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11 夏休み 1日目~帰郷(航空基地)~

何時も何時も、不定期更新で申し訳御座いません!

この夏に、投稿ラッシュでも訪れてくれると、私は信じています(震え声)

7月29日、PM2:00。和歌山・由良海軍航空隊基地。

「ふう、やっと到着か」

俺は炎天から降りて、空を見上げた。天辺にあった日は、今は少し落ち始めている。

ここ由良航空基地の司令長官は、松本司令と永い付き合いと言う訳で、特別に私用で着陸を許された。

もちろん、俺が強襲隊の人間だと言う事は、この基地にいる人間で知っている者は、指折りで数える程しかいない。

「武井大尉。ご苦労様です」

その声に振り返ると、数名の将校らしき人間が、俺に敬礼をしていた。

もちろん見た目からして、俺より階級が上な訳で、俺は慌ててそれを制した。

「いやいや! そんな大層な出迎えは結構です。何の見返りも無く、俺の愛機をここに停めさせて貰うんですから、自分が感謝すべき立場ですから!」

すると、俺の周りに、数人の柄の悪い連中が集まってきた。どうやら、俺が特別扱いされているのが気に入らない様子だ。

「おい、お前。どこの何者だ? 若いくせに偉そうにしやがって」

俺はすかさず反応しようと口を開きかけたその時、将校が先に口を開いた。

「止めておけ、山岡。若いからと言って見下してはいかんぞ。模擬戦をやったら、お前なんて瞬殺される。それ位の技量の持ち主だ」

その言葉に、場がざわめく。決して俺の技量は高い訳では無い、しかし、撃墜数だけを見たら、俺は十分米国で言う『エースパイロット』と呼ばれる存在なのである。

「自分は別に、言う程技量はありません。むしろ、まだまだ未熟者です」

俺は一応、そう返しておく。

「ハハッ! この若いの、謙遜して」

俺はその後は、荷物を持って、滑走路を離れた。案内してくれた将校に事情を話すと、軍用の自動車を、快く貸してくれた。

しかし、俺の実家まで送ってくれるのは有難い話だったが、それは丁重にお断りした。さすがの俺も送迎車で親の前に登場などしたくないし、第一こんな兵卒当然の俺が、そんな将校みたいな優遇をされていい訳が無い。

「そうか、ではせめて駅かバス停まで送ろう」

普通に歩かせてはくれないようだったので、それで承諾した。すると、直ぐに黒い高級感溢れる大きな自動車が、俺の目の前に現れた。

「どうぞ」

運転席から出てきた運転手が、後部座席の扉を開けて俺を車内までエスコートをしてくれた。その後から、一人の将校が乗車して、後部座席の扉が閉められた。

「君があの噂の、海軍航空強襲部隊の隊員か」

将校が俺の顔を見ずに、そう訊いてきた。

「はい、仰る通りです。自分が、海軍航空強襲隊・遠雷隊所属です」

俺が慣れない口調で、ぎこちなく話すと、将校は声を上げて笑い出した。

「ははっ! 良い良い、無理をするな。楽にしろ」

「はっ、恐縮です」

将校は体を横に向け、俺に向けた。

「休暇を貰ったそうじゃないか。何で戦闘機なんかで、こんな所に来たんだ?」

将校はどうやら、軍人ではなく、一人の人として話しかけてきた。

「はい、えっと自分はこちらが地元なので、休暇に乗じて親に顔でも見せていこうかと思いまして」

「そうか! ここが地元なのか。それで、軍には何時?」

「はい。自分は1年前に、戦闘機乗りに憧れて、海軍に志願しました」

そうか、と将校は姿勢を変えて、俺の話に耳を傾けた。

「何故、海軍に志願したんだ?」

「陸軍は、正直あまり好きではなかったのと、あと……」

「あと?」

「自分は、航空母艦に乗って、艦上戦闘機乗りになりたかったからです」

俺は少し苦笑いをしながら言った。

「成る程。水上艦航空隊を目指して海軍に入ったものの、現実には地上基地航空隊として配属されたわけか」

はい、と俺はやはり苦笑いしか出来なかった。

「それでも、自分はやはり海軍に入って良かったと、最近になって思えるようになったんです」

「ほほう。それは何故だ?」

将校は口の端を吊り上げて、興味深そうに訊いた。

「自分は強襲隊に配属されてから、本土を、この日本を護り続けてきたんです。そして、先の戦いでは、大切な人を守る事が出来ました。これは、俺にとって何ものにも代え難い誇りでもあり、自信にもなりました」

将校は腕組みをして、深々と頷いた。

「大切な人……か。成る程、それは確かに」

窓の外を見つめて、将校は笑った。

「我々、皇国軍人は、常に皇国の為に努めて、国に尽くすのが使命だ」

「はい」

「しかし、実際のところ私もそうなのだが。国の為に尽くすことは当然のこと、それ以上に自分の大切な人を護れた時こそ、本当に国に尽くしているという実感が湧くものだ」

俺はその言葉に何回も頷いた。

「大切な人を護るためなら、自分の命を捨てても良い、自分はそう考えています」

俺はつい調子に乗ってしまい、思った事を口に出してしまった。

「す、すいません、失礼しました」

「いいや、構わんさ。私だってそう思っている」

俺は将校に向けて、小さくお辞儀をした。

「しかし、私はそれ以上に、大切な人の為に生き残りたいと思っている。自分の死によって、大切な人を悲しませたくは無い」

将校は、何処か遠くを見るような目をして、ぼそりと呟いた。

俺はその表情の裏に、深い決意がある様に思えた。


 由良駅

「本当に自分の様な兵卒を、こんなに優遇して下さって、有難う御座いました」

駅に到着した俺は車から降りて、将校へとお礼を述べ、頭を下げた。

「いや、君のお役に立てて光栄だ」

将校は俺を見送ろうと車から降りようとしたので、それを慌てて制止した。

「いえ、ここまでで十分です。本当に有難う御座いました」

将校はその言葉で、下車を止め、座ったまま俺に敬礼をした。俺も慌てて敬礼を返す。

「今日は君に会えて、本当に良かった。これからも、本土を宜しく頼む」

「えっと、帰りにはまたここにお邪魔になると思いますが…」

俺は持っていた荷物を地面に置いた。

「すまんが、私は明日の明朝から、帝都へと呼び出されていてな。残念だが、もう君に会えることは無いだろう」

そう言って、将校は再び敬礼をして、扉を閉めた。それから自動車が発進して、真っ直ぐ進んでいく。俺は敬礼をしながら、自動車が曲がり角を曲がるまで見送った。

見えなくなった所で、俺は荷物を持って、駅の中へと入った。

次の投稿は、やはり不明です!

ですが、温かい目で、でも夏は温かいのは勘弁してください・・・・・・。

暑すぎるので。

では、次回の投稿まで暫しお待ち下さい。

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