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2 俺の隊員と周りの人を紹介しよう

突然投稿です!

調子に乗ってると思うんで、そこら辺はそのつもりで。

週2にしようか週1にしようか迷ってるんです、だから1回週2にで投稿して、様子を見たいと思います。

1947年7月23日、PM6:00、牧崎海岸。

日が暮れて、夕日が水平線に沈むのを俺は海岸で眺めていた。あれから乱闘はしばらく続き、啓太が目を覚まして止めに入らなかったら今も続いていただろう。

「それにしても痛いな、あのおっさん、噛み付きやがって」

俺は呟き、噛まれた手の甲を擦った。その時ちょうど腕時計に目がいった。

「6時か、いい時間だな。そろそろ晩飯の時間だな、宿舎に戻るか」

何故海に居たのか、暇だったから海で魚を釣っていた。クーラーボックスを開けると、中には魚が3匹。

「ベラが3匹か…ま、あのおっさんよりはましだろ。戻って料理長に渡して、明日あたりに調理して出してもらおう」

俺は海に背を向けて、宿舎に向かって歩き出した。



PM6:30、隊員宿舎2号棟。

「あっお帰りなさい、武井中尉。こんな時間まで何してたんですか?」

俺が宿舎の中に入ると、軍服姿の女性が1人、笑いながら近づいてきた。

「あぁ、福浦さん。いやなに、ちょっと海で釣りを」

この人は、この宿舎の事務を務めている、福浦ふくうら里美さとみ海軍主計兵曹長だ。年齢は確か三十…

「女の人の年齢を言うなんて、失礼にも程があるわよ。武井中尉?」

「勝手に人の心を読むのはやめたまえ」

俺は内心焦りながら歩き出した、途中で魚の事を思い出して立ち止まる。

「あぁ、福浦さん。これ料理長に渡しといて」

そう言ってクーラーボックスを手渡す、里美は苦い顔をしてそれを受け取った。

「あの、武井中尉。私は魚が嫌いなんですけど」

「命令だ、福浦曹長。よろしくね」

「意地悪!」と叫ぶ里美を無視して、食堂に向かった。

この宿舎は2棟3階建てで、1階は管理室、事務室、医療室などの部屋がある。2階は男性宿舎で、3階は女性宿舎だ。

とは言っても、女性の軍人はまず少ない。

俺は食堂の扉を開いた、中では軍服の男女が談笑をしながら食事をしていた。

「おお、遅かったな。どこ行ってたんだよ翔、ほら早く座れよ」

その中から1人、立ち上がって俺に手招きをする人が居た。三笠みかさ隼人はやと海軍少尉、俺とは同い年で18歳、遠雷特強隊の隊員の1人。

「わかってるよ、今日の献立は?」

俺は椅子に腰を下ろして、隼人に訊いた。

「今日は、白米にワカメの味噌汁、白菜の漬物にアジの開きだ」

そう言うと、俺の目の前にトレーと一緒に献立の晩飯を運んできた。

俺は箸を手に取り、「いただきます」と言って白米を口に運んだ。

「うまい」

俺はそう呟くと、次はアジの開きを口に運んだ。丁度良い味付けがいい味を出していて、俺は再度口に運んだ。

「そうだ翔、今日な日本海上空で朝鮮空軍の偵察機を発見したって報告があった。早くても明日か明後日あたりに出撃命令が出るだろうから、そのつもりで」

「それにしても、朝鮮の奴、分かり過ぎだろ。せめてばれない様に飛べってんだ」

味噌汁を飲んでから、愚痴をこぼした。

朝鮮軍の爆撃機は、来る前日か2日前に必ず何かをやってくる特徴があった。前の時は、哨戒船が領海内に進入してきた。俺は今までで3回出撃をしている。

1回目は、アメリカ空軍から支給された戦闘機「F8Fベアキャット」に搭乗して出撃をしたが、初実戦で焦ってしまい、たいした戦果は上げられなかった。そのときの損害は0だった。

