命令を出し、部屋から退出して行った。


「千恵美……大丈夫だよな?」

俺は天井を眺めて呟いた、体が浮いているようにフワフワとしている。頭の中では、明日の作戦のことばかりを考えていた。

静寂の中、突然扉が三回ノックされた。俺は上体を起こし、扉を見つめる。

「誰だ?」

そして静かに、扉の外に居る人に声を掛ける。すると物音が外からした。

「あ、あの…私です。美春です」

「どうした?入って良いぞ」

決して開けないと思っていたが、予想に反して、扉はゆっくりと開放された。俺は寝台から降り、扉まで近づいた。

美春は寝間着で、その姿には到底似合わないブカブカのブーツに、足を納めていた。

「どうしたんだ?こんな時間に?」

「あの、さ、さっきの事ですけど、福岡の防衛に行くって。あれって何かあるんですか?」

「……どうして、そう思った?」

俺はわざとらしく、美春にそう訊いた。しかし、美春は多分分かっている、だから確認に来たのだろう。美春は質問には答えず、俺の目をジッと見つめてきた。これは降参するしかない。

「お前はもう気付いているだろうが、福岡には千恵美が居る。なのに俺が別の場所を防衛して、福岡を他の奴に任せるのは安心できない。だから俺自身が、福岡の守りに就いて、千恵美を守ってあげたいんだ。軍隊に入って何も出来ない俺の、せめてもの優しさだ」

そう、俺は軍に入ってから、千恵美には何もしてやれなかった。手紙も送っていなかった、出来ることと言ったら給料の半分を送ってあげる、それ位だった。

「でも、美春はまだヒヨコだ、俺の身勝手で危険に晒すわけにはいかない。だから明日の作戦には美春は参加するな」

「でも!私も往きたいんです!大丈夫です、囮ぐらいには……」

「駄目だッ!!」

突然怒鳴ったからか、美春はビクッとして、一歩後ずさる。俺は直ぐにハッとなって、俯いた。

「ごめん、急に叫んで。兎に角、明日は美春の出撃は認められ無い」

「……それは、隊長命令ですか?……」

美春は不安そうな表情で、俺の顔を覗きこんだ。今の俺はどんな表情をしているのだろう?

何にせよ、美春は連れていく訳には行かない、だから……

「ああ、隊長命令だ。明日の出撃は、操縦士の技量不足の為に認めることは出来ない」

俺がそう言うと、美春は表情を曇らせ、顔を下げた。

「……分かりました…では、これで。私はもう寝ます……」

美春は独り言の様に呟くと、廊下を頼りない足取りでゆっくりと歩いていった。俺はそれを見送って、部屋に戻る。

「駄目だ…」

俺は急にある事を思い出す、俺を大きく変えた出来事だ。空、空、戦闘機、戦闘機、弾丸。火を噴いて落ちる戦闘機。

「駄目だ……」

俺は再び呟き、机に手を掛け、全体重を掛ける。そこで、机の上に置いてある写真立てを目にした。そこでまた、あの出来事を思い出す。俺はそれを消すために、写真立てを倒して視界から消した。

「……」

俺は寝台に倒れこむように横になり、ゆっくりと目を閉じて、明日のことを考えながら眠りに落ちた。

次回は、次回こそは戦闘描写を書こうと思いますので、どうかどうかよろしくお願いします。


追記:11月26日現在、既に大分書き終わっているのですが、ここで投稿すると、とても切れが悪くなる可能性があるとみました。なので、まだ投稿するのは控えさせて頂きます、本当に申し訳御座いません。

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