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不運死する幼馴染を救ったら懐かれた  作者: ChaCha


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適性診断当日

王立学園の診断棟は、

白い石造りで、やたら静かだった。

廊下に響く足音が、自分のものだけに聞こえるくらい。


「……なんで、ラウルと別なんだろ」


ぽつりと呟く。


試験は個別。

番号で呼ばれて、順番に入って、順番に出る。

合理的といえば合理的だけど。


「一緒でもいいのにね?」


同じ村、同じ家、同じ日常。

ここまで一緒だったのに、

急に「はい、別行動です」って言われると、ちょっと変な感じだ。


まぁ、試験だから仕方ないか。


そんな軽い気持ちで、私は診断室に入った。


中は円形。

床に魔術陣。

壁には水晶や記録用の魔導具が並んでいる。


「セナ・リーヴェル」


名前を呼ばれて、返事をする。


「中央へ。リラックスしてください」


……リラックス。


(無理では?)


緊張しないように深呼吸。

神殿で習った呼吸法を思い出す。


魔力を流してください、という指示に従い、

身体の内側に意識を向ける。


あ、いる。

いつもの、あの感覚。


ぽわっと、ぬるくて、静かな熱。


無理に動かさず、

巡らせるだけ。


すると――


魔術陣が、静かに反応した。


派手な光はない。

爆発もしない。

でも、陣の線が一つずつ、丁寧に輝き始める。


「あ……」


水晶が淡く震える。

壁の魔導具が、次々に記録を取り始めた。


……え、なに?

私、何か間違えた?


「そのままで」


試験官の声が、ほんの少しだけ低くなる。


言われた通りに続けると、

魔術陣の一部が変形した。


円だったはずの陣が、

ゆっくりと“組み替わる”。


「あれ? 動いた」


思わず口に出した瞬間、

診断室の空気が変わった。


ざわ、っと。


試験官たちが視線を交わす。

でも、誰も何も言わない。


(え、なに? なにこれ?)


不安になりかけたところで、

「はい、終了です」と声がかかる。


……終わり?


拍子抜けしつつ、魔力を引くと、

魔術陣は何事もなかったように沈黙した。


結果は、少し待たされた。


待合室で座っていると、

他の受験者がちらちら見てくる。


(なんで見られてるんだろ)


服装?

姿勢?

さっき何かやらかした?


考えているうちに、名前を呼ばれた。


「セナ・リーヴェル。結果を伝えます」


試験官が、淡々と告げる。


「適性は――変成科」


おお。

変成科!

行けたらいいなが叶った!


地味だけど便利。

生活魔術も拠点支援もできる、縁の下の力持ち。


「やった。実用的」


思わず声が出た。


試験官が、一瞬だけ、言葉を選ぶように間を置く。


「……変成科の中でも、

 基礎操作・持続制御・構造理解の適性が高い」


へぇ。


「ただし」


ぴし、と空気が締まる。


「現時点では未完成です。

 訓練次第で伸びます。

 努力を怠れば、埋もれるでしょう」


……あ、それは、はい。


「地味な分、評価はされにくい。

 だからこそ、積み上げが必要です」


うんうん。

それ、大事。


「以上です」


あっさり終了。


診断室を出た瞬間、

廊下の先で、誰かがひそひそ話しているのが聞こえた。


「……変成科で、あの反応は……」

「いや、記録、ちょっと……」

「本人、気づいてないな」


(?)


首を傾げつつ、私は歩き出す。


ラウルは、まだかな。


別々にされた理由は、結局よくわからない。

でもまぁ、試験だし。


それに。


変成科は、努力の科だ。


派手じゃない。

でも、ちゃんと積み上げれば、

世界を支える力になる。


「よーし」


拳を小さく握る。


「まずは、基礎から頑張ろ」



――努力して、磨かれてからだ。


私は、そんなことを考えながら、

ラウルを探して廊下を進んだ。

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