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骸骨達だけで遠征

お待たせしています……


活動報告にて近況報告のようなものをしているので、お時間があれば是非


ムルト達が連れられ、中庭へ出てみると、そこには大勢の騎士が集まっており、忙しく荷物や箱を並べている最中だった。それを横目に見ながらバリオは頷くと、懐から豪華で小さな鞄を取り出し、それをムルトへ手渡した。


「この中には入国許可証の他に、お前たちのことを書いた書状、イカロス王国が認めている証明の押印もされている。くれぐれも落とすな。こっちの荷物は路銀、こっちは二週間分の食料、そしてこれは野宿用の……」


「そんなのいらないわよ。お金もいらないし、野宿の備えも必要ないわ。食料は二日分だけまとめてもらえる?」


バリオが必要であろうものはどの箱に入っているかを説明していると、レヴィアがそれを遮り、必要なものだけを的確に指示を出した。


「二日分?急いで飛んだとしても、片道五日はかかるだろう。用心のために少し量を多くしているが、重いか?」


「五日?ふふ」


レヴィアはバリオにそう言われると、小さく喉を鳴らし、ない胸を逸らしながら誇らし気に言い放った。


「今の私にかかれば、一日もかからずにいけるわよ。手間だけど、そうしてくれないかしら?」


「ほう。そこまで言うのなら信じよう」


バリオは、そう自信満々に言ったレヴィアを見て頷くと、近くの騎士に声をかけ、言われた通りに荷物を分けなおした。


「それとサキ、小さめの、ガロウスに作ったみたいなやつ作ってくれないかしら?」


「は、はいっ!」


レヴィアがそうお願いすると、サキはすぐに魔法を発動させた。レヴィアが言っているのは、皆でイカロスに向かっているとき、ミナミ達がくつろぐためにガロウスの背中に建てたログハウスのことだ。

サキは言われた通りに、小さめのログハウスを作った。ガロウスの時とは違い天井は低いが、小窓とドアがついている。サキはそれをレヴィアが背中に乗せるのではなく、手に持って飛ぶのだと思い、持ちやすいように取っ手もつけている。


「ふふ、サキわかってるわね」


「うふふ、任せてください~」


「それじゃ……」


レヴィアは龍へと姿を変え、取っ手の握り具合や、ログハウスの強度を確かめているようだ。


『大丈夫よ!荷物を入れて出発するわ!』


「あぁ。わかった」


「キアラ、それは私が持とう」


各々の荷物や、バリオが用意し直した荷物を運び込み、ムルト達はそのままログハウスの中へと入っていった。

小窓から顔を出すと、ハルカがムルトへ駆け寄った。


「ムルト様、くれぐれも、無理はしないでくださいね」


「ははは、当然だ。必ずハルカの下へ戻って来なければならないからな」


「約束ですよ」


「あぁ。約束だ」


ムルトはそう言うと小指の骨を差し出した。


「む?ハルカのいた世界では、約束をする時にはこうするのではなかったのか?」


誰に教わったのか、そう言ったムルトにハルカは微笑み、自分の小指も出し、それを交差させる。


「うふふ。そうですよ。ゆびきりげんまん嘘ついたら針千本飲~ますっ」


「俺は飲むだけならできるがな」


「えへへ。ムルト様には簡単すぎますよね」


「あぁ。だが、この約束は必ず守るからな。針を飲む必要はなくなる」


「はい。待ってます」


「あぁ」


『別にすぐ戻ってくるじゃない。もういいかしら?』


「あぁ。すまないな」


レヴィアが声をかけると、ハルカはミナミ達の方へと戻り、見送りに加わる。


「お前も無理はするなよ」


「それはどうだろうな」


「ったく」


ゴンとティングも互いに軽口をたたきながら、見送りの言葉としたようだ。


『それじゃ、飛ぶわよ』


レヴィアの身体は徐々に紫色に染まっていく。ムルト達が何度も見ている、レヴィアが嫉妬の大罪を発動させたようだ。


「レヴィ、大丈夫なのか?」


『心配しないでいいわよ。私は嫉妬の大罪を完全にコントロールできるようになったから。ダンとジェラスのおかげでね』


そう言ったレヴィアの身体は、前のような薄い紫ではなく、紫龍と思われてもおかしくないほど濃かった。


『それじゃ、ちょっと行ってくるわね!』


レヴィアはそう言って、天高く舞った。

ハルカ達は、先ほどキートンが持ってきてくれた仮面を装着し、それを見送っている。

ムルト達もそれを見つけると、すぐに仮面を被り、軽く手を振った。


『飛ばすわよ!』


十分な高さまで行くと、レヴィア一度翼を大きくはためかす。すると、目にも止まらぬ速さでその場から消えた。少しの間を置き、突風が吹き、レヴィアが一瞬で加速したことを、その場にいる全員が体感する。


「ふふふ、レヴィル嬢、やりおるな」


「ティングのやつ、ちゃんとできるか?」


「俺はキアラさんが心配だけどな」


「そうだな。戦闘向きではないが、それでも大罪だ。心配することはないだろう」


レヴィアの姿が消え、ハルカ達はバリオの指示で城の中へと戻っていく。


「ムルト様の帰りを、お待ちしています……」


ハルカは、胸元で揺れる月のネックレスを両手で包み込みながら、優しくそう言った。


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