プロローグ・1
完全に気分で書いていくので、不定期となりますが、頑張って行きたいと思います。
2月18日、夜0時丁度、日本と言う国の東京都の某所にて、とある青年が死んだ。
青年は仕事帰りに自宅へ向かって帰宅しようとしていた所、居眠り運転のトラックに轢かれると言う、なんの取り柄もない死を迎えた。
「(………ここは……どこだろうか………。)」
青年の名前は紀蛸 心紋。年齢は22歳。
少し珍しい名前だが、彼自身この名前を気に入っており、付けてくれた両親に感謝しているぐらいだ。
彼は、大学に通っていた頃は生物学を研究していた時期があり、特に蛸に関しては名前から縁を感じて深く興味を示していた。
友人から呼ばれるあだ名は『シモン』。
由来は、彼の名前のしんもんと言う言い回しが呼びにくく、友人がふざけて付けたシモンと言う名前が定着してしまったからである。
「(……ああ、そう言えばトラックに轢かれたんだっけ……我ながらテンプレらしい死に方したなぁ……。)」
彼、心紋は友人から、ネット小説や漫画、アニメ等のヲタク的知識を教えられ、一時期軽くハマっていた。
「(……嫌だなぁ……、やっと大学を卒業して人生これからだって言うのに……ホントに……いっその事神様でも現れて第二の人生でもプレゼントしてくれればいいのに……。)」
心紋は身体が流されるような感覚に身を任せ、思考に耽る。
「(まだ見たいこともやりたい事もいっぱいあったのに……ああ……そう言えば……今度の土曜日にみんなで水族館に行こうって約束してたっけ……くそォ……行きたかったなぁ……。)」
そう思考していると、突然彼は目の前が真っ白になる感覚を感じた。
◆
……真っ白い光が収まり、心紋は目を開ける。
「………え?」
心紋は自分の身体の感覚が戻ってる事に驚愕する。
「やあ、どうやら無事にここに辿り着いてしまったんだね。」
「うおっ!?」
心紋は突然背後から言葉をかけられた為、驚いて後ろを振り向きながらも転んでしまった。
「おっと、すまないね、大丈夫かい?」
心紋に話かけたのは、簡素な和服を着た金髪の美少年。
「あ、ああ……所で、君は………。」
心紋は少年に話しかける。
「僕はエイヤフォヴァ。気軽にエイヴァと呼んでくれ。」
エイヴァそう言って笑う。
可愛さを感じる中性的な顔なので、心紋は「この顔が渋谷の街中に晒されててらきっと腐ったお姉さんの餌食になりそうだな……。」と心の中で呟く。
「たしかに、前に渋谷に遊びに言った時はやばかったね、危うく貞操の危機だったよ……。」
心紋はその言葉を聞いて心の中で納得するが、ふと疑問を感じる。
「あれ?俺今渋谷の事喋ったっけ?」
そう、心紋は心の中では喋ったが、実際に口には出していない。
「ああ、僕は肉眼に収めた人の心を読むぐらい簡単に出来るからね。」
と、目の前の美少年、エイヴァは簡単に言う。
「いやいや、普通はそんな事できねぇって……ってか、それが出来るお前は何なんだよ……。」
心紋は純粋な疑問をぶつける。
「ん?僕?……僕はね……神様なんだっ!!」
エイヴァは自らを神様と名乗る。
「へぇ〜、神様か〜………っておい!!」
「ん?何かな?」
「いや神様ってマジかよ!!って事はここは転生の間みたいな感じなのか!?」
心紋は、生きていた頃に身に付けた知識に似たようなパターンがある事を思い出しす。
「ハイハイ落ち着いてー、ひっひっふーだよ。」
エイヴァは心紋を落ち着かせようとジョークを言う。
「ひっひっふー………ってそれはラマーズ法だろ!!」
心紋はかつて友人とやったネタを思い出してツッコむ。
「落ち着いたかい?順を追って説明するから落ち着いて聞いてくれ。」
心紋はある程度落ち着いたのか、頷いて了承する。
「先ず、君が死んだのは有給をとっているとある天使の代理をしていた天使のミスでね、君をウッカリトラックに轢かせてしまったんだ。」
「うわぁ……テンプレじゃねぇか……。」
