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四式戦『疾風』、インド洋を駆る

作者: reven

※ この話は舞台設定を含めて全てがフィクションです。

 ぼーっと空を眺めながら、タバコを吹かす。

そんな時間が、男は好きだった。


 熱帯特有の刺すような太陽光に晒されながらも、抜けるような蒼空と流れ往く雲をぼーっと眺めている。

クニでこんなことしてりゃあ、どやされるんだろうなぁ、などとも思ったりしながら、青々とした芝生に身体を横たえる。

口元から漏れる紫煙は、ささやかな風に巻かれ、やがて周囲に消えていく。


 少し首を持ち上げれば、眼下には海も見えた。

透き通った群青の大海原は、空に負けず劣らず壮観だ。

砂浜に打ち寄せる波濤が、生まれては消える様を見たりもして、首がしんどくなった辺りで、再びごろりと寝転がる。

南方特有の光景は、男にとっては見慣れたものでもあったが、風に吹かれて草むらに横たわるのはなかなかに極楽だった。



 時折吹き抜ける強い海風は、潮の気をたっぷりと含みながら、しかし、この晴天下ではなかなかに心地よく。

肌に伝わる風の感触に、男は思わず目を細める。

吹っ飛びそうになる飛行帽を咄嗟に押さえつけながら、タバコをくゆらせつつ、空を仰ぎ見続ける。

手元のアメリカンスピリットが、ジジジ、と音を立てていた。

もうすっかりこの味にも慣れてしまった、と男は思った。

ほまれじゃないと、と拘る後輩の姿を思い起こしつつ、ケムリを上方へと吐き出してやる。



 抜けるような青い空。ずっと眺めていれば、どこまででも駆けられそうなくらいに、広い広い空だ。

思わず手をかざしながら、空を見つめる。

強烈な日差しを掌で遮りながら、空を眺めていた。









──不意に、サイレンが鳴る。




 地鳴りのような、人の不安を掻き立てるような音色。

警鐘だからこそ、そうしているのだろうが、男にとっては不快以外の何物でもない。

男の頭上方向、斜面の上がった方からは、慌しく物音が増えてくる。

人の怒鳴る声。鳴り続けるサイレン。ガチャガチャした金属音。



「ったく、奴さん共も懲りねぇのなぁ」



 先ほどまでの、景色へ浸る優雅な時間をぶち壊されて、男はぼやきを漏らす。

そうしながら、タバコを地面に押し付けて揉み消すと、スッと立ち上がり、踵を返して歩き出す。

途中に置かれていた古ぼけたバケツに吸殻を投げ捨て、歩を進める。






「ダイ、サボらず来たか」



 男を見留めて、声をかけてきたのは、ツナギを着た初老の男だ。

衣服にも手先や顔にも、油の痕があちこちにあり、腰にはスパナやレンチ、ドライバーなどの工具類が下げられている。



「トクさん。サボっちゃあ、またジェンソンのクソ野郎にどやされますからねぇ」


「大佐殿は小舅じみた口煩さだからな、ま、諦めろや」



 トクさんと呼ばれた男、大徳博明は、笑い飛ばしながら、目の前の男の背中をバシッとはたく。

年齢を重ねてはいるが、腕力を欠かすことも出来ない整備士である大徳の一撃はなかなかに強烈であり、思わず息が詰まる。



「トクさん、痛ぇって」


「景気づけだよ、ダイ!! 勇二にニルスも配置に付いてるぞ。急げよ」



 大徳の笑顔に、やや憮然としながらも、男は先に進む。

コンクリートで均された地面に、白色のラインが塗られた、2本の滑走路。

その脇をジョギング程度の速度で走り抜けていく。




「待たせたな」


 男が格納庫に入り、声をかけると、そこは喧騒で満ち溢れていた。

傍らを見れば、機体に取り付いた整備士たちが最終点検を終えて、機体を滑走路に運び出そうとしている。



キ-84 四式戦闘機『疾風』



