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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。

"告白"

掲載日:2026/03/27

台所は明かり一つ無かったが、日中の為か『何も視えない』という程でも無い


君の姿は無かったが、状況からすれば君が最後に居たのは、この部屋だったようにも視える



『先にこれ食べて待ってて』と書かれたメモの先には、弱火に掛けられた寸胴鍋が在る


弱火の為か

誰も視て居なかったにも関わらず、吹きこぼれて居る様子は無い


中身は何かしらの煮込みであるらしく、トマト、玉ねぎ、あとはワインだろうか

柔らかくなるまで煮込まれた肉が、熱で撹拌されて浮き沈みを繰り返して居る


良い匂いに感じたが、鍋の上に設置された雨樋のようなレールが気掛かりに感じて、僕はそれの伸びている先を眺めた


レールは部屋の外まで伸びて居て、何処から始まって居るのか見当も付かない

『それは』『後で視れば良いだろう』と思い直すと、僕は流しに在ったレードルで鍋の中身を掬い、熱を冷ましてから口に運んだ



───なるほど、美味い


どちらかと言えば君の専門分野は、鍋に対して伸びて居るこうしたレールの方だと思って居た

昔から君は工作が好きで、僕の思いも寄らないような物を次々に作っては、僕を驚かせて居た


『近頃は元気が無いようだ』と心配に感じて家を訪ねてみたが、今日は来て良かった

『美味しかったよ』と伝えたら、君はまた僕と遊んでくれるようになるだろうか


事実として、美味しかったので、僕は火傷に気を付けながら、よく煮込まれた肉を幾つも食べた

そして、『ふぅ』と、満足の溜息をつく頃になっても君が現れない為、改めて寸胴鍋に対して伸びたレールを視た



その時、幾ばくかの量の水に流されながら、レールの上を『何か』が流れてくるのを僕は視た


流れてきたのは、煮込まれ加熱されて白色に染まった肉片で、それらはぼとぼとと鍋の中へ消えていく

「具材が、自動で足されていく仕組みなのか」と僕は感心すると、レールを辿って台所を後にした


何故なら追い掛けて行った先には、得意げな顔をした君が待っている気がしたから



レールは台所を出たあと居間を抜けて、家の廊下へと続いて居る


何部屋か視送りながら、夢中で先を目指す

レールは途中で少し曲がりくねると、階段を二階に向けて突き進んで居た


君の家には何回も来た事があるし、泊まった事も有る

珍しい作りをしてて、確か二階には浴室が───



「───浴室を調理場にしたのか?」


大胆ではあるが、一応合理的にも感じられる

早足で追い掛けると、実際にレールは浴室から伸びて居る事が観測出来た


推理が当たった興奮のままに、僕は君の居る浴室に、半ば走るように飛び込んでいく



「美味しかったよ!!!」


君に抱きつこうと、僕は両手を広げながら浴室に飛び込む

内部の景色は予想とは違う状態だった


タイルのあちこちに赤黒い染みが出来て居て、浴槽にはどす黒い、耐えられないような臭いのするものが満ちて居る


浴槽の縁には、両眼を視開いた君の首が載せられて居て

その後ろの壁には赤い、指で書いたような文字で「食べてくれてありがとう、好きだったよ」と書かれて居る



様々な可能性を考えながら、僕はうずくまって両手で自分の口を押さえた

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