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アルカディア ライフ  作者: 継接(つぎはぎ) フラン
第一章 月の内側
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第二話 扉の先には何がある

数分歩いた後、大きな空間にでた。その空間の天井は見ることができないくらい高かく。空間の中心には深い赤色をした円柱状の装置が、見えない天井に向けて真っ直ぐ生えていた。


「最初に普段住むところを紹介しますね ここからはすごく離れているので、これを使って飛びますよ 最初はこれだと一人で飛ぶことはできないと思うので、私の手を握ってください」


そういうと、紅は手を差し出した


「飛ぶ? これを使って?」


見たことのない装置に戸惑いながらも、紅の差も当たり前のような口ぶりを信用し俺は紅の手を握った


「じゃあ、行きますよ 飛んでる最中は絶対に手を離さないでくださいね」


「まって、これどんな!!」


言葉を言い終わるよりも先に紅はつないだ手と反対の手で円柱状の装置触った。

円柱状の装置がまばゆい赤い光を放ちながら、紅と俺を反応する暇もなく吸収していった

上下左右どちらに動いているかわからないほどかき回されて、数秒ぐらいした後、赤い光を放ちながら違う場所の装置から排出された


「もしかして、これが初めてですかこういう装置を使うのは どうですか、初めて飛んだ感想は」


「少しびっくりしたよ 次から、これは一人で使えるようになるのかい?」


「ここからさっきの場所までだけなら一人で行くことはできますけど、それ以外の場所なら最初は私と一緒に行く必要があります」


どうやら先ほどの装置は一度行った場所にしか行けないようだ


「先にこの星の各所を巡りますか?これはかなり大変なので後回しにしたいのですけれど」


各所を回るとなると、さっきの体験を何度も繰り返すことになるのか、、うん、それはいやだな


「いや、装置の説明を聞きたかっただけなんだ 順番を変える必要はないよ」


「分かりました ここを出たら、すぐ私がいつも生活しているところになります 見て驚いてくださいね」

そう言って紅は目の前の大きな扉を開けた




装置のある大きな空間から出るとそこには2階建て構造で吹き抜けの大広間が広がっていた。大広間は今まで見てきた場所とは違い殺風景な赤一色ではなく多種多様の赤色をしており、調度品も置いてあった。それゆえ、壁にある多くの扉が一段と異彩を放っていた。


「ここからがいつも生活しているところです ここが大広間で、ここからすべての部屋に繋がっています」


「へぇ きれいだね つくるの苦労したでしょ」


「えへへ、そんなことないですよ それにここよりもきれいな場所があるのよ その部屋も後で紹介するわ」

紅は褒められたことがうれしいのか、満面の笑みでそう答えた




紅と俺は部屋の一階の、入り口から見て左側の壁まで移動し、一番近い扉の前で止まった


「一階の部屋全部が、いつも使わない献上品を置くところになってます 左側にある扉は本を収蔵している書庫に繋がっています もし入る場合、扉の一つ一つで出るところが違うので注意してください」


「この扉もさっきの装置みたいに移動するのかい?」


「ここにある扉は全て出入りの座標が決まっているので、さっきみたいに移動に時間がかかりません シュって入って、パッって出る感じです」


この扉は先ほどのものが移動場所を決められている代わりに少し時間がかかるのに対し、移動場所は決められないがノータイムで移動できるらしい。こういった居住区域では扉の方が便利なのだろう。


「書庫には向こうの情報が載っている本がいっぱいあるのでこれからよく使うことになると思います 一回書庫に入ってどこにどんな本があるか教えますね ついてきてください」


そう言うと紅は扉を開け、深淵の空間に一歩踏みこんだかと思いきや一瞬にして姿が消えてしまった

恐る恐る足を踏み入れると、目の前には自分の背丈の3倍はある本棚が本を所狭しと詰めながら連なっている光景が広がっていた


「ここが歴史に関係する書物を入れている棚になります もらうそばから入れているので、細かい区別はできていません」


あまりの本の多さに何種類かまとめておいてあるのだろうと思ったが、ここの棚にあるのが歴史に関係するものだけというのは思いもしなかった


「保存とかはどうしているの?」


「あまり詳しいことは分からないのですけれど、保存魔術がかけられているから大丈夫みたい」


本の保存に関して紅はあまり興味を持っていないようだった。しかし、手に取って本の状態を見てみると目立った損傷などが見れないことから保存魔術はかなり高度な技術なのだろうと思われた