 それが、その機体の名だ。


 塗装に曇りもなく、格納庫から引き出されていく機が、南方特有の強烈な日差しの下で、キラキラと輝いている。

ハ45-21エンジンの排気管は綺麗に清掃され、整備状況が良好であることを示している。

油を表面に湛えたようなギラつきを見せている4門の二式20mm機関砲もまた、完調であろうことが見てとれた。




「サトナカ軍曹、オレはいつでも出られる」


「右に同じっスね、里中分隊長殿」



 男──里中大に、二人の男が声をかけてくる。


 透き通った白い肌に、金髪碧眼の男に、小柄な日本人の男。

里中の分隊に所属するニルス・ハータイネンと廣井勇二だ。



「まずは上がる。どうせまともな情報は下りてこないだろう。邀撃高度は5000を目指すぞ」



 里中の言葉は少なかった。

しかし、二人に戸惑った様子はない。


 この飛行場で十分な邀撃管制を受けられるなどという幻想を、この3人は全く抱いていなかった。

対空電探はある。

それも、里中の軍歴でもありえないレベルでの優秀な装備が備え付けられている。


 しかし、それを運用するオペレーターはどうか、という点を、里中たちはよく知っていた。

空襲という事態に怯え、危機感から操作を取り違え、明確な邀撃命令が出せない。

その程度の管制しか出来ないことを、過去2回の出撃でたっぷりと味わっていたのだ。



 幸い、今日の空は雲量が少ない。目視での発見はそこまで難しくもないだろう。

長年ペアを組んできた廣井は勿論、新しい分隊員であるニルスにも、里中は不安を抱いていたりはしない。

3ヶ月とはいえ連携訓練を積んで来て、実戦の出撃も3度目ともなれば、そこに不安要素は残っていなかった。



 ニューギニアやラバウル、台湾での時の方が、里中にとって苦しんだ思いが強い。

何せ、あの時と今は「補給元」が違うのだから。




「総員搭乗!!」



 里中の発声に、2人は駆け出す。

勿論、里中も同時に駆け出している。


 滑走路に運ばれた愛機に取り付くと、整備員たちに一声かけながら、コックピットへと乗り込む。

フラップを踏まないように足を運びながらコックピットに潜り込むと、目視で計器類をチェックしていく。

手馴れた動作で発進準備に取り掛かり、前方を見れば、整備員たちがペラを回し始めている。

4翔のプロペラが回転を始め、キャブレター内にガスを取り込み始める。

里中は周囲をぐるりと見回して、イナーシャ回せ、の声を上げた。


「コンタークッ!!」


 頭上で大きく手を振り回しながら、エンジンのプラグを点火させる。

瞬間、2000馬力級の強烈な唸り声が前方のエンジンから発せられる。一発点火だ。

点火タイミングがベテランの里中でも気を使う難しさだったのは、もう過去のことである。



「点火プラグ、絶縁コード、燃料……、トクさんが笑顔満面になるワケだよな」




 帝国陸軍時代の苦労が嘘のように、気難しさの塊であったはずのハ45-21、海軍名称「誉」エンジンは快調な唸りを上げている。


 タキシングで滑走路を進み、エンジンの回転数を上げていく。

コックピット正面の計器類を順に確認して、不具合の最終確認を余念無く行う。

シリンダー温度、回転数、燃圧、排気温度、どれも異常は無さそうだ。

フラップ、補助翼、方向舵、昇降舵、これらも遺漏無く動作している。


 いける。里中は思った。

離陸可能を示すフラッグが、滑走路脇ではためいているのが見える。



「発進するぞ!! 離れろ!! チョーク外せっ!!」



 里中の声に、整備員たちは迅速に反応した。

チョークを外しながら、ペラを大きく避けるように離れていく。


 車輪を止めていたチョークが外されると、4翔のプロペラで生み出される推進力によって、機体が前進を始める。


