8 福岡防衛戦3
忙しい中、苦し紛れの投稿です!
誤字脱字が在ったら、先に謝っておきます、御免なさい。
これから本格的に、受験勉強モードに移行するので、次は未定です。
もしかしたら春以降かも…
敵機を撃墜した俺は、急いで旋回飛行をとった。まだ後2機の敵が、俺を追っていたからだ。
そのうちの1機が、俺に攻撃を仕掛けようと急接近をしてくる。俺は敵機を撃墜した際に、速度を大きく落としていた。
俺は旋回飛行を続けて、回避行動を取る。しかし敵も学んだようで、左旋回で逃げた俺の後を追うことは無かった。
その代わりに、敵機の1機が正面から突っ込んでくるのが見えた。滅茶苦茶に機銃と機関砲をぶっ放している、どうやら死ぬ気のようだ。
俺は被弾を覚悟して目を閉じた、しかし何時まで経っても弾は当たらない。急いで目を開いて前を見ると、敵機の姿は消えていた。俺は旋回して辺りを見回す、すると先程の敵機が火を噴きながら落ちていくのが見えた。
『隊長、しっかりしてくれ』
無線機から聞こえてきたのは、翔太の声だ。近くには翔太の機体が飛んでいる、どうやら今の撃墜は翔太のものの様だ。
「助かった」
俺は一言そう言うと、再び上空を見上げた。敵直掩機は、まだ10機以上が爆撃機の周りを飛行している。
俺は無線機をつけた。
「全機、標的を変更する。敵直掩機から、敵爆撃機を集中攻撃しろ!爆撃機を失えば、敵戦闘機も退却するはずだ」
『了解!』
返事が聞こえた所で、俺は機首を上げた。先程まで晴れていた青空は、いつの間にか雲で隠れ、辺りは薄暗くなっていた。
俺は更に高度を上げ、敵機と離れて平行飛行をとった。敵の爆撃機の銃座から、機銃弾が無数に飛んでくる、俺は速度を落として、敵の後ろに回った。
距離的には、ここから撃っても弾は当たらないだろう。俺は時を待った、炎天の後方に翔太の機体が見える。霜雷隊は…、低高度で敵機を相手にしていた。
「隼人…、来い!」
俺が叫んだその時、敵爆撃機上空の雲から一筋の曳光弾が通った。その曳光弾は、敵爆撃機目掛けて飛んでいき、爆撃機の操縦席、銃座などに叩き込まれ、機体は内部から爆発した。
黒煙と炎を吐き出しながら、爆撃機は空中分解をして、周りに破片を飛び散らした。爆撃機はバラバラになり、空に散って行った。空中に飛び散った破片は、取り巻いていた戦闘機に直撃し、2機の戦闘機が巻き添えを喰らって墜ちていった。敵の爆撃機は、これで後11機となった。
そして爆撃機の居た空間に、雲から出てきた隼人の機体が真下に急降下をしていった。隼人の機体は元ドイツ第3帝国空軍の、高高度戦闘機「フォッケウルフTa152」の改造機、試作高高度戦闘機「神速」だ。
「良くやった!隼人!」
俺は機体の速度を上げ、敵戦闘機に接近した。そして四式射撃照準器を素早く覗き込み、狙いを定める。光学像が敵機を捉え、俺はそれと同時に、射撃レバーを引いた。
二十ミリ機関砲口から、炸裂弾が飛び出す。俺の真ん前に居た敵機は、避けることも出来ずに、炸裂弾を喰らった。敵機が爆発を起こし、きりもみをして落ちていく。
俺はそれを見届ける事無く、次に襲い掛かった。目指すはただ1つの目標、敵爆撃機だ。
俺の機体が近づくと、敵爆撃機の後方銃座が、容赦無く弾を浴びせてきた。俺はそれを回避し、下から潜り込む。
爆撃機には、下にも銃座があるのだから、下に潜り込むのは危険だ。しかし、かと言って上に行った所で状況は変わらない。
俺はそのまま降下をして、ある程度距離をとった所で操縦桿を引き、機首を上昇させた。距離が空いてしまっては、敵の銃座の機銃はこちらに当てる事は出来ない。しかし、二十ミリ機関砲は、この距離でも充分だ。
射撃レバーを素早く引くと、曳光弾が飛び出し、爆撃機を掠める。俺は曳光弾の弾道を調整し、爆撃機の腹に炸裂弾を叩き込んだ。急上昇で減速していた俺の機体とは違い、爆撃機はそのまま進み、機体の腹は文字通り蜂の巣になり、炸裂弾の効果で爆発を起こした。敵爆撃機、残り10機。
翔太も負けては居なかった。翔太は既に、周りの敵直掩機を3機墜とし、爆撃機にぴったりとついて行っていた。
俺が機体を上昇させると、翔太の撃った弾が敵爆撃機の装甲を削り、敵はそのまま翼を捥がれ、きりもみをして墜ちていった。
今度は真下から曳光弾が飛んできて、1機の戦闘機に火を噴かせた。その機体は水平を立て直し、俺の隣につく、隼人の機体だ。
俺は手合図で指示を出し、機体を加速させる。敵の爆撃機が慌てて旋回しようとするが、図体のデカイ爆撃機が、回避旋回をとれる筈も無く、俺の撃った機関砲弾に貫かれて爆発した。
