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骸骨は追い返される


「ふぅ、街道が見えたな」


俺は森の中を一方向へまっすぐ進み続け、ようやく目の前には街道を見つけることができた


(これを辿っていけば街へ着くだろう)


街道へは出ず、身を隠すように森の中を進む。外套はなく、骨の身が剥き出し状態だ。

HPは回復したが、人間と出会い、無駄な争いをするべきではないだろう。


しばらく進むと、森の中に狼を見つけた。

久しぶりのモンスターだ。経験値の足しにするために狩っていく。

さらに進んでいくと森の奥地に見たことのある丸太で作られた門を見つける


(ここは…もしやエルフの集落か?)


エルフなら話したこともあるし、何より紹介状がある。少ないが金はあるし外套や仮面を売ってはもらえないだろうか、そう思い俺は門へ近づき声をかける


「誰かいるか!」


俺の声に反応して櫓から1人の男が顔を出す。

長い耳に緑色の服、そして俺が着ていた気配を気取られにくくなる外套もきている。


「おぉ、すまないが中に入らせては」


「貴様!何者だ!」


「あぁ、すまない。私はムル」


「動くな!みんなー!敵だ!魔族と思われる!」


「ま、待ってくれ!俺はスケルトン!紹介状もある!」


「紹介状?我らが誇り高きエルフが魔族に紹介状など書くものか!」


「本当だ!この荷物の中」


荷物を探っていると矢がこちらへ飛んでくる。門の世の小さな扉からぞろぞろと屈強なエルフの戦士が出てくる。


「聞いてくれ!」


「モンスターに貸す耳などもっていない!」


問答無用で襲ってくるエルフたちにこれ以上の言葉が届くことはなかった。仕方なく俺は剣を抜き相対することとなる


「くっ、このスケルトン、手強いぞ、囲め!」


(なぜ、信じない…なぜモンスターというだけで…)


月光剣に魔力を流し強化をする。

始めに斬りかかってきたエルフの剣を左手で掴んだ。俺の硬い骨はスコルピオンの鋏に勝ったのだ。このような剣で切れるはずもなかった


「な、なにっ!」


そして俺は右手に持っていた月光剣でそのエルフの首を


(ダメだ!)


その刹那、首にかけている月のネックレスが目に入る。俺は思い出す、アルテミスの言葉を〜『人間全てを嫌いになってほしくないの』〜


俺の剣はエルフの首元で止まる。少しでも遅れていればこのエルフの命を刈り取ってしまっただろう


「っ…」


周りのエルフも息を飲んでいる


「お願いだ…俺の話を聞いてくれ…」


俺はその一言を絞り出すように口にする。

エルフは武器を構え固まり、こちらの出方を窺っている。


「……止まるな!俺ごと切るんだ!モンスターに唆されるなんて恥だとは思わないのか!」


目の前のエルフが大声で叫ぶ


「さぁ!殺すがいい!だが死んだとしてもお前を呪ってやるぞ!スケルトン!」


「く、くそっ!」


俺はエルフを蹴りつけ引き離す。


「リトルボム!」


煙幕として魔法を発動して逃げる。逃げる。逃げ続けた。


(昨日と同じじゃないか…)


俺はスケルトン、走って出る汗も、悲しみで流す涙も出ることはなかった





代わり映えのない森の中をとぼとぼと歩く。

パワフルボアが出ても、狼が出ても、俺は無視していた。攻撃されることもないのだから、攻撃する必要もない。


しばらく街道に沿って歩いていたが、人間の街に行くことが怖くなってきた。怖いのだ。あの目が、スケルトンというだけで向けられるあの、敵意に溢れた目が


(俺は…どうすればいい)


すると、どこからか微かに血の匂いがただよってくる


(モンスター同士の小競り合いだろうか…俺には関係のないことだ)


「お嬢様!お下がりください!」


「ダメ!逃げるのよ!」


どうやら人間だったようだ。切羽詰まった声、少女とまだ若い女性、といったところだろうか。襲われていたとしても俺に何の関係もメリットもない。俺は変わらず森の中を歩き続ける


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