プロローグ
眩しい。
眩しすぎて、目が痛くなるほどに。
白でも金でもない、説明のつかない光が、視界いっぱいに広がっていた。
輪郭があるようで、ない。
近づいているのに、距離が測れない。
――二柱、いる。
感覚だけで、そうわかった。
『幼馴染に救済を!』
唐突に響いた声は、やけに元気だった。
頭の中に直接流れ込んでくるくせに、ノリが軽い。
『そうだ!そうだ!』
もう一柱が、勢いよく同調する。
光が、ぱちぱちと弾けた気がした。
『ずっとそばに居て大切にしてたのに』
『後からきた男にかすめ取られるとか』
『理不尽だよねぇ』
『報われてもいいんじゃない?』
『幼馴染の恋』
『応援したいよね!?』
次々に重なる声。
早口で、楽しそうで、やたらテンションが高い。
……あれ?
これ、もしかして。
「はぁ……まぁ……良いと思いますよ?」
気づいたら、口が勝手に動いていた。
反射に近い。
『『よし!君に決めたッ!』』
二柱の声が、ぴたりと揃う。
「え!? 待って……なに?」
疑問を口にした瞬間、
光が、さらに強くなる。
近い。
熱い。
視界が、白に塗り潰されていく。
『条件は簡単!』
『幼馴染を救って!』
『幸せにして!』
『たくさん愛されて!』
『ついでに世界も楽しんで!』
「ついで!?」
ツッコミを入れる間もなく、
足元の感覚が、すっと消えた。
落ちる、というより――
引き抜かれる。
身体が、光に溶ける。
意識が、薄くなる。
最後に聞こえたのは、
やけに満足そうな声だった。
『じゃ、よろしくね~』
……ほんと、勝手。
そう思ったところで、
世界が、ぷつりと途切れた。




