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アルカディア ライフ  作者: 継接(つぎはぎ) フラン
第一章 月の内側
1/3

第一話 俺と少女と管理者

継接(つぎはぎ) フランと申します。今回の作品が初投稿なので暖かい目で見守ってくれると幸いです



「・・・お・・て」


うるさいなぁ 誰だよ まだ眠いんだよ

今日は久々の休みだから昼まで眠る予定なのに


「・・・起きて、ねぇ 起きてってば!!」


それにこんな耳の近く大声で呼びやがって

あとで文句言ってやる


「おーきーてー!!、早くおーきーてー!!」


ほんと うるさい 

それに誰だよ お前!! 俺の母ちゃんかよ


「・・・そう、呼んでも起きないのね」


よし、ようやく静かになったな

あと3時間は寝るぞ、、


「なら こうするまで!! せーの」


ガーーーーン


「いっっったぁぁぁ!!! 何すんだテメェ!!」


「・・・ひっ」


「普通起こす時頭殴るやついるかぁ!! 頭割れたらどうすんだぁ!!」


「ごめんなさい なかなか起きないから、自力で起きれないのかなぁって、、」


「んなわけあるかい!! 今日は久々の休日で昼間まで眠れるから眠ってたんだよ!!」


「だいたい、何だよ 俺の部屋勝手に入ってきて 起こしに来るって 俺はそんなのに身に覚えはないぞ」


「、、、、騎士様何を言ってるの? ここはあなたのお部屋じゃないわ 私の家ですわ」


「はぁ? 何言ってやがる ここは東京都 あ、あ」

おかしい、自分のアパートの住所を言おうとしたら、知っていて当然のはずなのにいくら言おうとしても口から言葉が出てこない


「、、、騎士様 起きたばかりで、きっと混乱しているのね  周りを見てみて」


はぁ? 何言っているんだこの娘は?

周りには自分の部屋が、、、、!!!!

ここは自分の部屋じゃない っていうか何だこの場所

床も壁も天井も全部真っ赤じゃないか

「、、、、何処だよ ここ」


「おかしな騎士様 生まれたばかりだというのにまるでここにつれ攫われたみたいなことを言うのね」


「、、、え? 生まれたばかり?、、、」


「そうよ騎士様 あなたは生まれたばかりよ」


「そんなはずはない だって」


「騎士様 自分の名前は言えますか?」


「、、、、、」

分からない、、記憶を辿ろうとしても起きた時より以前の記憶が思い浮かばない


「きっと 夢を見ていたのよ 誰だって夢は見るわ、だから騎士様が気にする必要はないわ」


「それよりも私のことを紹介してもいいかしら あれ騎士様、泣いてるの?」


「、、、夢じゃない」


「夢じゃない、夢じゃないんだ」

確かに俺はあそこにいた、暮らしていた、人生があった、友達がいた、家族がいた それを俺は忘れてしまった、いや違う、思い出せない、思い出せなくなってしまった

なくしてはいけないものがなくなってしまった途方もない喪失感が涙となって自分の頬を伝っていく


「騎士様 大丈夫?」


それで解決するはずもないのに熱情のまま、勢いよく目の前の少女の頬を叩いた


「起きたら 記憶がなくなったんだぞ!何なんだよ 何が起きたんだよ!!」

ぼろぼろと涙が溢れていく


「騎士様 安心してください 私がいます 私がついています」

そう言って少女は俺のことを抱きしめた


少女は抱きしめる力を少し強め、俺にゆっくりと語り始めた


「一人になるのは辛いですよね、悲しいですよね 私もあなたが来るまではずっと一人でここにいました」


「泣かないでで あなたの今の気持ちはよく分かってるつもりだわ 大丈夫 私がついてる あなたを一人にさせないわ だから泣くのはやめて笑顔になって」


名も知らない少女の言葉とぬくもりで自分が冷静になっていくのを感じた


「、、、そうだよな、殴ってごめん」


「こちらこそ、騎士様のことを信じようとしなくてごめんなさい」


「あと、、、そのぉ、、」


「ん?どうした?」


少女は頬を赤らめ、顔を手で覆い隠し、恥ずかしそうにしはじめた


「ふ、服を着てください!!」

さっきのお返しとばかりの強烈なビンタが頬に飛んできた

その記憶を、最後にまた俺は夢の中へと旅立っていった


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




導かれるように目の前の扉を開ける 

開けた先には真っ暗な部屋と白い椅子がひとつ置いてあった

椅子に座ると自分の意識が鮮明になっていくのを感じた


「今度はなんだ?」


「今回は混乱しないんだ 前回はよほど記憶を、失ったのが応えたみたいだね」


不思議な感覚だ

前から声が聞こえるのに、前に暗闇が広がるだけで何もない、それなのに自分は違和感を覚えない


「まぁ、記憶を失うのは契約の一つだとはいえ発狂して死ぬ可能性もあったから、泣きじゃくるくらいならまだ可愛いほうだね」


「さっきから、一人で話しているけど お前はなんなんだ?」


「そうだねぇ 管理者とでも呼んでくれればいいよ 今回は君が記憶を失う前にした契約のことについて説明に来たんだ」


「契約? 何だそれ」


「君が前世でおこなった約束だよ その約束の結果、君はこの世界に転生した そしてやらなきゃいけないことがある」


「やらなきゃいけないことねぇ、、」


「信じてなさそうだね けど運命はその方向に動き出しているから否応にもやることになるよ」


「、、、、」


「こちらからも、できる限りサポートはする それに君の残っている契約はあと一つ、あの子を連れて極点にたどり着くことだけだよ」


「何処だよそこ」




「さて、そろそろ目覚めの時間だ 君が契約した内容を簡単に伝えよう

一つ目に記憶を対価にこの世界の言葉を手に入れる、二つ目に転生を対価に私のサポートを受ける、三つ目に極点に行くことを条件にある人物の命を救う

この三つが君の契約した内容だ よく覚えているように この世界についての細かい話はきっと彼女がしてくれるだろう では、君の旅に幸運が在らんことを」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「うっ、、、うっうっ」