 始めはゆっくりと、しかし、猛然と加速しながら里中機は滑走路を駆けていく。

フラップと補助翼を全開にしながら、離床速度に達するまで、スロットルは全開で、操縦桿を前に押し込む。


 景色が後ろに流れていく。

整備員たちが歓声を上げて見送る光景は、どこに居たって変わらないものだ。


 純朴で真面目なこの「島」の男たちは、里中を帽触れの姿勢で見送っている。

何度見ても、その光景を見ると滾るものを感じる。

操縦桿を握る手に力を込めながら、しっかりと前を向く。



 離床速度に達したところで操縦桿を引けば、機体はふわりと宙に浮く。

2000馬力級の強烈な推進力で、機体を一気に持ち上げていく。

脚をしまい、風防を閉じ、ベルトを締めて着座位置を整えると、里中機は急角度で一気に上昇していく。

目の前は、抜けるような青空だけが広がっていた。








 疾風の5000mへの到達時間はカタログスペックで6分26秒とされていた。

しかし、この疾風は違った。

離陸して5分足らず、すでに5000mの空域に到達している。


 135オクタン価の高性能ガソリンを積み、完調のハ45-21エンジンによって生み出される推進力は、疾風の能力を劇的に向上させていた。


 5000mで一旦機体を水平に戻し、改めて周囲の索敵を行う。

敵機らしき機影は無さそうだ。

6時方向の下方からは、2機の疾風が続いているのが見える。



「ハル1番から各機、状況知らせ」


「ハル2番、異常なし」


「ハル3番、異常なし」



 無線電話からは、明瞭な音声と共に返事が聞こえてくる。

里中機に続くように、3機編隊を構成していく。

里中はかすかに頷くと、次の指示を出す。



「試射、3連、始め」



 操縦桿の銃把に力を入れると、4門の機関砲が作動する。


 20mmの機関砲弾が飛び出して、前方へと消えていく。



「ハル2番、異常なし」


「ハル3番、異常なし」



 どの機も、機関砲に異常はないようだ。

大徳の整備を信頼している里中ではあるが、この手の点検を欠かすことは無い。

こういうルーティンの手を抜いたヤツから死んでいったことを、里中は骨身に染みてよく知っているからだ。




「よし、問題なさそうだな。このまま敵を探すぞ。

 3機編隊、進路そのまま、各機良く見張れ」


「ハル2番、了解。任せてくださいよ、里中軍曹!」


「ハル3番、了解。6時から12時方向に注視します」



 廣井、ニルス、両機からの返事を聞き、編隊飛行のまま、索敵に入る。

当初の想定通り、管制からの応答は無い。

予定通りだな、と心の中で里中は笑う。






 水平飛行に移って、3分も立たない内に、無線電話から音声が流れた。



「ハル2番より各機!! 4時方向、敵機!! 数3、いや、4!!」



 廣井からの通信に、視界を向ける。

言われれば、ゴマ粒程度の敵機らしきものが基地方向に進んでいるように見える。

廣井の眼の良さは折り紙付きなのは、里中も知りすぎるほどに知っているが、今回も驚かざるを得ない。

里中では、自発的に気付くにはもう少し距離を詰めなければいけなかっただろう。



「あれか……。ハル2番、さすがだな。各機、4時方向、全速。

 高度を保ったまま逆落としをかける。行くぞ!!」



 里中は左右に翼を振ってから、バンクを取って進路を変更する。

スロットルは勿論全開だ。

ハ45-21の泣き所であった全開運転も、トクさん謹製の低圧燃料噴射装置があるおかげで、全く異常はない。

650km/hを超える速度で3機の疾風は突き進む。



 ゴマ粒程度だった敵機が、見る見る内に大きくなっていく。

こちらよりもやや低空を、4機の爆撃機が進んでいた。


