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不運死する幼馴染を救ったら懐かれた  作者: ChaCha


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頼りになる相棒

朝の森は、静かだ。

鳥の声と、葉を踏む音と、変成科村の生活音。


もう、慣れた。

目を閉じても、どこに何があるかわかる。


鍋の位置。

乾燥棚。

保存庫。

誰が朝に弱くて、誰が無言で手を動かすか。


「……よし」


干していた布を取り込みながら、ふと顔を上げた。


……視線。


(ん?)


一瞬だけ。

でも、確かに。


気のせいかな、と思って作業を続ける。


「族長、これ使う?」


振り向くと、籠を抱えたレック。

汗をかいてるのに、やけに爽やかな顔。


「ありがとう。そこ置いといて」


頷いて、籠を置く。

……まだ、見てる。


(……?)


別に変な目じゃない。

じっとりでも、いやらしくもない。


ただ――

“当たり前みたいに、そこにある視線”。


作業を再開する。

包丁を持って、野菜を刻む。


「危ないから、ちょっと離れた方がいいよ」


言った瞬間、すっと一歩下がる。


近すぎた距離。

でも、言われたら素直に下がる。


(……律儀だな)


笑いそうになる。


向こうでは、シアンが土を払って立ち上がり、

ファルケが無言で水を運んでいる。


いつも通り。

なのに。


(……あれ?)


また、視線。


今度は、目が合った。


「……?」


首を傾げると、

レックが一瞬だけ固まって――


「な、なに?」


「いや、なにって……」


言葉を探す。

でも、特に理由はない。


「……いや、なんでもない」


そう言うと、

ほっとしたように笑われた。


(……?)


なんだろう。

今日、変だ。


昼。


木陰で簡単な食事を取る。

皆で輪になって座る。


私は中央。

いつもの配置。


隣に、レック。

向かいに、シアンとファルケ。


「これ、甘くできた」


干し果実を差し出すと、

一番に受け取ったのは、やっぱりレックだった。


「ありがとう」


言われて、

なぜか胸がちょっとだけ、むずっとする。


(……?)


食べながら、気づく。


私が動くと、

レックの視線も動く。


私が立つと、

一拍遅れて立つ。


私が笑うと、

理由がなくても笑ってる。


(……んん?)


頭の中で、何かが引っかかる。


でも、答えに行き着く前に、

声が飛んできた。


「族長ー!次、どうする?」


「畑の水路、午後に直そう!」


返事をして、立ち上がる。


その瞬間。


「俺も行く」


即答。


(……うん?)


一緒に歩き出してから、

やっと、ぽつりと零れた。


「……ねぇ」


「なに?」


「今日さ」


一瞬、言葉に詰まる。


「……なんか、視線多くない?」


ぴたり。


隣の足が、止まった。


「え?」


「気のせい?」


問い返すと、

レックは一瞬、目を泳がせて――


「き、気のせいじゃない?」


笑う。


ちょっと、固い。


(……変なの)


でも、嫌じゃない。


むしろ――

守られてる感じに、近い。


(……ま、いっか)


深く考えるのは、後。


今は、生きることが先だ。


歩き出すと、

また隣に足音が戻ってきた。


少し近い。

でも、ぶつからない距離。


(……ほんと、頼りになる相棒だなぁ)


私は、前を向いたまま歩いていった。



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