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不運死する幼馴染を救ったら懐かれた  作者: ChaCha


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三ヶ月分の持ち物

週末。


私は、ひとりで街へ出た。

理由は明白。

三ヶ月分の“生き延びるための持ち物”を揃えるためだ。


背中に背負った、空っぽのリュックがやけに軽い。

今は、まだ。


(……これが全部、重くなるんだよね)


想像しただけで肩が凝る。


セナ「重さが……あると、運べる気がしない……」


小声で呟いた瞬間、通りすがりの人にちらっと見られた。

やめよう。

出発前から縁起でもない。


店が並ぶ通りは、いつもより賑やかだった。

春。

野外訓練の季節。


武具屋、道具屋、保存食専門店。

学生らしき姿も多い。


(あ……)


楽しそうな笑い声が、耳に刺さる。


騎士科と治癒魔術科のグループ。

相談しながら、簡易道具や携帯食料などを一緒に選んでいる。


距離が近い。

自然に、ニコイチ。


……羨ましい。


(我ら、ソロキャンプぞ?)


変成科だけ。

後ろも前も、誰もいない。


一瞬、胸がきゅっと縮んだ。


(私も……ラウルと、ニコイチしたかった……)


頭をぶんぶん振る。


だめだめ。

思考が逃げに入ってる。


まずは現実。

必要なものを、洗い出す。


ひとまず、軽いものからだ。


ドライフード。

乾燥果実。

粉末スープ。


(……軽い、よね?)


手に取るたびに、重さを確認する。

少しでもずっしりすると、棚に戻す。


「三ヶ月分ですか?」


店員さんの声に、思わず頷いた。


「……背負える分だけ、で」


店員さんは、一瞬だけ私の体格を見て、

とても優しい目をした。


「……なるほど」


なるほど、じゃない。


次は生活用品。


鍋。

小さい。

いや、もう一回り小さいの。


ナイフ。

それ、武器じゃないよね?

……いや、武器かもしれない。


(判断基準がわからない)


寝具。

毛布。

軽量タイプ。


(これ……本当に“軽量”?)


持ち上げては、ため息。

戻しては、ため息。


気づけば、周囲には楽しそうな声。


「野営、楽しみだな!」

「夜番、俺やるよ」

「じゃあ回復は任せて!」


……羨ましい(二回目)。


私は、黙々と棚を見つめる。


変成科は、支える側。

だから、武器はいらない。


でも。

“何も持たない”わけにもいかない。


(ねぇ……誰か教えて……)


頭の中で、ラウルに話しかける。


(何が必要?)

(何があれば、生き延びられる?)


返事は、ない。


代わりに、頭に浮かぶのは、

合同訓練で見た“後始末”。


壊れた装備。

焼けた地面。

汚れた水。


……生活。


私は、深く息を吸った。


変成科は、

“生活を成立させる”科。


なら。


鍋は、必須。

布は、多め。

糸と針。

洗浄用の素材。

簡易修復用の触媒。


(あれも……これも……)


リュックは、徐々に重くなる。


肩が、きしむ。


セナ「……行く前から、死ぬかもしれない……」


ぽつりと呟いて、苦笑した。


最後に、食料棚の前で立ち止まる。


三ヶ月分。

一人分。


(……某。ぽいっとな…カプセル…)


売っててくれてたら、どれだけ助かっただろう。


そんなものは、ない。


自分で考えて、

自分で選んで、

自分で背負う。


それが、変成科。


レジを終え、外に出ると、

夕方の風が頬を撫でた。


リュックは、確かに重い。

でも。


(……私が、背負うんだ)


ひとりで。

後ろに立つために。


私は、ぎゅっと肩紐を握り直して、

もう一度、歩き出した。



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