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骸骨の特訓

俺たちはクロムに送られた後、レヴィアから餞別として家紋の入った短剣をもらった。

魔都の周りを旅するのであれば、ということでもらったのだ。これを見せればある程度の国民であれば黙るだろう。とのことだ。

俺はそれをありがたく頂戴し、宿でハルカと共に明日の日程を立てていた


翌日、ハルカと共に冒険者ギルドへ来ていた。ここを出るにしても、ハルカのレベルは低いし、ハルカはまだ戦う術を持っていないのだ。だからもう少しだけ滞在してハルカをある程度戦えるようにしてからここを発とうと思った


「ところで、ハルカはなぜ魔族なのに角がないのだ?」


ハルカは確かに魔族なのだが、それを象徴するような紫色の角が生えていなかった


「まだ奴隷として売られる前、生えてきたんですけど、村のみんなに削りとられちゃって…私、忌子なので…」


魔族の角は体の一部だと言われ、痛覚も触覚もあるらしい。幼い頃にそれを削りとられたのだという。想像を絶する痛かっただろう


「そうか…辛いことを思い出させてしまってすまない」


「いえ!大丈夫ですよ!気にしないでください!」


俺はハルカへと何度か謝った。ハルカは気にしないでと言っていたが、やはり思うところがある。

ハルカは冒険者登録をさせた。奴隷を戦闘に参加させることはよくあることらしく、別段特別な手続きというものはなかった


「ムルト様は命に代えてもお守りします!」


「それはこちらのセリフだ」


Gランクスタートだということで、Fかそこらのモンスターで練習したいとも思ったが、ここら一帯にはCランク以上のモンスターしかいないことを掲示板を見て思い出した


「ふむ。どうするか」


「私が倒せそうなものはありませんね…」


「ふむ」


俺は掲示板の前で腕を組み、悩んでいた。


「ムルトか?」


その聞き覚えのある声に振り返ると、そこにはフードを目深に被った男がいた


「その声…コットンか?」


「あぁ。無事でなによりだ」


コットンはフードを外し、その骸骨を見せた。体は青色になっていた


「その子がこのあいだの娘か?」


「そうだ」


「初めまして、ムルト様の奴隷をしています。ハルカと申します」


ハルカはコットンのことを覚えているようだ


「こちらこそ、ムルトの友のコットンという。よろしく頼む」


軽い挨拶を交わすと、コットンが俺に向き直る


「こんなところでどうしたんだ?」


「実はな、ハルカを鍛えようと思うのだが、ここらはCランク以上のモンスターしかいないだろう?ハルカには危険だと思ってな」


「ほう。そういうことか。ならば、いいところがあるぞ。西門を出て30分ほど歩くと岩場があるのだが、その近くに洞窟型のダンジョンがあるんだ」


「そうなのか?」


「あぁ。GとFのモンスターしか出ないからこの国の皆は興味がないのだ。ギルド職員に聞けば教えてもらえるぐらいだ」


あまりにも弱く、素材もしょっぱいため、掲示板にも張り出されないらしい。

氾濫などしないのか、と聞いたところ、氾濫してもこの国に着く前に周りのモンスターに殺される。とのことだった。

だから今までずっと放置されていたのだろう。徒歩30分というのも魅力的だ


「そうか。情報をありがとう。よかったらコットンも来るか?」


「すまないが俺は別件の依頼を済ませなきゃならないのだ。同行するのはまた今度、ということで頼む」


「いやいや、こちらこそ突然誘ってすまなかった。依頼、頑張ってくれ」


「そちらも、特訓がんばってくれ」


俺たちはコットンに礼を言い、西門へ向かった。スケルトンの俺には必要がなかったのだが、もしもハルカが怪我でもしたら大変なので、途中、道具屋でポーションを5本買った。おまけとしてポーションポーチももらえたので、ハルカにそれを装着してもらっている。

ポーションを買うときに大変感謝と謝罪を受けたが、俺はハルカの命を優先しているので、当然の結果だ。岩場に向かう途中に、Cランクモンスターが出てくるかもしれないので、準備はしておくに越したことはない


「ギルドカードを」


「あぁ」


西門を警備している兵士に俺とハルカのギルドカードを渡す


「EランクとGランクですか…大熊犬を倒しているのなら大丈夫だとは思いますが…骨人族にこの先の岩場は相性が合わないと思いますよ」


「剣には多少の覚えがある」


俺はローブを少し開け、剣を見せる


「そ、それはレヴィア様の短剣ですか?!」


兵士が驚いたのは剣ではなく短剣だった。

俺はクロムに渡された短剣を人狼族の短剣と共に腰に下げていた。といっても、肋骨の中に内蔵している状態なのだが


「あぁ。先日もらってな」


「ならば、実力を疑う余地はありませんね!ですが、この先のモンスターは外皮が岩や鉄でできていて、ゴーレムなどもいます。打撃攻撃にはご注意を」


「あぁ。ありがとう」


「それと、最近クリスタルゴーレムを見たとの報告を受けました。報告はその一件のみなので嘘の情報だとは思いますが、くれぐれもご注意を!少なくともAランク以上なので!すぐに逃げてください!」


