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9話 お陰様でぇ~!こんなに強くなれましたーッ!!(1)

ーー 時は少し遡って ーー


 「Eクラス対ッ!!Aクラスッ!?入学2日目にして、前代未聞の大決闘ォォオーーーッ!!!さぁッ!!現在のオッズわ~・・・」


 (へぇ~!!決闘の時って、こうして賭けも行われるのか!面白そうだし、俺もちょっくら賭けてみるか?それにしても、入学早々に決闘騒ぎ起こすなんて、何処のバカだよ!)


 15時のティータイム、食堂付近に出来た人混みの中心では、いち早く情報を手にした、2年生の生徒達が主体となり、紅茶を飲みに食堂へと足を運んだ生徒達の注目を集めていた。


 ヤスもまた、そのうちの1人であり、その人集りに吸い寄せられたのであった。


 「大本命ッ!!バルザック・ハーノイン子爵家次期当主候補ッ!!Aクラス所属ッ!!その実力は折り紙付き!!オッズは現在1.3倍だッ!!対するは、アイン・クロスフォード伯爵家三男だァァアッ!!」


 (へぇ~、バルザック・ハーノインとアイン・クロスフォード・・・)


 「って、アイン・クロスフォードッ!?」


 ヤスは思わず、声を出してしまう。


 「そう~ッ!!そこのお兄さんッ!!御目が高いッ!!」 


 「あっ、い、いや、そういうつもりじゃっ!」


 実況をしている2年生の男子生徒に振られ、周囲の視線が集まり、ヤスは戸惑い赤面する。


 「Eクラスであり、その実力はお世辞にも良さそうには見えないがッ!?なんと言っても、彼もまたクロスフォードォォオッ!!名家の名を背負うダークホースッ!!オッズは、現在なんと1.6倍だーッ!!さぁ、買った買ったぁ~!!」


 (ったく、何やってんだよあいつは?)


 と、感じつつ、頭をかきながら、「はぁ。」と短くため息をつくヤスに、「買わないのなら退きなさいッ!!」と、後にいた女子生徒から声がかけられる。


 「あぁ、悪いっ!!」


 ヤスは列を譲った後、(さて俺は、どうしたものかなぁ~。)等と、その場でどちらに賭けるか考えていると、「き、金貨5枚ッ!?」という実況をしていた2年生の男子生徒の声が聞こえてきた。


 「そうよッ!!バルザック様に金貨5枚よッ!!文句あるッ!?」


 「い、いやぁ、文句は、ないんですけど、本当に良いんですか?元金保証とかないんですよ?」


 「分かってるわよッ!!バカにしないで頂戴ッ!!」


 「分かりました!分かりましたからぁーッ!!」


 (ひゃ~!気の強い姉ちゃんだな!それに、金貨5枚って、やっぱ、あるところにはあるんだなぁ~!)


 「よしっ、決めた。」


 そうしてヤスは、銀貨を1枚握りしめて、列へと並び直した。





ーー そして、現在 ーー





 「その臭い口を閉じろッ!!貴様にッ!!栄えあるクロスフォードの家名を名乗る資格はないッ!!ここで、私がッ!!貴様にッ!!引導を渡してやるッ!!」


 「両者、私語は謹んで下さい。」


 決闘場では、生徒達が安全に観戦出来るように、ステージの中心から、半径50メートルの半球体状の結界が張ってある。


 ルールは単純、審判が続行不能と判断するか、降参の二者択一。


 「それでは、所定の位置についてください。」


 審判の指示に従い、白線の引かれた位置へと両者、向かい立つ。


 「構えッ!!」の合図で、両者共に剣を素早く抜き体の前に構える。


 「レディー・・・ゴーッ!!」


 「貴様に、格の違いを見せてやる。・・・モード、#炎雷__えんらい__#ッ!!」


 モード術式、それは、現代魔剣士の主流となった戦闘スタイルであり、発動中、思考加速や肉体強化、速度向上等の効果を、常駐的に身体へと宿し続ける事の出来る物である。


 現代の魔剣士達は、このモード術式をいかに改良し、どれだけ長く維持出来るかが、勝敗を決める1つの要素とされる。


 その性質上、モード術式は、多くの魔力を常時制御せねばならず、その上で、肉体を操作するとなれば、イメージとして、右手で7芒星を書きながら、左手で8芒星を定規無しで、正確に描こうとするぐらい複雑で、困難な事なのだ。


 (へぇ~、そこそこ様になってるじゃん。)


 アインは、待ってやるよととばかりに、剣先を肩へ乗せ、バルザックの様子を伺う。


 (炎を纒い、攻撃力を中心に身体能力を向上、補助的に雷を用いて、移動速度の向上も抜かり無しといったところか。)


 「で??準備は出来た??」


 「フンッ!!知っているぞッ!?貴様は、モード術式すらまともに制御することも出来ないんだろうッ!?」


 そのバルザックの発言に対して、会場中にどよめきが走る。


 「クハハハハッ!!あぁ、その通りさッ!!フハハハハハッ!!」


 アインは、そう言って空へと向かって笑うと、バルザックを睨み付ける。


 「・・・で?だからなんだよ??あぁッ!?」


 最初に仕掛けたのは、アインだった。


 真正面から堂々と突進し、剣をバルザックの胴へと向けて、横薙ぎに振るう。


 当然、バルザックはこれを剣で弾き、余裕で防ぐ。


 そして、すぐさまカウンターの一撃へと転じる。


 (脇腹ががら空き。これで終わりだッ!)


 「なにッ!?」


 アインの剣は弾かれ、体勢も崩れ、防御は不可能なはずであった。


 しかし、腕力のみで、強引に間に合わせたとでもいうのか、アインの剣は、バルザックのカウンターを弾く。


 そこから、超近距離による、激しい打ち合いが始まった。


 一見すれば、バルザックが後一手まで果敢に攻め、アインがすんでのところで踏みとどまっている様に見える。


 しかし、大きく後方へと飛んで退いたのた、バルザックの方であった。


 (どういう事だッ!?何故、仕留めきれないッ!?それに、奴の剣はなんだッ!?なんなのだこの#違和感__・__#はッ!?)


 「どうした??まさか、この程度で終わりか??」


 冷や汗をタラリと流すバルザックに向けて、剣先を肩へ乗せ、余裕の色をみせるアイン。


 「チィィイッ!!」

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