それに続くように、隼人が機体を急上昇させる。高高度戦闘機の有利なところ、それは高高度での戦闘が抜群に得意と言うことだ。
隼人は雲の中に入り、再び出たかと思うと、急降下で敵爆撃機に機銃を叩き込み、敵爆撃機を撃墜した。
「残り敵爆撃機、7機。敵直掩戦闘機、9機だ」
『こちら二番機、了解。即急に残りを片付ける』
翔太はそう言うと、敵直掩機に格闘戦を挑み、旋回戦で敵を撃墜した。俺がその様子を見ていると、後ろから曳光弾が飛んできた、素早く旋回をして確認する。
後ろからは敵機が2機、機銃を撃ちながら追いかけてきていた。俺は敵機に向かっていき、二十ミリ機関砲の射撃レバーを引いた。
敵機は俺の機体に向かって、真っ直ぐ向かってきていた。俺が撃った弾丸は、そのまま真っ直ぐに飛んで行って、敵戦闘機のプロペラを砕き、風防を突き破った。
俺は即座に上昇回避をして、もう1機の放つ銃弾から逃げる。風防を貫いたから、操縦士は生きてはいない筈だ。
そこに、先程の1機が追いかけて来るのが見えた。
「何っ!」
俺は操縦桿を倒して降下する、しかし敵もしつこく追いかけて来た。後ろからは絶え間無く、曳光弾が飛んでくる、俺は上空四百メートル地点で操縦桿を引き起こした。
機体が水平に戻る、無理な飛行の為か、機体が軋む嫌な音が鳴った。俺は一息ついて、操縦桿を握る手を少し緩めた。
すると、俺の後ろから再び曳光弾が飛んできた。それと同時に、機体後方から衝撃がくる。
「何だ!?」
俺は後ろを確認するために、振り返ろうとした、その時。
操縦席後方の風防が、派手に砕け散った。有機硝子の破片が操縦席内を飛び交う、飛んできた破片は、席の後ろにまわしていた俺の左腕に、無数に突き刺さった。
「ぐわぁ!!」
俺は空いている方の腕で、操縦桿を勢い良く引いた。機体が反転するように、宙返りをする。
敵機は、旋回では俺に勝てないと判断したのか、俺の機体から距離をとった。俺はその内に、腕の傷を確かめる。
大きい破片や、小さい破片が俺の腕に深々と突き刺さっている。その傷口からは、朱色の鮮血が大量に滴り、服の袖を真っ赤に染めていた。
「く、くそ…」
俺は機体を静かに降下させ、高度を50まで落とした。
傷が痛い、Gが腕の傷を刺激する。力が入らない。体が震える。破れた風防から、冷たい風が吹き込んでくる、傷口から血がどんどん流れ出て、全身が冷たい。寒い。
そんな俺は真横に、先程の敵機が居た。余裕の素振りを見せるように、俺の機体の周りをクルクルと回る。
「う、うぅ…」
俺は心の中で確信した。こいつは熟練者だ、と。
全身が震えた、敵の強さに震えているのか、傷のせいで震えているのか。感覚の無い俺の体からは、何も感じ取れない。
俺は落下傘を取ろうとした。これでは確実に撃墜される、殺されるぐらいなら。
しかし、そこで俺の手は止まった。俺は落下傘を機体に持ち込んでいない事に、今更気付いたのである。
「しまった…」
そんな事をしている内に、敵機が俺の後ろにつく。敵機の操縦士が、照準器を覗いているのが直ぐに分かった。
「うおぉぉお!!」
最後の力を振り絞り、操縦桿を大きく引いた。俺の機体は大きく宙返りをし、敵機の後ろにピッタリとつく。
敵は俺の突然の行動に驚いたようで、直ぐに回避をしようとする。しかし、敵はそこで大きな過ちを犯した。
左旋回をしたのだ。
俺は素早く左旋回で追いつき、射撃レバーを引いた。
無数の曳光弾が敵機を貫き、黒煙を吐かせた。しかし、敵機も馬鹿ではないようで、直ぐに黒煙を煙幕にして、その場から逃げ去った。
俺は追い掛けようとしたが、敵機はそのまま急上昇をして、雲の中に入っていった。
「馬鹿か…、アイツ…!」
機関部を破損している時点で、発動機は何時火を噴いてもおかしくは無い。その状態で、雲の中に入っていくのは、相当な熟練者なのか、それとも唯の馬鹿だったのか。俺には確認する術も無かった。
この先、当分投稿できないのですが、そこは色々と想像を膨らませて、次回をお楽しみ下さい。
次回で防衛戦は終わりです。
では、また何時の日か。
追記:3月25日現在。やっと家庭や進路のゴタゴタが終わり、今急ピッチで書き上げています。もう少しかかりそうです。
長らくお待たせしていた事を、どうぞお許し下さい。
これから防衛戦のラストだけでも、春休み中に書き終え、投稿する所存であります。もうしばらくの間、お待ちいただければ幸いです。
失踪はしません。今の所は。