「歴史に興味がおありですか?」


「常識としての最低限は知っときたいと思っている けど、まずは文字を覚えるとこらから始めないといけないようだ」


本を開くとそこには見たこともない文字が並んでおり、本を読むことはできそうになかった。契約でもらった言語では文字を読むことまではサポートしてくれないみたいだ


「文字を覚えるのでしたら絵本を読みながら覚えるのはどうでしょうか 絵本なら簡単な文字から学ぶことができると思います」


「それはいい考えだ これが終わったらさっそく試してみるよ」


この世界の絵本はどんな内容だろうか、少し楽しみである


「まだまだ紹介したい部屋があるので、次の部屋に行きましょう」


そう言うと扉を開け、大広間へと戻っていった。続くように自分も大広間へと戻った。

大広間に戻った後、紅は扉を近い順に回りながら、その扉に収められている本の種類を説明していった。

左側の壁、その最後の扉の前で止まると警告を含めた説明をしはじめた。


「ここは絶対に一人で行かないこと、中にはやっかいな本をまとめて置いてあるわ。ここに入っているのは今のあなたには扱いきれない危険なものよ どれだけ危険か知るためにも、どんなものが入っているか一つだけ見せてあげる」


紅は扉に鍵を挿し開けると俺の手を取り扉の先に行った。

先ほどまでの空間と違い、ここは細長い通路になっていて、黒色のトランクが通路の両端にあるカウンターに等間隔で置いてあった。紅は左のカウンターの一番近くに置いてあったトランクを取ると先ほどの鍵を使い中から緑色のきれいな装丁(そうてい)がされた本を取り出した。


「これは持つと植物魔術が使用することができる魔術書です これだけならここに収められはしないのですが問題は」


言い終わるよりも先に本から植物の茎のようなものが無数に生えてきた


「このように使用者の意思に関係なく周りの魔素を吸って本から植物魔術を発動させることです この本により街が一つ壊滅しました ですが対処法は簡単で、周りの魔素をなくせば、ほらこの通り」


無数に伸びた植物の茎のようなものが動きを止め、急激に枯れ、そして塵になった。


「簡単に封じ込めることができます」


元通りになった本を紅はすぐにトランクに戻し鍵をかけ、カウンターの元の位置に置いた。


「このように危険な本がここには置いてあるのでこの部屋には一人で入らないこと 分かりましたか」


「分かった この部屋には一人で入らない」


襲ってくる本なんか読みたくもない、この部屋にはなるべく入らないようにしよう。


「分かったのならいいのです この部屋からさっさと出ましょうか」


紅と俺は部屋から出て大広間に戻ってきた。


「ここと同じで一人で入ってはいけない部屋はちょうど反対側のあの扉もそうなので、それも覚えといてください」


「何が入ってるのか教えてくれないか?」


「んー、ここは本だけなんですけど向こうは道具全般ですね 被った次の日に、起きたら家族を殺していた兜とか、生き血を啜る剣とか」


向こうの部屋はこの部屋よりも物騒なものが入っているらしい。向こうもできる限り近付きたくはないものだ。


「呪われてそうな物品だらけだな 入らないよう気を付けておくよ」


「向こうの部屋は時々扉が勝手に空いたりするので、私がいると勘違いして、入らないように気を付けてくださいね」


うん、絶対に近付かないでおこう 勝手に動く道具とかもはや恐怖でしかない


「次は反対側の部屋に行きましょう 色んなものがあって面白いですよ」


俺と紅は書庫のある壁と反対側の壁の扉を順番に回った。金銀財宝が足の踏み場もないほどある部屋もあれば美術品がきれいに展示されてある部屋もあった。書庫とは違い一つの大きな空間に何個も扉がついているわけではなく、個々の小さな部屋にそれぞれ扉がついている様だった。




「これで一階全ての部屋の紹介は終わりです 二階の部屋の紹介をしたいのですけれど、そろそろあの子たちと会う時間なので先にそっちを済ませましょう」


右側の部屋も一通り見終わった時、紅はそう言って、俺と一緒に円柱状の装置がある部屋に戻った。そして紅が指し伸ばした手を握り、俺はまた見知らぬ場所へと移動をした。装置のある部屋から出るとそこには大きな扇状の劇場が広がっていた。



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