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7/11

7/5(木)その3:台風、再び

「三上先輩、いいかげんあきらめてください!」

 さっきの続き、3時間目の休み時間。

 昨日のデジャビュかのごとく、我が2−Bでは親友・三上浩之と生徒会代表・中島依子の押し問答が繰り広げられていた。

「絶対にやだね」

 頑として譲らない浩之。

「今日もやってるの?」

 クラス委員の榊原が飽き飽きした様子で俺に話しかけてくる。

「台風は停滞中。未だ通過の兆しを見せなくてな」

「え、どういうこと?」

「ひとりごとだ、気にすんな」

「まぁいいや。でも、なんでそんなに三上にこだわるんだろうね?」

 たしかに。そこは昨日から疑問だったことだ。

 浩之のファンだとしても、さすがにあんだけ断わりゃ諦めるのが普通でないの?

「三上がもうちょい乗ってやれば、楽しいんだけど」

 安倍までもが適当なことをほざいて煽ってくる。

「浩之も必死なんだから、火に油注ぐようなこと言うなって」

 俺が注意すると、安倍は乾いた笑みを浮かべ、

「後輩いじめるのもいい加減にしとけば?」

と言い残し廊下へと歩いていった。

「今の、聞きましたか? そこの先輩も私に賛成なんですよ?」

 なにも知らない中島は、すっかり曲解しているらしい。

「あいつは趣味で中島の味方をしただけだ」

「趣味?」

「性的嗜好ってやつだな」

 浩之さんが分かりやすく解説を加える。

「えー! 私が好みなんですか? 困りますよ〜」

 といいつつも内心嬉しそうな中島。これだから女は…。

「そうだぞ、安倍なら快く引き受けてくれるだろう?」

 すかさず人身御供を差し出す。浩之の最終手段でもある。

「えっ、でも、私は三上先輩のほうが…」

 ポッと顔中真っ赤になる。

 え、まさか……。

「いや、俺、年下興味ないし」

 最後通牒。中島が石のように固まる。

 たしかに、浩之の好みはオンナの魅力溢れたお姉さまだ。タイトなスーツを着こなす悪女がタイプと昔に聞いたことがある。事実かどうかは知らんが。

 しかし、このテンションの下がりようは…まずくね?

「おい、浩之」

「?」

「中島、固まってんぞ?」

「でもよ…これ以上幻想もたせんのも悪いだろ?」

 冷たい男。嫌いじゃないけど、俺とは違うタイプなのはたしかだ。

「中島、聞こえてるか?…中島?」

 あちゃー。

「浩之…これ、まずくね?」

「ほっときゃ直るだろ」

 やっぱり冷たい男だ。

「だからって放っておくのも…」

 榊原が心配そうに中島を見つめる。否、観察する。

「電気ショックでも流してみるか」

 この冷血漢はなに物騒なこといってるんだろう。

「そもそも、持ってんのかよ」

「非常用ってやつだ」

「三上君、それ校則違反」

 クラス委員としては、見て見ぬふりはできないようだ。

「なに、○学5年生の付録だから安全だろ?」

 んなもん、付録に付いてこないことは120%間違いない。

 一時、凍りついた局面を打開したのは、年中春の間抜けな声だった。

「和くん、どうしたの?」

 真っ先に気づいた榊原が声をかける。

「あ、四条橋さん」

「ちょっと…この子、固まってるけど…」

「見ての通りの後輩いじめだ」

「俺がいじめとは心外だな。後輩いじりの間違いだ」

 浩之が心底嫌そうに頭をかく。

「三上くんってやっぱりモテるんだね」

 澄香の感想も的外れじゃない。なんてったって、クラスのアイドル。ラブレターならぬラブメールが週に数回は入るらしいし。

「まさに御三家張りの人気だな」

「…御倉っていくつ?」

 ほっとけ。

 それよりも、中島だ。

「おーい。生きてるか?」

 試しに頭をポンポンと。

「う、んん?」

 ようやくこっちの世界に帰ってきたようだ。

 しかし、次の一言でそうではないことを知らしめることになった。

「あっれ。私なんでここにいるんだっけ」

 …アウト。

 

 結局、澄香がしどろもどろで説得し、中島はクラスに帰ったが。

 人間って都合のいい仕組みなんだな。


更新、大変遅れました。申し訳ありません。

お待ちになっていた方にはお詫び申し上げます。

ちょっと私事が立て込んでまして、面接やら荷造りやら。まぁ言い訳にもなりませんが。


依子さんの2話目です。

便宜上、プロローグは別にありますが、まだプロローグは終わっていません。メインキャラ…というか各ヒロインが出終わって、それぞれ顔見せ的な話を2,3話やって本編突入です。ゲームだったら、主題歌挿入前ってところです。


正直、前回の依子回はあんまり読者数が伸びないと思っていました。

天然な幼馴染、悪友な関西人、ミステリアスな絵描き娘、クールビューティーな副担任。

スペック的にはかなり厳しいものがありますから。かのチハたんでティーガーに挑むようなものです。

しかし、それなりの読者数が出てきてうれしい限りです。


次回は1時間足らずで更新します。

では評価感想お待ちしております。


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