心紋は生前の知識でテンプレと呼ばれたあるあるの一つに当てはまる死に方をしてしまった事に呆れる。
「まあ、彼女にドジっ娘属性を付けたのは僕だから、元凶は結局僕ってことになるけどね。」
「いやお前のせいかよ!!」
心紋は大元の元凶の頭を軽く叩いてツッコミをいれる。
「アハハ、じゃあ話を続けるよ。」
「スゥーハァー……ああ。」
心紋は早くなった心拍を落ち着かせる為、深呼吸をすして再び頷く。
「それだけなら地球管理システムが自動的に魂を回収して輪廻の輪に組み込まれるんだけどね……そういう時に限ってまたドジっ娘の彼女がやらかしてね……パニクって世界のシステムの制御を一瞬だけ落としてしまったんだ。」
「どんだけドジっ娘なんだその天使は……。」
心紋はその天使のドジっ娘さに軽く呆れる。
「まあまあ、彼女ももう少しで仕事が終わると油断していたんだよ、僕の方からお仕置きはしておいたから心配しないでくれ。」
「お仕置きってなんだよ……お前がドジっ娘属性とか付けるから……可哀想に……。」
「まあ、お仕置きと言っても、一週間猫耳メイド服ですごすって言う恥ずかしいお仕置きだからそこまで酷くはないでしょ?いやぁ、彼女が恥ずかしがりながらも僕にお茶を持ってくる仕草がもう堪らないよ……フフッ。」
「お前可愛い見た目して結構Sなんだな。」
心紋は一度この神様との距離感を考え直そうかと思ってしまった。
「えー、だってMな神様ってどうよ……なんか神様っぽく無いだろう?」
「そりゃあ……そうだが……。」
心紋は納得のいかないような顔をする。
「まあ、そんな話は置いといて……。」
「お、おう。」
「世界を管理するシステムが一瞬落ちた結果、君の魂だけが輪廻の輪を外れて、本来なら時間をかけて消滅する筈の魂が、僕と僕が創造した天使のみが存在する世界、天界にたまたま辿り着いてしまったんだ。」
「おっ、おう。」
「ホントにもう、管理システムが落ちたのは数回あったし、輪廻の輪を外れた魂も過去に居ないことは無いけど、ここまで辿り着いたのは君だけだよ……しかも君の魂の異常な程の適応力の所為で僕と君の繋がりで強制的に出来てしまっていつの間にか僕の眷属になってるし……。」
「待ってそれ初耳なんだけどぉ!!」
心紋は慌てて目の前のドSショタ神に苦情をなげる。
「そりゃあ言ってないからね。」
「いや言えよ!!」
「だって言わない方が面白そうだったんだもん。」
「面白そうで勝手に眷属化みたいな感じの被害者になった俺に謝罪の一言も無いのかよ!!」
「いや、僕の眷属になるのって結構名誉な事なんだよ?僕の眷属は今の所天使達しか居ないんだから、君は実質天使になったも同然なんだ。」
「へぇ、それって自分も確認出来るのか?」
心紋は、生前の知識のステータス等を思い浮かべ、質問してみる。
「今の君なら出来ると思うよ。『コマンド・オープン』と頭の中で唱えればいい。」
「(コマンド・オープン)」
すると、目の前に、文字列が並んだ半透明のボードのようなものが出現する。
「うおっ。」
心紋はいきなり目の前に出てきたボードに驚いて声をあげてしまった。
「それはシステムボードと言ってね、僕や僕の眷属以外には使う事のできないシステムさ。」
「ん?お前にも見えているのか?」
「ああ、同じシステムボードを使える者なら見ることが出来るよ。」
「ふーん。」
心紋は素っ気ない返答をして、目の前のボードに目を向ける。
そこに記載されていたのが……
▼システムボード
名前「シモン(紀蛸 心紋)」
種族「人間(仮)」
存在位階「5(暫定)」
魂の器「レベル6」
能力
エキストラスキル
「システムボード」
「毒の王」
「適応力」
「限界突破」
ユニークスキル
「擬態」
「毒素分解」
ノーマルスキル
「水中呼吸」
「粘膜」
「言語理解」
存在定義「唯一神の眷属」
システム権限「レベル1」
「………何コレ?」
主人公、転生する前からヒョウモンダコになりつつある。