2回目は、俺が遠雷特強隊に配属された時の初陣だった。日本の局地戦闘機「紫電改」に搭乗し出撃、2機の護衛機と1機の爆撃機を撃墜し、こちらの損害は0で無事に帰還。

3回目は……あまり思い出したくないが、俺が前回の戦闘の戦果により、遠雷特強隊副隊長を任され、改造機の「炎天」に搭乗し出撃。そのときの敵戦力は爆撃機12機、護衛戦闘機26機だった。俺は爆撃機3機、護衛戦闘機4機を撃墜、しかしその戦闘で遠雷特強隊隊長が戦死。帰還後に俺が隊長を任されることになった。

俺が戦闘で初めて、隊の仲間を失った戦闘でもあった。

「あぁ、武井。ちょっと良いか」

肩を叩かれ振り返ると、同じく遠雷特強隊副隊長の臼倉うすくら翔太しょうた海軍中尉が何かを手渡してきた。それは封筒で、どうやら手紙のようだった。

「?、誰からだ?」

俺は味噌汁を口に流し込んで、封筒を受け取った。

「えっと、浅羽あさは千恵美ちえみとか言う人だ。何か心当たりは?」

「ブバホッ!」

俺は味噌汁を吹いた、盛大に吹いた。

「どうした?誰なんだ」

翔太が追求してくる、俺は慌てて封筒をしまい、吹いた味噌汁を拭く。

「なんでもない、プライバシーだ」

俺は誤魔化して、食事を続ける。そこで会話に入ってきたのは、

「知らないのか、翔太。浅羽千恵美って言うのは、翔の恋びt…!」

「なんでもない、なんでもないからな。食事を続けて結構だ」

俺は会話に入ってきた隼人の口を慌てて塞ぎ、人払いをする。しかし、それは逆に人を集めている。

「なんだ、なんだ。喧嘩か」

「どうした、武井大尉。手紙で興奮して」

「誰からの手紙でそんなに盛り上っているんだ?」

次から次へと人が集まり、質問攻めにされて行く。これではばれるのも時間の問題だ。

「よし、教えよう。浅羽千恵美って言うのはな、翔の恋人だ」

へ?いつの間にか、俺の手から抜け出して、大声で話し始めたのは隼人だった。

「恋人!?」

「やるねぇ、武井大尉」

「手紙が来るとか熱いねぇ」

「若いっていうのはいいものだねぇ」

と周りに居た男性軍人が、一斉に俺をはやし立ててきた。俺は顔が耳まで真っ赤になるのを感じた。

「……うるさい!お前達を炎天から日本海に投下するぞ!」

俺は何かがぷっつりと切れて、辺りに怒鳴り散らした。



PM9:00 第3宿舎、124号室。

「まったく、困った奴らだよ…」

俺は寝台に寝そべり、天井を見上げていた。あの後、司令の松本まつもと中将が来なかったら……考えたくも無い。

途中スタンドの明かりを点けて、ポケットに手を入れると何かが触れた。

それがなにかは言うまでも無かった、俺はそれを引っ張り出す。出てきたのは先程の白い封筒で宛名には「浅羽千恵美」と可愛い丸い文字で書かれていた。

「…………」

俺はそれを開封し中身を取り出す、中身は手紙が一通。それを広げて内容を読み始めた。


『武井 翔様

どうも、このごろ日が経つにつれて、暑さが増してくることと思いますが、いかがお過ごしでしょうか?

私の街では丁度、夏祭りが盛んに行われています。今年は前年と違い、戦後から大分復帰されて年毎にお祭りが華やかに成っていっています。

もし翔さんが軍に入って無かったら、今頃2人で楽しく夏祭りを満喫できていたと思いますと少し心残りがあります。…なんてこんな事を言っても、翔さんを困らせてしまいますね。

そう言えば私、仕事の都合で1週間後に引っ越すことになりました。どこかと思います?驚かないで聞いて下さい、なんと福岡県の福岡市に引っ越すことになったんですよ?翔さんの居る基地って、確か壱岐島でしたよね、とっても近いんです。

