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不運死する幼馴染を救ったら懐かれた  作者: ChaCha


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彼女が変わった

最初に違和感を覚えたのは、

触れた時だった。


ほんの、指先が掠っただけ。

それなのに。


――避けられた。


露骨じゃない。

でも、確かに。


一歩、距離が空く。


「……」


何も言わなかった。

言えなかった。


たまたま。

疲れてるだけ。

そう思おうとした。


でも。


それは、一度じゃなかった。


隣を歩く時。

席に座る時。

笑う時。


全部、少しずつ――遠い。


前みたいに、

自然に腕が触れることはなくなって、

視線も、長く合わない。


(……ああ)


胸の奥で、

静かに、何かが落ちた。


気づいてしまった。


この「お試し期間」は、

もう、終わりに向かっている。


セナは、変わった。


いや。


正確に言えば――

戻ってしまったんだ。


変成科村で、

一緒に生きて、

支え合って、

笑っていたあの距離。


あれは、

特別な環境が生んだものだった。


学園に戻って、

日常が戻って、

そして――


別の名前が、

彼女の中で、

大きくなってしまった。


(……幼馴染)


頭に浮かぶだけで、

胸が、少しだけ苦しくなる。


責める理由は、ない。


俺は、

奪ったわけじゃない。


彼女が、

頷いてくれただけだ。


それでも。


「いつ……切り出されるんだろうな」


自分の声が、

驚くほど落ち着いていて、

逆に、怖くなった。


別れ話。


それは、きっと、

突然じゃない。


もう、

準備は始まっている。


笑顔の裏で。

沈黙の隙間で。

避けられた手の、その先で。


(……引き延ばせないかな)


情けない考えが、

ふと、浮かぶ。


少しでも。

あと少しだけ。


惚れ直してもらえたら。

もう一度、

こっちを見てもらえたら。


でも。


その考えを、

自分で否定する。


(……違うな)


そもそも。


最初から、

俺だけが舞い上がっていただけじゃないか?


セナは、

誰かを裏切るつもりで、

俺と一緒にいたわけじゃない。


支え合って、

安心して、

笑えた。


それだけだ。


そこに、

恋を見たのは――

俺だ。


気づけば、

視線が、彼女を追っている。


食堂で。

廊下で。

訓練場で。


その視線の先に、

もう一人の影があることに、

彼女自身は、まだ気づいていない。


(……優しいんだよな)


誰も傷つけないようにして、

結果的に、

一番、自分が苦しくなる。


そんなところも、

好きだった。


だから。


切り出される、その日まで。


俺は、

何も言わない。


問い詰めない。

縋らない。

責めない。


ただ、

隣に立てる時間を、

静かに受け取る。


それが、

今の俺にできる、

最後の誠実さだと思った。


――終わりは、近い。


でも。


それでも、

彼女を好きになったことだけは、

後悔していなかった。


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