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不運死する幼馴染を救ったら懐かれた  作者: ChaCha


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100年赤ちゃんやってます

見た目は赤子。

頭脳は大人。


……某コミックアニメか!

と、心の中で自分にツッコミを入れるくらいには、状況を理解している。


そう。

私は――この姿のまま、百年生きている。


百年。


生まれてから、ずっとバブっている。

泣く、笑う、転がる。

さらに言うなら、基本ずっと転がっている。


いや、正確には。

ベビーカーでの爆走は可能だ。


この世界のベビーカー、やたらと頑丈で小回りが利く。

舗装されていない石畳でも段差を物ともせず、

方向転換もスムーズ。


結果どうなるかというと――

赤子が、街を爆走する。


……絵面、ひどい。


私、小林瀬奈こばやしせな

前世の記憶をしっかり保持したまま、異世界に転生した元社会人である。


前世では、最近ハマっていた恋愛小説を何度も読み返していた。


「純愛最高だわ……尊い!

さて、明日も仕事だから寝なきゃ」


そう言って、

小説をぎゅっと握り締めたまま眠った。


――そして、目を開けたら。


長命種の赤ちゃんになっていた。


意味がわからない。


この世界には、いわゆる長命種が存在する。

ハイエルフだの、なんだの。

千年単位で生きる種族が珍しくない。


……長くない?

生命って、もっと短距離走じゃない?

燃え尽きるのが早いから尊いんじゃないの?

と、前世の価値観でブツクサ思っていたら。


百年、赤子だった。


納得できるか、そんなもの。


両親は、超がつくほどの美男美女。

母のマリンは、艶やかな長髪と柔らかな笑顔を持つ美女。

父のエリオスは、整いすぎて逆に威圧感のある美男。


遺伝子的には、私も美女になる予定らしい。

……予定、ね。

百年以上先だけど。


「んまっ!」


隣から、間の抜けた声が聞こえる。


「ふ! む!」


私も、負けじと声を出す。


隣にいるのは、幼馴染のラウル。

同い年――正確には、同じ時期に生まれた存在だ。


見た目は、私と同じ赤子。

だが中身は、たぶん普通に赤子。


……危なっ。


ベビーカーが角に突っ込みそうになった瞬間、

私はとっさに、ちっこい手を伸ばして彼の頭をガードした。


ごつん、という音は鳴らない。

怪我、回避。


ラウルは、とにかく危なっかしい。

前世の記憶持ちである私が隣にいなかったら、

百回くらい死んでいてもおかしくない。


お前、よく百年も生き抜いたな!?


「あぅまぷぶろ!」


感謝しろよ!!

と、全力で主張してみる。


「ん!」


返事はいい。

意味は、たぶん通じていない。


ガチャ。


ドアが開く音。


「セナ~! 今日も可愛いわ!」


この美女が、母のマリン。


「君に似たんだね」


さらっと言う美男が、父のエリオス。


マリンは、私の頭をなでなでしながら、

隣のラウルにも視線を向けた。


「ラウルも、良い子にしてましたか?」


なでなで。


ラウルは――

残念ながら、両親を亡くしている。


大人たちの会話を断片的に聞く限り、

彼の両親は、とても仲が良すぎたらしい。


母が天に召され、

父が毒をあおって後追い。


……何それ、超怖い。


愛が重すぎると、命も軽くなるのか。

理解したくない知識が、またひとつ増えた。


親友の遺児が、同い年だった。

それが理由で、幼馴染として引き取られてきたのが――

今から八十年前。


八十年。


年数だけ聞いたら、もう笑うしかない。


「きゃっきゃっ」


声を上げると、

マリンが嬉しそうに微笑んだ。


「まぁ! 今日はとってもご機嫌ね」


「明日は、とうとう成人式か」


エリオスのその一言で、

世界が一瞬、止まった。


……ん?


今、なんて言った?


明日。

成人式。


我、赤子ぞ???



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