翔さんの近くで暮らせる事になって、とても幸せです。あなたの近くで、あなたの事を想い、あなたの幸運を祈っています。

最後に、あなたの為にお守りを作ったので同封させていただきます。あなたが戦闘で命を落とさぬように、無事に帰還できるように、そう願いを込めて作ったお守りです。お気に召さないようでしたら、どうぞ捨てて下さっても構いません。

まだ話す事は沢山ございますが、福岡へ引っ越して落ち着いたら、またお手紙を書きます。

             それまで、どうぞお元気で。

   7月15日                             浅羽 千恵美より』


「………福岡に引っ越すのか、大変だな」

千恵美の仕事は、商店の手伝いだったから引っ越す必要なんて無いはず。いや、もしかしたら俺がいない間に仕事が変わったのかもしれない、それにしても何の仕事だろうか。

福岡から手紙が来たら、返事でも出すか。これを書いたのは15日で、もう引っ越している筈だから、そろそろ手紙が来るのか。

「……って何でにやけてるんだ、俺は」

正直、手紙が待ち遠しい。特に7月に入ってからは1度も来ていなかったから、もらった瞬間その場で読みたくなった。

ふと手紙の内容を思い出す、『お守りを作ったので……』入ってるのかな?俺は封筒を逆さに振った。

すると、カサっという音がして、布状の物体が手に落ちた。それは小さいお守りで、刺繍で書かれた「お守り」という文字が中央に、それから首から掛ける為に少し長めのひもが付いていた。

俺はそれを首から掛けようとした、その時、

コンコン……

ん?誰だこんな時間に。俺はお守りを小物入れにしまい上体を起こした。

「はい、どなたですか?」

「私、美春」

「どうぞ、開いてるよ」

俺がそう言うと、ドアが開き1人の見知った少女が入ってきた。

彼女の名前は千坂ちさか美春みはる海軍飛曹長、遠雷特強隊の唯一の女パイロット。

彼女は、ついこの間に部隊に配属された新人だ。戦闘経験は無く、まったくの素人だと聞いた。前も話したとおり、先の戦闘で隊長が戦死した。彼女はその埋め合わせらしい。

ただ1つ、彼女には致命的な欠点がある。それは男性不信な所だ。

「どうした?そんな所に突っ立ってないで、椅子に座れよ」

「い、いえ!遠慮します!ちょっと聞きたい事があっただけなので」

ほらな、こんな感じ。

「で、聞きたい事って?」

「え、えっと、その…今日の手紙の人って誰なんですか!?」

…………えーと、これは何?

「誰って、そんな事聞いてどうするんだ?」

「いえ!深い意味とか無いんですけど、興味本意で……」

要するに、美春は手紙の主が女の名前だから、誰なのかを知りたくて聞きに来たと。こいつもやっぱり女なんだなー、乙女なんだなー。

何か新鮮だな、こうゆうのって。

「そんなに知りたいの?」

「いえ、ただ恋人と聞いたので、隊長にもそういう女性ひとがいるのだなぁと」

相変わらず入り口の所で話す美春、決して向こうから近づいては来ない。かと言って、向こうから話しを掛けてくる事も無いので、正直今とても焦っている。

「そんな所で話さないで、こっち来いって」

俺は美春を招くために、寝台から降りて美春に近づいた。

「いっ、いえ!そんな男の人と2人っきりなんて危険です!」

「危険って…お前な…」

俺は美春の腕を掴もうと手を伸ばす、その瞬間、

「いやっ!変態っ!」

バッと身を引いて俺の手を避けると、そのまま廊下に飛び出し駆け出していった。

「あ!ちょっと、美春!待てよ!」

俺が顔を出した時には、廊下には既に誰も居なかった。

「まったく…しょうがない奴だな…」

変態と言われ、何だか随分傷ついたぞ、美春。

俺はドアを閉めて鍵を掛け、寝台に横になった。スタンドの電気を消して、目をつぶる。

そして、次に来る手紙に期待しながら、俺は眠りについた。

ご指摘などございましたら、どうぞ。

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