友として?黒き暗殺者として?③ Re
遅れて申し訳ありません
全体的に書き直しました
『どうだ?あいつらの動きは?』
通信機越しから聞こえる男の声に静かな声で返答する。
「……男達が船に黒くて分厚い箱を四つ並んでいる貨物船の一番右端の貨物船に積んだ」
長いマフラーを風に泳がしながら双眼鏡の先で起きてることを的確に答える。
『分厚い箱……それが今回の標的物だな』
「……ん?誰かが船の中に入っていった」
『何?どんな奴だ?』
「……遠くて良く分からないが黒い服装をしている」
『黒い服装……?』
通信機越しで『ん~……』、と何かを思い出そうとしているようだ。
『……思い出した。多分そいつは最近ニュースでやってる黒き暗殺者だ』
「……ブラックイカーネイジ?」
『ほら、最近ニュースでやっているあの偽善者野郎さ』
「……ああ、あれか」
そう言えば最近そんな奴が出没していたな……。
『もしかしたら襲われるかも知れない、気をつけろ』
「……了解」
『多分奴の能力は透明能力あたりだ。けど、ただの透明能力者が不良の集団には勝てるとは思えないんだよな。何らかの新しい能力と思うんだが……』
また何やら考えているようだ。さっさと終わらせないといけないから詳細を促させた。
「……詳細を早く」
『おおっと、そうだった』
自分の思考に没頭だったのか、思い出したかのような言い方だった。
『じゃ、詳細を言うぞ。潜入に成功したらまず目的の者を探せ。見つけたらそこで渡した発信器でGPSを発信させろ。そうすれば雨宮の能力で俺たちがそっちに行ってみんなでこっちに運ぶ。その間お前は敵に気付かれないようにしてくれ。頼むぜ』
今回は俺が要らしい、疲れる仕事になりそうだ。
「……了解」
彼、イールも港へと向かっていった。テロリストの武器を奪いに。自分たちを襲おうとしたテロリストから。
「……見張りは、居ないのか?」
貨物船に潜入し甲板で物陰に隠れながら様子を伺っていたが見張りが居る様子は無い。見張りを置いておくと怪しまれるからか?こっちにとっては好都合だけど。
薫は慎重に中に入った。中は暗く、湿っ気に包まれていた。薫は「暗闇同化」を使いながら中を調べた。
廊下を歩いていると下に続いている階段を見つけた。これか?
階段を下りると牢屋やしきものがあったが、近くに男が椅子に座りながら寝ていた。
ビンゴ。見張りが居るって事は篠本が捕まっているって事だ。でもどうやって救出しよう。鍵は見張りが持っているしこの部屋はスタンドライトがついている。だから「暗闇同化」は使えない。どうするか…。ライトを消すには近づくしかないし、近づいたり消した音で気付かれるかも知れないし…………。
そうだ。スタンドライトを消せば部屋は真っ暗になる。真っ暗になった瞬間見張りを暗闇に同化しちまえば気付かれても仲間を呼ばれない。鍵は同化させてから取ればいい。
抜き足差し足千鳥足っと。
パチ
スタンドライトを消すと牢屋は真っ暗になった。その瞬間見張りを暗闇と同化させる。見張りは声も出せずに暗闇に吸い込まれた。
あとは俺も暗闇の中に入って鍵を奪うだけっと。
まだ寝てた…。まぁそれはそれで好都合だわ。ここなら音は響かないし声も出せないしな。
薫は見張りのズボンに括り付けられている牢屋の鍵を取ると暗闇の中から出た。
これなら正体がばれることは無いから上着を脱ぐかな。上着の下は普通の服だし。
薫は上着を脱ぐと牢屋の鍵を開けた。
カチャ、ギー
いかにも古そうな音をしながら牢屋の扉は開いた。
「おーい、篠本。起きろ~」
頬をペチペチしながら篠本に呼びかける。
「う、う~ん…。……ん?…薫?」
「そうだよ、だから起きろ」
「どうしてお前がこ…!」
「シーッ。うるさい、ばれるぞ」
……音は無い。どうやらばれなかったようだ。
「ど、どうしてお前がここに……」
「どうしたも何もお前を助けに来たんだよ」
「お前一人で?」
「まぁそうなる。大丈夫、ちゃんと姉ちゃんには連絡入れたから」
「なんで待たなかったんだ?」
「いくら姉ちゃんでもすぐには来れないし、来たとしてもお前を人質に逃げられるかも知れない。そしてらお前が連絡したことがばれて殺されちまう。だから来た」
「お前……」
「無駄話はこれまで。早く脱出するぞ
と、その前に」
篠本には暗くて見えないから今のうちに奪っとかないと。
「行くぞ」
「あ、ああ」
篠本は机に置いてある自分の荷物を取り一緒い牢屋から出た。
お読みになっていただきありがとうございました。
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