 双発の爆撃機。

前2回の出撃の時にも見た、Do217M爆撃機だ。

4機がお互いをかばい合う、箱型編隊を組んで飛行している。



 Do217Mは、欧州戦線を潜り抜けた実績のある頑丈な機体だ。

しかし、爆撃機としては高速であっても、最高速度は550km/h程度で、今の疾風は100km/h以上優速だ。

逃すはずも無い。



 上空ににじり寄る疾風3機に対して、爆撃機編隊はわずかに動揺するような素振りを見せた。

緊密に編隊を保ったままの部隊なら手強いが、練度はそこまででもないようだと、里中は見切りをつける。



「ハル1番より各機、先頭のヤツを逆落としで食う。抜かるなよ」


「ハル2番、了解ぃ!!」


「ハル3番、了解」



 おそらく、先頭が隊長機だろうと里中は目星を付けていた。

そして、そこを一番に落とすのが編隊を無力化する上で効果的だろうと当たりを付けた。

Do217Mの上方には、操縦席上部の銃座が1基ある。

それの砲火を潜らなければならない。



 里中は、上空で逆落としの体勢に移行して、一気に急降下を仕掛ける。

速度計が見る見る上昇し、800km/hを超えていく。

高度計は目まぐるしい勢いで回転し、3機の疾風が、まさにその名の通りになって駆け抜ける。


 射撃照準機には、ずんぐりとしたDo217Mの操縦席がしっかりと映っていた。

4機の爆撃機から、火箭が伸びてくる。

B-17やB-29のような濃密さはないものの、13mmクラスの強力な防御射撃だ。

ドイツ製機銃の低伸性は、米国製のそれに劣るというものではない。

曳光弾交じりの火箭が、放水されるように撒き散らされている。


 しかし、3機が3機とも、巧みに機体を身じろぎさせてそれをかわしていく。

疾風の機体剛性に加え、蝶型フラップの特性を活かせば、双発爆撃機4機程度の弾幕では、蟷螂の斧が如きだ。


 あっという間に、照準機内の敵影が大きくなっていく。

相対距離が100mほどになった時、里中は銃把を強く握り締める。

エンジン音すら掻き消す轟音と共に、4つの火箭が眼下の爆撃機に伸びていく。

その銃弾は、胴体中央からコックピットにかけてを連続的に射抜く。



「命中!」



 叫びながら、後方を見れば、3機の銃撃を強かに受け、3つに分解し墜落する姿が見えた。

撃墜確実だ。




「いいぞ、速度を殺さずに反転する、次は下からやるぞ!! 目標、7時方向の爆撃機!!」



 追従する2機に通信で叫びつつ、機体を制御する。

僚機にも被弾は無さそうだ。

問題ない、と里中は心の中で呟きつつ、次の攻撃突入にかかる。


 ダイブで持った速度を殺さずに、大きいターンで上昇向きに反転し、相手の前方下方から、突っかかるように攻撃を仕掛ける。

爆撃機は前方下方の防御砲火が薄いことは多い。

Do217Mもまた例外ではない。


 正確無比な射撃が敵機に突き刺さり、ガラスキャノピーが砕け散っていくのが見える。

操縦席は壊滅だろう。



 上昇方向で爆撃機編隊を貫いた段階で、相手は編隊飛行を諦めて、バラバラに遁走を始めていた。

生き残った2機は、腹から爆弾を吐き出し捨てると、それぞれ別の方向へ機種を巡らせている。



「手負いにトドメをさすぞ。次は翼を狙え」


「了解っ!!」


「了解」



 里中は、この状況でも編隊での襲撃に拘った。


 相手を追い払い、邀撃任務としては目的を達成している。

逃げる敵を後ろから追いかけ、防御射撃でやられる戦闘機は、実は少なくないことを里中は熟知している。

ましてや、乗員の補充が期待できない「この地」で、そんな消耗戦を挑むつもりなど毛頭無かった。

そして、2機の僚機もまた、その里中の考えによく追従していた。


