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アルカディア ライフ  作者: 継接(つぎはぎ) フラン
第一章 月の内側
3/3

第三話 あの子たちに会う


「私が指示を出すまで動かない、喋らないを守って立っていてください 服装は今のままじゃダメなので えい! これなら大丈夫でしょう」


紅が俺の腰のあたりを触るとそこから赤色の何かが体中に広がり始め、数秒もたたないうちに俺が着ていた白い作業着は赤色の司祭服へと変わった。




「そろそろあの子たちが集まってきます 私の左斜め後ろでじっと立っていてください」


紅が扇の中心にある椅子に座るとそれに続くように俺も彼女の左斜め後ろに立った。

少し経った後、ぽつぽつと劇場の椅子に赤色の司祭服を着た半透明の人達が現れ始め、最初の人が現れてから数分もしないうちに劇場の席は全て埋まった。


「これより定例会を開催します 赤姫会の皆様、今日はよろしくお願いします」

目の前の老人が劇場に響くように声を張り上げ言った。どうやらこの人が司会者らしい


「「「よろしく お願いします」」」


「さて、まずは各地での情勢の変化がおきてないかどうか聞きたいところですが、、、赤姫様そちらの男性はどなたでしょうか?」


「アレク」


「赤姫様 そう言うことを聞きたいのではなくて彼が何者なのかをご説明ください」


「私が生み出した、私の騎士様」


紅がそう言うと会場がざわついた


「そうですか、赤姫様約束の時は近いのですか?」


「そう そっちには一か月後くらいに向かう予定 春日祭(はるのひさい)に合わせたい」


「そんなに早く もう少し時間を取ってはどうでしょうか」


「奴らに感づかれる前に動きたい それに春日祭はるのひさいに合わせれば怪しまれずに地上に行ける」


「赤姫様、質問いいですか」


「大司教ダイアナどうぞ」


春日祭はるのひさいではなく夏日祭なつのひさいではどうでしょうか 夏日祭なつのひさいでしたら我々も出迎える準備ができます そのほうが赤姫様が安全に行動できるかと」


「いや、んー、だめ 夏日祭なつのひさいだと、、、、、」


会議は進み、日程は当初の予定通り春日祭はるのひさいの日になったが、降りる場所が教国の外れからから商国の中心都市その近くの森へと変更された。


「では、大司教達 計画の大筋がまとまった、約束の時の開始、その承認を頼む」


「分かりました 大司教アンバーはこれを承認する!!」

「大司教ベラはこれを承認する!!」

「大司教クリスはこれを承認する!!」

「大司教ダイアナはこれを承認する!!」

俺たちから一番近い席に座っていた四人が次々に声を上げ承認していった。


「以上四名の大司教の承認をもって、私、赤姫こと紅が約束の時の開始を宣言する すべては子供たちのために」


「「「はっ!! すべては子供たちのために」」」


「さて、まだアレクの紹介をしていなかったわね アレク挨拶をしなさい」


この雰囲気の中、自己紹介をするのかよ よし、第一印象が大事だしっかりやるぞ


「アレクです 先ほど生まれたばかりなので至らない点もありますが全力で自分の勤めを果たしたいと思っています どうぞよろしくお願いいたします。」


「では、約束の時の開始、アレクの自己紹介が済んだところで、いつもの定例報告会を再開しましょう 大司教アンバー頼みますよ」


「分かりました。時間が押しているので問題のある方のみ手を挙げてください」


目の前の老人、大司教アンバーが司会者となって定例報告会は順調に進み無事終わった。定例報告会が終わると劇場の人々は次々と消えていった。


「アレクお疲れ様 ほとんど立っているだけでつまんなかったよね これから、大司教4人と本格的な顔合わせをするからついてきて」


紅は体を伸ばしながらそう言った


「え、でもそんな話さっきの会議では出てこなかったような、、」


「みんなの前で言うわけないじゃない さあ、行きましょうか」



俺と紅はすぐさま劇場から出て大広間まで戻ってくるとそのまま二階に上がった。二階に上がってすぐの扉を開くとそこは長机と5人分の椅子が置いてある会議であった。紅は椅子に腰かけ、俺にこう言った。


