第二百八十一話 山賊討伐(七)
あくる朝、嵐はすっかり去り、しかしその爪痕は生々しい。
寺の周囲の木の葉や枝の多くは毟り取られたようになっていたし、地に生えている草はすべて横倒しになっている。また、雨水が流れていった跡も地面がえぐられるように削れているのだ。
「山を下りるのに苦労しそうだな」
疾風が言った。
紫野は明け方目を覚まして、自分が一体どこにいるのかわからずうろたえたが、どうやら一晩中あの奇妙な部屋に倒れていたらしい。
疾風たちに見つかる前にとにかく皆の寝ている部屋に戻ったが、昨夜自分が見たものをどうしても思い出せなかった。
それから他の三人が起き始めると、紫野も今目が覚めたように装ったのだった。
昨夜は知る由もなかったが、寺は絶景の地に建っていることが判明した。
雨上がりの早暁、霧は出ていたものの次第次第に晴れ、四人は回廊から見渡す遠景に感嘆の声を上げた。
目の前は、どうやら深い谷らしい。
朝の霧が雲のように流れ、足元にかかっている。
聖羅は耳を澄まし、「滝の音がする」と言った。
改めて数えてみると、山賊に囚われていた女性は十二人であった。
女たちは四人の顔を見るや全員が飛びついて礼を言い、また明るい場所での対面は、彼女らにさらなる驚きをもたらした。
十二人は一斉に頬を染め、だが食い入るように四人の顔を眺めたことである。
昨夜、あの闇の中で、凶悪な山賊たちを簡単に成敗してしまったその強さもさることながら、それがこんなにも若くて美しい男たちによってなされたものだと知ると、女心も騒がずにはいられない。
昼も近い頃、ついに疾風が言った。
「さあ、山を下りるぞ。皆、気をつけて行こう」
地面は依然柔らかく、無防備な女が山を下りるのに十分とはいえなかったが、藤吉と疾風はとにかくゆっくりと下山することに決めたのだった。
今年最後の更新は、いつもの時間よりちょっと早めです。
お読みいただいている皆様、本当に今年もありがとうございました。
来年こそは、完結したいと思いますので(笑)、どうぞ最後までお読みになってくださいね。
それでは、良いお年をお迎えくださいませ。