第1話
どうぞよろしくお願いします。
ボクの人生は地獄だ…
「買って来ましたッ!」
ボクは、自販機で買ったスポーツ飲料を差し出した。
「チッ! 遅せえんだよッ!!」
宮本が、ボクの顔面を殴りつける。
宮本の隣にいる、脇田がいった。
「だからさ… 顔はやめとけよ…」
脇田が注意したのは、ボクを心配して、ではない。
自分たちの悪事がバレるのを、気にしただけだ。
受け取って飲み始めた宮本に、ボクは聞いた。
「ジュースのお金は?」
「後で渡してやるよ」
宮本はそういうが、一度たりとも払ったことはない。
わかっているんだ。
元々コイツにそんな気は無い。
タカリめ… クズが!
そう思っていると、宮本はジロリとボクを見た。
「なんだ? その目は? 反抗的だな? 殴られ足りねえのか?」
「顔はやめとけよ~」
今度は脇田の言葉に従って、宮本がボクの腹を殴る。
中学に入ってから、ボクの学校生活は『地獄』といってよかった。
不良の宮本と脇田に目を付けられ、イジメられていたからだ。
何が目に付いたのか、ヤツらは執念深くボクを殴りつけた。
ヤツらは、ボクよりも成績が良い。
不良のクセに、勉強の成績が良いなんて!
ヤツらは『勉強のストレスが溜まるから』と称して、ボクをイジメた。
担任に訴えたが、クラス内でイジメがあると教師としての評価が下がるのか、全く取り合ってくれなかった。
社会は腐っている!
教育は、正義は、どうなっているのか?
現代社会において、暴力をふるう人間が得をするなんて!
誰も救ってくれない。
親にいってみれば、だって?
「じつはボク、学校でイジメられてるんだ…」
そんな恥ずかしい事、親にいえるものか!
神様に祈ってみた。
なに一つ変わりはしなかった。
知ってるさ!
この世に神などいないんだ!
だから、ボクは一日を、終業になるまで、ひたすら耐え忍ぶ。
この苦しさに、いつ終わりが来るのかと思いながら…
頭がおかしくなる。
生きてて、この世に希望が、何もないんだから…