「アレクは立っててください 立場はまだ確定はしていないし、大司教達を混乱させないためにもね」


紅が座ってから一分もしないうちに、四人の大司教は全員集まった。


「それでは、裏報告会。またの名を、、、お茶会を始めましょう」


「赤姫様 今日はいい茶葉を持ってきたんじゃよ これ今年一番かもしれぬ」

「ひーめーさーま 何ですか今日の会議はあんなの聞いてないですよ」

「赤姫様 名前付けてもらったんだね。ね、ね誰やっぱりこの人?」

「赤様 今日は新作のドレスを持ってきたの、着てみない似合うと思うわよ」


なにこれ、一気にカオスになった。


「はいはい 皆さんアレクが混乱してるので一回静かにしてください アレクもう一度挨拶を」


「あ、アレクです。よろしくお願いします」


「アンバーじゃ 種族は悪魔族 デモニアとミョルニルこの二つの周辺を担当をしている 坊主お茶は好きか?」


「ベラです 種族は人間 教国の担当をしています あなたは仕事を増やしませんよね」


「クリスでーす 種族はエルフで、ハイドランドとテリサスそのあたりを担当してます どうぞよろしく」


「ダイアナよ  種族はハーフエルフ 商国の担当をしているわ ねえ、あなたドレスを着てみない?」


アンバーさんはさっきの会議で司会者を務めていた男性。悪魔族という種族で見てわかるほど、肌に青みがかかっている。

ベラさんは眼鏡をかけていて、赤い髪を後ろで束ねている女性。少し疲れた顔をしているように思える。

クリスさんはこの中で一番若い見ためをした男性。金色の髪に白い肌、そして長い耳を持っている。

ダイアナさんは優美な雰囲気を醸し出している女性。緑色の髪に白い肌、クリスさんの半分くらいの長さの耳を持っている。


「そうじゃ 赤姫様名前を付けてもらったのじゃな 良かったのー アレクに付けてもらったのか?」


「そうだよ赤姫様 名前を貰うなんて あんなに嫌がっていたのに」


「えへへ、いい名前でしょ アレクに付けてもらったのの このことは会員全員に周知させといてね」


「ああああ! また仕事が増えた! なにしてくれてんですか、アレクさん!!」


「いや、そんなこと言われても、、、」


「そうよ、アレクに今言ったって後の祭りよ、ベラちゃん あら、このケーキおいしいわね」


「キーーーーーーッ」


「こら 睨まないの」


ベラさんが親の仇を取るかのような目でこちらを睨んできた。それをなだめるようにダイアナさんがベラさんに声をかけている。そんな二人の様子を見て男性陣二人は愉快そうに笑いながらお茶を片手にケーキや洋菓子を食べている。


「はいはい、みんな 今日は約束の時について話ますよ アレクはこのこと全く分かってないから、アンバー軽く説明してあげて」


「んー、ざっくり言うとじゃな こんな話じゃ、、、」


『我らの神、月女神赤姫が天上の月の住まいから我らが住む地上に足を運び、最果ての地を目指すであろう。その時、女神には女神が作りし騎士がそばにいる。我らは女神と騎士を補助し、最果ての地へと向かう手助けをしなければならない。この役目こそ我らが受ける女神の加護の対価である。我らが女神にできることは数少なく、恩を返すことができるのはこの時しかない。我らはこのことを約束の時とし決して忘れてはいけない。』


