出会い⑥
⑥仮のちゃんとしたやつです
夕方の六時を切った。もう外は夕日が沈み暗くなっていた。
「頃合いだな…」
薫は外が暗いことを確認し、棚の暗い隅っこからあるはずの無い黒い服とフード付きの黒いコート、黒い手袋を取り、着替えた。
「さぁて、今日も張り切って悪党退治しますかね…」
薫はそう言うと窓から飛び降りた。
しかし、薫の姿は着地する前に消えていた。
近くでは不良達が話してた。酒を飲みながら話す奴も居ればタバコを吸いながら話す奴も居る。その話の内容はブラックカーネイジの事だった。
「今日もやってたぜアイツのこと」
「またかよ。ヒーロー気取りかよ」
「でも結構やられてるのも本当だぜ?俺のダチの一味も全員しめられたって」
「でも人を襲わなければ襲われないって噂だぜ?」
「あぁ、その通りだぜ?」
不良達が一斉に声のした方向に振り向く。だがそこには人の姿は無く、聞こえるのは声だけだった。
「お前達が誰かを襲わなければ俺は何もしないぜ?あん時だってカツアゲ何かしてるから止めたら襲ってきたから返り討ちにしただけだぜ?」
尚も誰も居ないとこから声が聞こえる。不良達は見えない恐怖に襲われてた。一人の不良は近くの鉄の棒を手に取っていた。
「攻撃しないならこっちからは何もしないぜ?だからその物騒な物は捨てな」
そう言うと不良の腕を誰かが握った。
「ひっ!」
不良の恐怖のあまりに鉄の棒を離してしまった。
「何もしなければ何もしない。別に意味も無く襲わないぜ。何もしなければ、な」
不良の腕を離し、それは静かに去って行った。
「これであいつらが悪いことしなければ良いんだけど」
歩きながら薫はふとつぶやいた。薫は意味も無く手を上げてはいない。不良が誰かを襲っていた場合のみ制裁を加える。それ以外はほとんどが注意や説得だ。今日はこれで3組目だった。
「今日は帰るかな。」
薫は時計を確かめる。
時間は10時を過ぎていた。
薫を家に向かった。暗闇と一緒になりながら。