いくら強くても理不尽は襲いかかってくる
カタカタカタッジュドンーバババッ
と、机の脇にはパソコンとプラモデルらしき箱が積み重ねられて、ゴミ袋と空きペットボトルが適当に壁の隅っこに纏められている部屋でキーボードのタイプとヘッドホンから銃声が漏れる
「はいっっっ!!雑魚ダウンンンン!何がヌーブだぁ??ボイチャしてる暇あるのかぁ?私に試合もキルレも負けてるぞぉぉ?」
それ以上の声で怒鳴ってる男がこの部屋に居た
『F*ckyou!Dumb!Jap!!!』
「ほざけっほざけっ!ナメクジみたいにスローリーな下等生物であるてめぇらがっ!このっ!最強っ!である私に反射神経で勝てるわけねぇだるぉんんんん!!」
この男、あろうことか、自分の『能力』を使って大人気なくゲームで無双をしていたのであった。
「思考とっ!反射の融合っ!貴様らみたいな下劣には使えまいっ!!ハッハッハッ!!!悔しかろう?悔しかろう?私と同格に成りたければ一回死んでもう一回死ねぇぇぇ!」
試合は終盤
圧倒的な反射速度で反応し、一方的に避けて撃ち返し理不尽を味あわせて蹂躙を楽しんでる、興奮の真っ最中!
「はっ?‥‥は?止まったんだけど?ねぇ!止まったんだけどぉぉぉゲームっ!!」
突如、音が止まり操作が効かなくなり、ゲームが止まった。
「はあぁぁぁぁっ?!?なんでぇ!?意味わかんねぇっ!なに?フリーズ?サーバー飛んだのか?」
答えは否である、原因は回線落ち
インターネットとの接続が無くなったのである。
「ふざけんなクソッ!おい強強回線どこだよ?謳い文句消えてるじゃねぇかよ‥‥‥っ、スマホも回線切れてやがる」
無理もない、今日本中でテレビやラジオや携帯の電波や基地局のネットが一瞬にして停止したのだから
「ッスッーーーーはぁ、」
ゲームの停止と共に次第に興奮も止まった、モニターには相対する敵を撃ってる動作のまま動かなくなった映像が音もなく流れていた。
【エラー マッチングからのタイムアウト、ペナルティ2時間 】
と、モニターのゲームに表示がされて、回線が復旧したことがわかる
「おせーよ、くたばれ」
強い口調だが、その声は冷え切っていた
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『えー先程、全国的に起こったインターネットやテレビ及びラジオの一時的な断絶は現代調査中であります、なお、この不具合に関しては自然および特異災害の全長とは考えにくく‥』
『本当に特異災害とは全く関係ないんですかー?過去に中東で発生した災害では通信障害が起きたと言う事例が』
『ですから、現状調査中であります。調査機関と国防部の見解としては関連性はない可能性が高いと‥‥』
『過去にこんな大規模な通信障害は滅多にありませし、自然現象的な予兆も感じられませんでした、なら視野を広げて警戒態勢を引いた方が良いじゃないでしょうかー』
『ですから‥』
(くっだらねぇ、そんな所で審議をしても私の戦績は戻らねぇっのよ。)
ソファーの上に胡座をかき、膝に頬杖を立てる。
カメラのフラッシュ音と記者の質問が飛び交う中、俺はテレビのチャンネルを変えた。
『本日来た、武蔵ノ府!○○の○○○にある中華料理屋飛竜天!ここの五目あんかけ焼きそばが絶品と今話題なんですっ!』
切り替えた番組では、【突撃!話題の昼ご飯!】とデカデカとテロップがでて、料理の解説を店主とリポーターがやり取りをしていた
(美味そうだなぁ、そう言えば昼食ってねぇっうか、昨日何も食べてないわ‥‥‥)
美味しそうな五目焼きそばを見て、ここぞとばかりに腹が鳴り出す。
時間は昼過ぎの2時、一日抜いて昼も食べなければ腹も減る
(最近外出てねぇなぁ、最後に出たの2週間半前だっけ?)
最後の外出は河川敷にバスフィッシングをやりに行った時である、人が見れば実に不健康に思えるが、彼はただの人では無い故に不健康とは無縁だ
とは、言えどれだけ強かろうと不健康な生活をしようと、理不尽に腹は減り喉も乾く。
テレビには営業時間と定休日が書いてある、都合よく今日は営業日で有り営業日、久しぶりの外出をするには現状と目的が一致する。
「焼きそば食べたいし、たまには行くかぁ‥‥帰りに適当に食品買ってくれば一石二鳥だ。うーん実にエクセレントっ!」
誰も聞きはしない独り言を呟くとソファから降りて出かける準備を始めるのであった‥‥