頬を叩かれたはずなのに首が軋むように痛い

どんな馬鹿力でビンタしたんだよ


「やっと起きましたわ まだ、痛みますか騎士様」

こちらに近いて、少女は心配そうに声をかけてくれた


「あぁ、大丈夫だよ それにこれでお相子だね」


「ふふっ そうですね 騎士様とお揃いです」


「それにしても、変な夢を見たなぁ」


「変な夢?」


「今でも鮮明に覚えていているのだけれど 契約がどうとか、極点に行けだとかそう言う話をされた」


「騎士様それは夢の人ですね 私も何度か夢の中で会っていて、その人に頼んで騎士様を生み出すのを手伝ってもらいました」


「つまり、俺とあいつと君の契約の結果ここにいるってこと?」


「多分そうなのです 契約の力は強いので体を入れ替えることくらいできると思うわ」


「まって 体を入れ替える?」


「その話は着替えてからしましょう ここに服を置いておくので着替えてください」

そう言って少女は、着替えを枕元に置き足早に部屋から出ていった


着替えながら自分の体を見てみると、髪の毛は赤色をしており、肌の色も白かった

自分の体が自分の物じゃなのに、記憶とは違い喪失感は覚えなかった


服は白色をした作業着のような服で、着た感じとても動きやすかった

着替えが終わり部屋の扉を開けると少女が待っていてくれた


「騎士様 その服似合ってますよ」


「ありがとう これで色々なことを話せるね その前に名前を聞いてもいいかな?」


「、、、名前ですか?」


「嫌かい?」


「嫌ではないんですけど その、名前がないんです 今まで一人だったから、、、」


「名前がないと不便だから、俺が付けてもいいかな」

名前が無いとは思いもしなかった

本当にこの娘はずっと一人だったんだ


「えっ、いいんですか じゃあ、わたしは騎士様の名前をつけてもいいかしら」


そうだ、俺も名前が無いんだった

「ああ、よろしくお願いするよ」


目の前の少女をよく見て、名前を考える

赤い長髪に白い肌と赤い目、そして赤いドレスを見に纏う姿はとても普通の人間には見えなかった


赤色、赤色か、よし名前はこれにしよう


「決まったかい?」


「、、、決まりました!」


「じゃあ、俺から言うね」


「はい!!」

少女から満面の笑顔が溢れた


(くれない)でどうかな?」


「クレナイ、いい名前私にぴったりだと思うわ」


子供だから、上手く発音できないのだろう

けれど嬉しそうに笑って、何度も繰り返している


「俺の名前も教えてくれるかな?」


「あなたの名前はアレク アレクよ 私の好きな宝石アレクサンドライトから名前を取ったの どうかしら」


「とってもいい名前だと思うよ ありがとう」


「名前もつけ終わったことだし、そろそろ色んなことを説明するわね 分からなかったら質問してもいいわよ」


「あぁ、よろしく頼むよ(くれない)

(くれない)だけが今の自分の情報を手に入れられる手段だ

根掘り葉掘り聞いて、自分が何なのかを知らなくてはならない


「まず、ここは、、、、」


--------------ー---------


色々すごかった 

ここが月に該当する所であること、そして()()の惑星では無いこと、極点に向かうには敵対している団体が管理している星に降りなければいけないこと、(くれない)と自分が()()では無いことなど一度に話すべき内容では無いことが一気に説明されて頭がこんがらりそうになった


「つまり、俺と紅はエイリアンっていうこと?」


「エイリアン いい響きね、そうよ私達は()()()()()にとってのエイリアンよ」


「そうか 向こうには俺たちの正体はバレないよな」


「ええ、そうよ 見た目は完全に人間だからバレる可能性はないわ それにアレクは、私がいる限りは()()()()から安心していいわよ」


「、、、俺は死なないのか 最悪の場合、紅を逃せば良いわけだ」


「そうね けど無茶は出来るだけしないこと、約束できる?」


「ああ、分かった 今の俺には闘う手段がないのだが、どうしたらいい?」


「それなら、この体の使い方を覚えながら闘い方を覚えましょう けどその前にここの案内とあの子たちへの紹介をしますね」


「それから、アレクこれからよろしくなのです」


「こちらこそよろしく 紅」


そうして、俺たちは長い通路を歩き始めた







「そうだ 何で俺のこと最初、騎士様って呼んだの?」


「それは秘密です」

嬉しそうに笑いながら紅は答えた

人間の人格は記憶をもとにできていると聞きます。その記憶がなくなったら人間は一体どうなってしまうのでしょうか......



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