「なんか、すごい話ですね 文から熱意が伝わってくるそんな感じがします」


「アレク、君もわしらの援助対象だから、欲しいものがあったら何でも言うじゃよ ある程度は揃えることができる」


「あ、ありがとうございます」


「姫様 本当に春日祭の日に降りるんですか。確かに隕石群に紛れてこちらに向かうことでカモフラージュにはなりますけど、それ以上に奴らに姫様が先に補足される確率が高いです。」


「本来なら僻地で行うはずの春日祭を首都の近くでやることで、僕たちの方が先に赤姫様を見つけて、奴らが手を出せなくする これがさっきの会議で決まったことだけど 赤姫様、不確定要素が多すぎませんか」


「そうよね 先に見つけられるかどうかは今の奴らの情報だと五分五分でしょうし 今回は先に見つけたとしても手を出してくる可能性も拭いきれない 赤様、正直キツイですよ」


「大丈夫よ、ある作戦を考えたの みんなの意見を聞かせてほしいわ まず、はじめに、、、」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「、、、、こうすることで、奴らに捕まることはないと思うわ」


まじかよ、とんでもない作戦だ。しかも危険度が高すぎる


「確かにそれなら奴らに捕捉されることはないじゃろうが、だがその後のわしらのサポートを受けにくくなりますぞ」


「そうだよ そんな方法を使ったら 地上に降りるまではいいけど、その後はどうするの 今のままじゃ到底二人とも地上で生きてく力はないよ」


「私も反対です。もしも、予定以上の数で奴らが動いていたらどうするんですか失敗しますよ」


「上手く決まればこの作戦は強いけど、決まらなかった時、確実に失敗しますよ赤様」


「大丈夫よ 奴らの動員できる数は少なく、練度も低い 注意しなければいけない機械兵も私達の前では出せない いけるわ」


「しかしのう、赤姫様、一番の問題は、、、」


「分かっています。アレクの戦闘力ですよね」


今の俺は闘い方を知らない、この状態のままで作戦を実行したら確実に足を引っ張るだろう。けど紅はこの作戦でいきたい、そんな目をして先程から説得していた。紅がそうしたいという確固たる意思を持っているのであれば、俺は彼女の意思を尊重すべきだろう。


「そうじゃ 今アレクはどのくらい闘うことができるのじゃ?」


今の俺ができるのは紅に賛成して、そのためには何でもするという意思を見せること。


「俺は今、全くもって闘うすべを持っていません。けど、紅がその作戦でいきたいと言うのであらば、一ヶ月後には作戦を実行できるレベルの戦闘力を何が何でも身につける覚悟はできています」


「ね、アレクもこう言ってるようだし お願い、許可して」


「はー、分かりました赤姫様 ただし、わしがアレクを鍛えて合格水準まで至ったらの話じゃ 合格水準に満たなかった場合わしらの作戦で行かせてもらいますぞ 三人ともこれでいいかね」


「そこまで言うんだったらね いいと思うよー」


「アレクさん頼みますよ 勝算はアレクさんの頑張りにかかっていますから」


「そうよね アレクが強くなればそれだけ敵の目もアレクに注目する アレク死ぬほど頑張りなさい」


よかった一旦は紅の作戦で決まりそうだ。俺は紅の願いを叶えるために必死に訓練しないといけないな。一ヶ月か、一ヶ月で俺はどこまで強くなれるのだろう、ちゃんと合格水準までいけるだろうか。


「その顔 お主不安になっているな安心せい、しっかり鍛えてやる」


どうやら、考え事が顔にまで出ていたようだ。


「よろしくお願いします アンバーさん」


「うむ 大船に乗ったつもりで任せてくれ」


「おもしろそう 僕も手伝うよ」


「む、クリスもやるのか じゃあ、わしは魔術を、クリスは近接戦闘を教える。これでどうじゃ」


「いいよー 魔術の方はからっきしだしね」


「クリスさんもよろしくお願いします」


「よろしくね アレク君」


これで俺の師匠は決まった。あとは一ヶ月で強くなるだけだ。


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