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3 手紙の人を紹介しよう

なんとか投稿できました、そろそろ戦闘を書きたいので不定期ではありますが、どうぞ温かい目で見守って下さい。

俺は眠りについた、しかし手紙の事で頭が一杯になっていたせいで、あの日の夢を見た。

それは遠い日の記憶。

一生忘れないある夏の日の思い出。

俺が、俺と彼女が、初めて出会った時の夢。

2度と帰らない黄金の思い出……



1939年、8月7日和歌山県海南市。

「お~い!こっちこっち!」

強い日差しが照りつける夏の日、俺は友達3人と海で遊んでいた。この3人とは幼い頃からの友達で、暑い日には必ず海へ遊びに行っていた。

「今度は、あそこから飛び込もうぜ」

俺が泳ぎながら指を指したのは、4mくらいの高さの岩場だった。

「いいぜ、誰が一番格好良く飛び込めるか、勝負しようぜ」

1人の友達がそう行った、その言葉にみんなが賛同し、岩場に登ることになった。

                     ☆★☆★

「うわー、結構高いなぁ」

見下ろした海は、かなり高いように感じた。しかしここで怖気づくわけにもいかない、いまさらやめると言えば、仲間はずれのいい的だ。

「それで、誰から飛び込む?」

俺がみんなに訊くと、その言葉に反応して1人が名乗りを上げた。

「俺が行くよ!一番乗り~!」

そいつは突然走り出して、助走をつけて飛び出した。そのまま下に真っ逆さまに落ちて、水しぶきを上げて飛び込んだ。

「すっげ~!次俺が行くよ」

「じゃあその次俺~」

続いて次々と飛び込んで行った、そしてその場に残ったのは俺1人だ。

「お~い、翔!はやくはやく!」

「まさかビビってんじゃ無いよな?」

下からからかう友達の声が聞こえてくる、俺は下を覗き込んで、

「大丈夫だよ!今行くよ」

と叫ぶと、助走をつけるために後ろに下がった。2mくらい離れてから、俺は地面を蹴るため脚に力を込める。

そして走り出そうとした、その時。遠くの磯に人影が見えた、白い服を着て麦わら帽子をかぶった女の子だ、どうやら磯遊びをしているようだ。

「……って、うわっ!」

急に体が軽くなるのを感じた、走っている事を忘れていたのだ。俺はそのまま無様に落下し、海面に叩きつけられた。

水を蹴って水中に顔を出す、変な落ち方をしたから体が痛かった。

「おい翔、格好悪ぃな!」

「全然だめじゃん、ビリ決定な」

友達が色々と言ってきたが、俺の頭には先程の女の子が誰なのか、それしかなかった。

「悪い悪い。あと俺、今ので足痛くしたから上がって休んでるわ」

もちろん嘘だ、確認しに行くための口実。

「しょうがねぇな、俺達だけで遊ぼうぜ」

「大丈夫か?休んだらすぐ来いよ」

「行こう行こう」

みんなは構わずに泳ぎだしたので、俺は1人陸に上がり、先程の磯まで走った。

さっきの女の子、見たところ知らない人だったな。

遠くに見えていたが、走っていくとそうでもなく、すぐに見えてきた。

「……あれ?居ない…」

居ない、磯に着いたが人1人居ない、念のため海も見たがやはり居ない。どうやら帰ってしまったようだ。

「誰だったんだろう」

俺は諦めて戻ろうとした、その時。カラっと石が落ちる音がした、慌てて振り返り確認をする。

……やはり誰も居ない、気のせいか。俺は1人で軽く笑った、1人の女の子に何を必死になってるんだ。

今度こそ帰ろう、そう決めて歩き出した。

「何ですか?」

突然、声が聞こえた。そよ風の様に、透き通った綺麗な声が、その声に反応して再び振り返る。

そこには、居た。先程まで誰もいなかった場所に、白いワンピースを身に着け、麦わら帽子をかぶった少女が。

「何か、私に用ですか?」

「…あ、えっと、その…」

声を掛けられたが、咄嗟に返事が出来なかった。何故なら、その少女はとても神秘的な感じがして、他の人と同じ振る舞いをしていいのかと疑問に思ったからだ。

「どうかしましたか?」

「いえっ、ただこんな所で、1人で何をしているのかと思ったので」

「ちょっと、退屈だったので。遊んでくれるような親しい人も居ないですし」

友達が居ない、という事だろうか。だとしたら、何か聞いちゃいけない事だったのかも。

「あの、俺で良かったら話し相手くらいにはなるよ」

それを聞いた瞬間、少女は驚き、目を見開いて俺を見つめた後、軽く微笑んだ。

「では、まずお名前を教えてください」

「?、俺の名前を?」

突然の事で動揺し、咄嗟に言葉が出て来なかった。さっきから動揺してばかりだ。

少し間があったせいで、少女はなにやら考え込み、いきなりハッとした顔になった。

「?、どうしたの?」

「いえ、これは失礼しました。私としたことが、相手に名前を聞くときは、まず自分から名乗らなければいけないことを忘れていました」

どうやら、俺とは少し上の考えを持っているようだ。

「では。私は浅羽、浅羽千恵美と申します」

「浅羽……千恵美……いい名前だね、とっても綺麗だ」

俺は何を言っているのだろう、自分で言っておいて恥ずかしくなった。

「ありがとう、それであなたは?」

「あぁ、俺は武……」

俺が名前を言おうとしたその時、突然強い風が吹いて、千恵美の麦わら帽子を吹き飛ばした。

「あっ!」

「あ…」

帽子はそのまま海へ、そして海に落ちてプカプカと浮かんでいた。

「あぁ!どうしましょう、あれは大切な帽子なのに…」

千恵美は水際まで駆け寄って、手を伸ばした。しかし、届くわけも無く、ただ宙を摑んでいた。

「……分かった」

「え…」と千恵美が呟く、俺は助走をつけて海に飛び込んだ。

海はそこまで深くはなく、すぐに帽子まで辿りつけた。帽子を右手で掴んで、足を使って磯まで戻った。

「ぷはぁ!」

岩に摑まって、そのまま陸へと上がる。

「だ、大丈夫ですか?」

千恵美が心配そうに俺の元まで駆け寄ってくる、俺は立ち上がって麦わら帽子を差し出した。

「はい、帽子。あと俺は武井翔。よろしくな」

千恵美は麦わら帽子を受け取って、しばらく帽子を見つめていたが、突然顔を上げて、

「はい、ありがとうございます。翔さん」

と言って笑った、その笑顔は、とても綺麗で、とても輝いていて、とても…可愛かった。

「あ…あぁ、よろしく千恵美…」

それが、俺と彼女の最初の出会いだった。

                    ☆★☆★

ジリリリリリッ!!!ジリリリリリッ!!!

「……ん、朝か…」

俺は目覚ましを止めて、体を起こした。

「懐かしい夢を見たな、手紙のお陰か?」

なんてな、さあ起きよう。

俺は着替えようとして、お守りの事を思い出し、小物入れを開ける。

小物入れを開けると、色々な小物と一緒に、お守りが存在感を示していた。

俺はお守りを取り出し、首から掛けて、その上から軍服を羽織った。

そして俺は、朝のジョギングをするために、部屋からでてドアを閉めた。

次回、戦闘機に乗ります(戦闘的な意味じゃなくて)。

お楽しみに。

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