第2話
「チクショウ!」
家でも考えるのは、ヤツらのことだ。
ずっと、そればかり考えて、イヤになる。
イジメが生活のすべてになるんだ。
本当に心から楽しめる一瞬が、ボクには無い…
何とかしたい…
ボクはネットで調べてみた。
すると、困ったときは、悪魔に願いを聞いてもらえば良い、というサイトを見つけた。
神様がいないのなら、悪魔もいないのでは?
「それでも、何もしないよりはマシだ!」
ワラにもすがる思いで、ボクはネットにある通り、魔方陣を描いて祈った。
家には、杖がなかったので、代わりの孫の手を左右にふりながら…
「エロイムエッサエム! エロイムエッサエム! 悪魔よ! 我のもとに!」
何も起こらない。
やはり、悪魔はいないのか。
本気モードのコメントをつけてたやつもいたのに…
そのとき、だった。
カタと家具の揺れる音がした。
その揺れはしだいに大きくなり、ガタガタと部屋中のものが大きく動き出した。
「な、何だ?」
魔方陣が輝いた。
「ま、まさか!」
眩しさで目を開けていられない。
ボワンという爆発するような音がして、何かがドスンと目の前に落ちてきたようだった。
目を開けると、煙で前が見えない。
ゆっくりとその煙が消えていく…
「ゴホッ! ゴホッ!」
煙を吸い込んで、ボクはむせてしまった。
人影のようなものが見えた。
「あイタタ! なんや、もうッ! うっとうしいなぁ!」
聞こえてきた声…
煙がなくなって現れたのは、やたら露出の多い黒いボンテージ服を着た女だった。
頭には羊の角… 背中にはコウモリの羽… お尻からは矢印型のシッポ…
「あ、悪魔?」
ジロリとボクを睨みつけると、悪魔がいった。
「人間? おまえか? ワシを呼び出したんは?」
うれしくなってボクは叫んだ。
「やった! ボクはやったんだ!」
イエス!とばかりに、ガッツポーズまでした。
女悪魔に取りすがっていう。
「悪魔様! どうぞ私の願いをお聞きください。じつは…」
しかし女悪魔はボクを押しとどめていった。
「あのなぁ、ワシ、遠いとこから来とるねん。わざわざ! おまえのために!」
ボクはいった。
「ハイ、ありがとうございます! だから!」
女悪魔は、イラついた表情でいった。
「オイ! 自分の願いより、何か、まず食わせろや! それが礼儀やろが!」
「はい?」