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鋼と小麦  作者: 井ノ下功
step 2 少し遠出を
26/80

extra scene 点検作業

 ラベンダーはたおやかに漂う。

 レモングラスはさっぱり爽やか。

 マジョラムはどこか神秘的で。

 リコリスは穏やかに微笑んでいる。

 乾燥させて瓶に詰めたハーブを、ひとつずつ検める。ゆっくり、じっくり、時間をかけて。香りが落ちていないかしら。カビが生えていないかしら。だめになっていたらどうしようって思うけれど、そうなったらもう仕方がない。早めに処分して次を用意するのよ。

 コルクをひとつ抜いて、また締めて、丁寧に丁寧に。これって考えを整理するのとよく似ているわ。結論を出さなきゃいけないことは何かしら。間違った方向に進んでいないかしら、ってね。だから思い出す。さっきしたばかりの小さな問いかけ。

 ねぇ、恋に落ちたと確信するのっていつ?

 アマンダは「キスしたいって思った時ね」

 コルネリアは「他の女にとられたらムカつく! って思った時よ」

 エリーザは「この人と一緒にいる時間が、一日の中で一番長いといいなぁって思ったら、ねぇ」

 ジョルジャは「私が相手を好きなのと同じくらい、相手も私を好きであってほしいと望んだときかしら」

 さすが四人だわ、ってあたしは溜め息。だってすごく納得できちゃったんだもの。肉体的な欲求と、精神的な欲求。両方が合わさって恋なのね。

 それじゃ、あたしはどうなのかしら。

 ジンジャーは鋭く刺激的。

 ルイボスは甘さと酸っぱさの混じる顔。

 シナモンは角の取れたとげのように。

 ホーステールは苦みを帯びて。

 ねぇ、あたしはどうなのかしら?

   fin.

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