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【書籍発売中!】スケルトンは月を見た〜祝福を受けた骸骨は、心を求めて旅をする〜  作者: アルファル


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327/330

嫉龍王等と堅龍王3/3


「こんの……小娘共がぁぁぁぁ!」


セバスが雄叫びを上げると、身体がさらに膨張していく。拳は家一軒ほど、背丈は城の半分。その大きさは、月明りを遮り、辺りに影を落とすほど巨大で、見上げるだけで首が痛くなるだろう。


「的が大きくて助かるわね」


眼にも止まらぬ速さで、そんなセバスの周りを飛び続けるレヴィア。それを掴もうと、セバスも腕を振り回しているが、捕まえることはできていない。


(なぜだ……!)


レヴィアの動きは、完全に眼で追えている。攻撃をする箇所もわかる。ならば、その箇所で仕掛けてくるのを待ち伏せ、捕まえれば済むのだが、それすらもできない。

セバスは、身体をさらに巨大化したことにより、破壊力も防御力も上がっていることを体感している。機動力も、この巨体からは想像できないほどに素早いはずなのだが、それを活かしきれていない。


「あんたは強いわ」


目の前に現れたレヴィアが、そう言いながら拳をセバスへ叩き込む。


(まただ……)


セバスは、頬に走る激痛を感じながらも手を伸ばすが、その手は獲物を捕まえられず、空を切る。


世界龍バハムートかどうかはともかく、確かにあんたの鱗は全てを通さない。妬黒とぐろ……嫉妬の塊パープル・ロール!!」


レヴィアは巨大な翼を広げ、全身をその中に包むと、翼が開かないようその上から尻尾を巻き付け、高速回転を始めた。

風が吹き荒れ、それがレヴィアと一体になった瞬間、セバスの胸へ着弾していた。


「あら、街に倒れられても困るか、らっ!」


あまりの激痛で仰け反ってしまったセバスを、背中に回り込んで蹴り上げるレヴィア。セバスは激痛に耐えながら、なんとか両足で踏ん張っている。


(動きは見えた。見えている。なのに……!)


身体が追いつかない。


セバスは、自分の身に起きていることを、いつまで経っても理解できずにいた。


「これだけの攻撃でも、傷一つつかないのは、大したもんよ。正直悔しい」


レヴィアの言う通り、セバスの身体には今までの攻撃だけでなく、今の攻撃すらも傷をつけることができていない。


「でも、あんたを倒すのが私達の目的じゃない」


(攻撃がくる……!)


レヴィアはゆっくり羽ばたき、のんびりとした動きでキアラの側へ降り立つ。


「私たちが相手じゃなけりゃ、いや。キアラが相手じゃなけりゃ、あんた、無敵だったわね」


身体の文様を怪しく光らせるキアラが、微笑んだ。


「私の能力は先ほど言いましたように、強化。それは敵味方じゃなくて、私好意を持っているかどうか。これも先ほど言いましたが、私、とってもエッチなので、どんな人でもお相手できるんですよ?」


「キアラが私にした強化バフは、機動力と攻撃力と防御力。でも、その全てを素のあんたが上回っていた」


「次に強化させていただいたのは、セバスさん、あなたです」


(周りの風を巻き込み、鋭さを増し、捨て身で突っ込んでくるというわけか)


「私ができるのは弱体ではなく、強化ですから。堅さはそのままになってしまいますが、その代わり痛覚、知覚を強化させていただいてました」


(だが、私の最堅を誇る鱗を貫くことなど不可能)


「性物、いえ生物ですから、必ず痛覚はあるはずでしたが……まさか、それを何億倍にもしなければならないなんて……」


セバスは、両手をクロスさせ、防御の姿勢をとろうとしている。が、その動きはあまりにも遅い。


「おかげで、貧相な身体になってしまいましたが」


「これ、聞こえてるの?」


「はい?聞こえていますよ。ですが」


(全ての動きが見える……!レヴィルの突進に合わせ、両腕で身体を包めば……)


「それを、いつ理解できることやら、ですね」


キアラの色欲の大罪にも、いくつか欠点がある。

強化を行うための活力を、周り又は自分で補完しなければならない。その活力は、彼女に対して欲情をしている者からしか集めることは出来ない。

そして、強化は何人にも、何重にもかけられるが、1人に対してかける比率は、同率でなければならない。攻撃力と防御力を強化するのならば、共に倍か3倍。3:7のように細かく調整はできない。


つまり、今のセバスは痛覚と知覚が数億倍になっているということだ。どんな攻撃も通さない鎧の下には、どんなものにも過敏に反応する皮膚がある。


「大技じゃなくて、私の基本能力なんですけどね」


セバスは、両腕を胸の前で交差させると、沈黙した。

キアラは知覚を強化し続けなければいけないため、裸のままセバスの側に残り、レヴィアはムルト達の援護をするため、城に向かおうとしたが、瞬間。


城が爆ぜ、巨大な化け物が姿を現した。

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