俺は手を挙げ返事をする。そのままハルカと共に例のダンジョンへと向かった。

ギルドの話によると、わずか五層のとても浅いダンジョンらしい。

確かに、戦闘をしたことのない人にはうってつけの場所なのだが、その道中のモンスターを狩った方が強くなれるし、素材がいいと言っていた。

ダンジョンに出てくるモンスターはゴブリン(F)とスライム(G)だ


(俺がいたところと、似たような場所だな…)


昔住んでいた洞窟を思い出し、少し懐かしむ。道中は特にモンスターに襲われることはなかった。俺はハルカと共に魔力循環をしていた。魔力循環を使って身体強化できることを教えると、ハルカはそれをすぐにマスターした。ハルカは確かめるように杖をブンブン振っていた


「ムルト様のお役に立てるよう頑張りますよ!」


「頼もしいな、お、見えてきたぞ」


しばらくあるくと、洞窟が見えてきた。恐らくここがコットンの言っていたダンジョンだろう


「ん…?あれは…」


ダンジョンの前には大きな岩が、それも人型の。3mとはあるだろうか、目、鼻、口があることから、ゴーレムであることがわかった


「ハルカ、落ち着いてついてこい。相手は一人、厳しくはないだろう。俺一人で相手をする」


「は、はい」


俺は静かに剣を抜き、魔力を纏わせる


「魔力循環はこうやって武器に力を付与することもできる」


「ほぉ…」


ハルカは目をキラキラとさせていた。さっそく自分でも木の杖に魔力を纏わせ、すぐに散らした


「よし、それでは俺の戦いを見ていてくれ」


俺はそう言ってゴーレムへ駆けていく


(岩のように硬い皮膚、といったところか。切るのではなく、力を入れれば砕けるのではないか…?)


ゴーレムは俺に気づき、巨木のように太い腕で横から大きく薙ぎ払う。俺はそれに合わせるように思い切り体を捻り剣をぶつけようとした


(砕けろぉぉぉぉお!!)


ゴーレムの腕は俺にダメージを負わせることなく、力なくその場へ落ちた


(よし。予想通…り?)


ゴーレムの腕は砕けたと思ったが、どうやら違うらしい。落ちていた腕には見事な断面があった。そう、切り落としてしまったのだ


(ま、まさか…切れた?)


ゴーレムは一瞬驚きはしたが、諦めることなく俺へと向かってきた。俺はその動きを危険察知と月読で避け、体を切り刻んでいく。

月光剣はスパスパとゴーレムを切り裂いていき、ゴーレムの弱点である、核を見つけ、それを砕いた


「ムルト様!すごいです!」


木陰からハルカが飛び出し抱きついてくる。俺はそれを受け止める。


(本当に素晴らしい剣だ)


俺は月光剣ー月夜ーを見て感嘆する


「さぁ、ハルカ、ダンジョンに挑戦だ」


「はい!頑張ります!」


ハルカの元気な返事を聞き、俺たちは気を引き締めてダンジョン内へと入っていった。


(弱いといっても、油断は死に繋がる。いくら俺でも。よし)



★★★


名前:ムルト

種族:月下の青骸骨(アーク・ルナ・デスボーン)


ランク:C

レベル:40/50

HP2000/2000

MP900/900


固有スキル

月読

凶骨

下位召喚

下位使役

魔力操作

憤怒の大罪




スキル

剣術Lv5

灼熱魔法Lv1

風魔法Lv3

暗黒魔法Lv3

危険察知Lv6

隠密Lv10

身体強化Lv4

不意打ちLv6


称号

月を見る魔物、月の女神の寵愛、月の女神の祝福、月の使者、忍び寄る恐怖、心優しいモンスター、挑戦者、嫌われ者、人狼族のアイドル、暗殺者、大罪人、救済者



名前:ハルカ

種族:魔人族


レベル:1/100

HP360/360

MP800/800


固有スキル

鑑定眼

氷獄の姫(アイス・プリンセス)

魔力操作

アイテムボックス



スキル

杖術Lv1

経験値UPLv10

火魔法Lv1

光魔法Lv1

氷雪魔法Lv1

闇魔法Lv1


称号

転生者、転生神の加護、忌子

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