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5話 レッドドラゴンの正体


 眩しさの中、頭の中に奥ゆかしい声こだました。


―――お主が、選ばれた者だったということか


『どういうことだ?』


―――異界より現れし、異能を持ついずれ英雄となる者ということよ。排除など企てて、すまなかったな。


『お前まさかっ、あのレッドドラゴンか?』


 そこでまばゆい光とともに、頭の中に響いた声は消えた。


 なんだテレパシーでも送られたんだろうか。だとしたら、超能力者がいるのか!? このセカイには!


「いててて……ふぅ、やはりさすがのわしも異界の英雄にはかなわぬか……」


 眩しく光っていた中心。あの巨大なレッドドラゴンがいたところには、巨体の影も形もなかった。


 ただ、そこには、可愛らしい女の子がへたり込んでいたのだ。


「まったく、派手にやってくれて。わしの体が傷だらけになってしまったではないか」


 俺は不思議に思い、その女の子の目の前に浮遊した体を下ろし、声をかけてみた。


「お前、まさかとは思うが……さっきのレッドドラゴンとなにか関係があるのか?」


 赤く巨大な図体が姿を消し、代わりに女の子が出現したのだ。まさかまったく関係がないわけはないだろう。


 思ったとおり、目の前の少し傷がついているローブを纏った女の子は立ち上がってこういった。


「ん? 見てわからぬのか。お主とさっきまで戦闘をしていたのは、何を隠そうこのわしじゃよ」


「お、お前があのドラゴン?? なんだ俺に幻覚でも見せられてたって言いたいのか?」


 いやしかし、それもなかなか難しいんじゃないのか? 俺ですらテレパシーで、夢の中ならまあそのくらいの幻覚を見せてやることは可能かもしれないが……まさか、こいつは俺ですら使えたことのない、ヒュプノの催眠能力でも有しているんだろうか? だとしたらこいつが俺と同じ超能力者なのでは!?


「ちがうよ。わしの実体じゃ。むしろ今が変身していると言っても過言ではないだろう」


「変身だと……? そんな超能力があるのか??」


「は? お主、異界からの英雄だと言うのに、頭が弱いのう。『魔法』じゃよ『魔法』それで姿かたちを変形させておる。もちろん実体でな」


「ま、魔法だとっ。確かに炎の息を吐いていたときも、光っていたときも魔方陣が出ていたような……幻覚じゃなかったのか」


「うむ、魔法じゃよ。お主だって、魔法陣は出ていなかったようだが使っていたではないか。むしろ魔法陣を隠して魔法を放つなど、わしのほうが原理を聞きたいくらいじゃ」


「いや、俺のは魔法じゃない。超能力だ。仮にお前が言っている魔法が実在したとしても、少なくても超能力にはできないことを沢山できている。だから俺の超能力とは別物だろう……」


 やっぱりセカイって広いな……まさか魔法が実在したなんて。いや元々いたセカイなら、魔法なんてなかっただろうけどな。このセカイ特有の原理をもとにしてやっているんだろうな。解明のしがいがありそうだ。


「ま、なにわともあれじゃ。わしの名前は、スミレ、それはそれは昔にお前さんと同じような英雄が来てなそのときにつけてもらった名なのじゃ」


「そうだったのか。俺の名前は本街快斗。全然まだ状況が理解できてないが、よろしく頼むよ」


「うむ、いいだろう快飛。して、先程はいきなり攻撃して済まなかったな。この城には、強力な力を持った侵入者が入ると自動的にわしが召喚されるシステムになっておって、まさか相手がかの英雄なる者だとはわからなんだ」


「あのさ、そのさっきから言っている、英雄っていうのはなんなんだ? 俺のことを言っているのか?」


「なんだお主、この国の姫から聞いておらんのか? まあよい、後で説明してやる」


 スミレと話し込んでいたとき時だった。上の方から声がした。


「おーい、かいと~~~~。だいじょーぶなの~~~???」


 莉乃が心配をして声をかけてくれたようだった。

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