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はぐれスライム逃亡記  作者: 夕月 遥
第一章・臆病風に誘われて
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LV1


 これは、たぶん夢だ。

「こ、のっ! いい加減くたばれ」

「うおおおおるあああっ!」

 現実にはお目にかからないような西洋甲冑で身を包んだ見知らぬ多勢に囲まれ、ダンスホールのような部屋に響き渡るような怒声の中、数多の剣を、斧を、槍を振り下ろされ続けて。

 にもかかわらず痛みは一切無いのだから、やはりこれは現実ではない。と、思いたい。その割にはやけに鮮明な光景ではあるのだが。

 そして俺は上手く声を上げることも出来ず、連中の足元に転がされて見下されて、手足も動かせず……いや、手足は無理だが身体の方はどうにか移動できそうだ。

 行きたいと思った方向へと、転がっている? とも何か違う。浮いてるような、滑っているような、不思議な感覚。

 例えるなら強力な磁石の同極同士を無理に近づけようとして弾かれ続けているような手応えだろうか。

 流石は夢の中と言うべきか。この場合は確か明晰夢、だっけか?

 そんなことを考えている内に、聞き捨てならない単語が連中の背後、壇上からこの兵士達に指示を出す人物から飛び出してきた。

「ええい、何をしておる。早くそのシルバースライムを仕留めよ!」

 ……今なんて?

 シルバースライム。俺が知る有名ゲームのボーナスキャラで、最上位優先討伐対象。

 やたらと防御力だけは高いが体力や攻撃力は少ない為に誰でも狩れる可能性があり、逃げる可能性は高いものの運よく倒すことができれば得られる経験値は他に類を見ないほど多い。

 更に、低確率で落とすと言われているレアドロップアイテムはそれひとつの流通で市場が騒ぐほどの超高額品と、まさにラスボスの次ないし遊ぶ人によってはラスボス以上に倒さない理由がないモンスター。

 それが何処に? と辺りを見回したところで近くの、鏡のように磨き抜かれた鎧には確かに、シルバースライムがの姿が映っていた。

 そしていろんな連中から目の色変えて攻撃されてるにもかかわらず、一切のダメージを受けてる様子が無い奴がここに居る。つまりは、だ。


 まさか――俺か?



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