 操縦席を打ち抜かれたDo217Mは、墜落こそしていないが、真っ直ぐ飛ぶだけの状態になっていた。

20mm弾を受けて、コックピットの操縦士たちが無事とは思えない。

おそらく、「そういうこと」なのだろう。


しかし、飛んでいるのもまた事実である。

降伏しない以上、里中はそれを落とすまでである。


 再度の逆落としを防ぐものは、何も無かったと言ってもいいくらいだった。

やや左気味に入った降下で、Do217Mは左翼をもぎ取られ、今度こそ墜落していく。

離脱するものは居なかった。





「2機撃墜、2機爆弾を投棄して逃走、か」



 戦果を確認し、満足げに呟く。

機体を水平に戻し、5000mの高度で警戒態勢を続ける。

今まで二次襲撃があったことはないが、過去2回無かったから、今回も無いとするなどという侮りは、里中の中には無かった。


 燃料が怪しくなるまでしばらく上空に留まり、ようやく混乱から立ち直った管制からの通信に従って、里中たち「ハル」分隊は帰投を果たしたのだった。









「ダイ、お疲れさんだったな」


「トクさん」



 着陸し、機体を降りてくる里中に、大徳が声をかけてきた。



「今回も爆撃機のみだったから、どうってことはなかったよ。

 問題は護衛機が付いてくるようになったら、だな」


「確かにな。ひよっこ共はまだまだ飛べるレベルじゃねぇからなぁ」



 里中の懸念を聞いて、大徳も思わず頷かずには居られなかった。

あの厳しい太平洋戦争の航空消耗戦を生き残ったようなベテランパイロットなど、そうそう居るはずもないのは当たり前である。


 少年兵上がりのようなひよっこもひよっこが、赤トンボ並みの訓練機で四苦八苦しているのが現状だ。

戦争末期の新鋭戦闘機であった疾風を、まともに乗りこなすことの出来るパイロットは、まだ居ない。


 里中が、サボれないとぼやく原因でもある。

半年、いや、1年くらいは増員が期待できないだろうという読みを里中は持っていた。



「邀撃で出られるのはまだこの3人だけだから、もうちょっと先まで楽は出来そうにねぇかな」


「ハハ、ダイの腕なら間違いねぇんだろうが、油断だけはすんじゃねぇぞ。

 機体の方はきっちり見といてやるからな」



 くしゃくしゃと里中の頭を撫でると、上機嫌で大徳は整備ハンガーへと消えていった。

それを、里中は憮然とした表情で見送る。


 里中と大徳は付き合いも長い。

気心知れた間柄ではあるが、どうにも子ども扱いされるのが抜けなかった。

里中は29歳だが、大徳は64歳だ、子ども扱いもある意味で当然かもしれない。



空戦を経て、かいた汗を拭いながら、冷たいサイダーをグッと飲み下す。

キンキンに冷えた炭酸が、発泡しながら喉を駆け抜けていく。

カラカラに乾いた喉をあっという間に潤していく。



 瓶を傍らの空瓶入れに投げ込むと、ガラスのかち合う音が響く。

手を空に向け、手のひら越しに空を見上げる。


 先ほどまで駆け抜けていた3機の飛行機雲が残る空を見上げながら、相変わらず強く吹き付ける海風の心地よさに、里中は目を細める。



「ヌワイカナは今日も晴天なり、だな」




 思わず独り言を呟きながら、やがて隊舎へと足を向ける。

サイダーの後の風呂を堪能するためだ。





 戦争が終わって2年。

流れ着いたようにたどり着いたインド洋の島々で、里中は未だ空に生きていた。



 時は、1947年8月。

ヌワイカナ群島を舞台とする、東西代理戦争の勃発まで、あと1ヶ月の頃であった。

ご感想などいただけたら幸いです。

読了ありがとうございました。

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