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骸骨達に協力者?

「ジュウベエさんっ」


「ガロウス……と誰?」


この場にいる誰もが知っている2人に、ミナミとレヴィアが声をかける。

そして、ブラドことガロウスの横にもう1人。

ガロウスはその老人を見ながら言った。


「ん?あぁ!こやつはミチタカ!我の盟友であり良きライバルだ!」


「私もいますよ!レヴィル様!」


高笑いをするガロウスの影から、チェコが出てくる。


「ハルカと予選を勝ち抜いたブラドか。本当はガロウスという名だとか……戦えば俺でも勝てるかわからないほどの強さを感じるな」


「だっはっは!!我もお主と戦えば勝てるかわからぬぞ、レヴィル嬢の友、ムルトよ!」


ガロウスがバシバシとムルトの背中を叩き、褒めている。いざ出発という時に突然の来訪者。ジュウベエもミナミといくつか会話をしているが、ジュウベエもミナミと同じで、探鳥がきている。これからどう王都に向かうという話をしているが、大体ミナミと同じ考えだったようだ。


「……で、あんた達もどっか行くんでしょ?何の用?」


「ああ!そうだ!我にも行くところができてな!……だがお主にも無関係な話ではない」


「……私に?」


「あぁ、その話というのが」


「レヴィ、俺たちは先に門の外に出ておくか?」


レヴィアと同じく、ガロウスもドラゴン、ムルト達は果たしてこの話を聞いてもよいか考え、レヴィア達のことを考え、先に街を出るという提案をしたが、それをガロウスが止めた。


「いや、聞かれても困る話ではない。むしろムルト、お主にも関係のある話だ」


「は?ムルトにも?ドラゴンじゃないのに関係があるって……大罪の話ね」


「あぁそうだ。そこの……雌か?お主もだ」


ガロウスはそう言ってキアラを細目で見た。


「へぇ。あなたも見えてるんですね」


「ああ。気にしはせん!聞いていけ!」


ガロウスはすぐにニカッと笑い、その場にいる皆に話を聞くよう促した。


「簡単に言うと、龍王が集結する」


「……へぇ」


「火、水、土、風の魔法の四元素の龍王のみならず、天と地、光と闇、その他の認められた龍王も集まることになっている」


()龍王であるあなたも、ね」


「里を抜けたとはいえ、龍神にもっとも近いと言われた()龍王であるお主も呼びたいところではある」


「……また懐かしい呼び名ね。私には破竜って忌み名がつけられたと思うけど?」


「そんなもの、穀潰し老龍どもの戯言に過ぎん。ほとんどの者がお主の力を認めている。その力は暴走してしまったが、お主は自分でそれを鎮め、責任をとって里から出ていった」


「……それで?各地の龍王を集めるのよね?その役目を」


「ああ!我が賜った!各地の龍王を里に集め、会議を開く!この場には既に4つの大罪が集まっているが……それがまた1つになると龍神様からお告げがきたと、そのことについてな」


ガロウスはチラリとムルトとキアラを見た。


「そう。でも生憎、私は件の大罪持ちで、これから予定もあるのよね」


「だからこそお主を里に置き、龍王達で1つにならぬよう見張るのであろう?まだわからぬがな!ぬわっはっは!!」


豪快に笑うガロウスに敵意というものは全くなかったが、これがいずれムルト達に向かって敵意を向けるのかと思うと、気が気ではなかった。


「はっはっは……ところで、予定というのはなんだ?」


「これから王都に向かうのよ」


「ほう。この大人数でか。その割には馬が見当たらぬが。まさか徒歩か?」


「なわけないでしょ。私に(・・)乗るのよ」


その言葉を聞き、ガロウスは腕を組んだまま目をまんまるくし、これまでにない大笑いをした。


「がぁぁっはっはっは!!あのレヴィル嬢が人を!しかもモンスターも乗せるときた!!生きてると何があるかわからんなぁ!!」


「うっさいわね!」


レヴィアは照れ隠しでガロウスの足を思いっきり蹴りつけるが、それは全く効いていないようで、ガロウスは大笑いを続けている。


「ひっ、ひっ。はは。すまんすまん。だがレヴィル嬢、お主はあまり体が大きな方ではないだろう?我の娘、チェコより少し小さいくらいだと思うが、この大人数は無理であろう?」


「えぇ。悔しいけどその通りよ。だから6人だけ先に王都に行く。他は馬車で向かうわ」


「なるほどぉ……」


ガロウスはそれを聞き、何かを考えるように顎を撫でる。

少し唸ったあと、レヴィア達に静かに言った。


「我が協力してやろうか?」


ガロウスの意外な提案に、レヴィアは驚いた。

元々、ドラゴンであるレヴィア達は滅多に背に何者かを乗せることはない。ただそれは個人差があり、仲のいい人間なら乗せる龍もいれば、何人たりとも背に乗せることを許さない龍もいる。

ガロウスは別段気にしない部類であるが、各地の龍王を里に集めるという大事な役目を任されている。


レヴィアはゴンやダンを見て、ガロウスの提案に答えた。


「正直言って、協力してもらえたら助かるわ。でもいいの?龍王を集めるんでしょ?」


「はっはっはっは!そのことなら心配はない!我が娘チェコが代わりをしてくれる!」


「はっ、はい!!お任せください!」


目をキラキラと輝かせながら、ガロウスとレヴィアの会話を聞いていたチェコが元気よく返事をした。


「我とチェコで手分けして龍王の住処を回ろうかと思っていたが、それではどちらにしろ時間がかかる。天龍や風龍も話をすれば協力してくれるだろうしな。なにより……」


ガロウスは少しだけ真面目な声色になって言った。


「集まる理由が大罪だ。すぐ近くに4つあるのだ。それを見ているほうが大事だろうし、何より楽しめるだろう!!がっはっはっは!!」


「……そうね。ミナミ、聞いてた?」


「はい。ガロウスさんなら即戦力ですし、皆で向かえるというのは良いことです。ジュウベエさんも一緒に行けますし」


「あぁ。すまねぇが世話になる。俺もミナミと同様急ぎの用なんでな。同行できるとありがたい」


「なら、決まりね」


「ふむ。即戦力が必要か。ならば儂も行こう」


ずっと静かに話を聞いていたミチタカが手を挙げる。


「おぉ!ミチタカも即戦力だ!なんせ我の盟友だからな!我の背中は広い!余裕はある!」


「海……ミチタカさんも加われば安心です。戦力が増えることにバリオさんも喜ぶと思います」


「……海松でもよいぞ、藤山の」


「……」


「大きくなった」


「ありがとう、ございます」


「まぁいいわ!時間ないんでしょ!さっさと行きましょう!」


「おぉ!俺たちも一緒に行けるのはいいけどよ!馬はどうすんだ?手続きしなきゃ馬屋のおっさんも困るんじゃねぇか?」


「バカ!せっかく話がまとまったのに水を差さないの!」


「はっはっは!我と同じくらい面白い仲間ができたなぁ!レヴィル嬢!そのことなら我が娘チェコに任せるといい!」


「はい!このチェコ!責任を持ってやり遂げさせていただきます!」


「ありがとうございます!チェコさん!それではムルトさん、レヴィアさん、ガロウスさん、皆さん!王都に向かいましょう!!」


「「「「おおおぉぉぉぉ!!!」」」





チェコはなんだかんだ、レヴィア達を見送れないのを悲しんでいたが、馬の予約をキャンセルしに、ムルト達と別れた。


そしてムルト達はラビリスの街を出て、近くの森の中へ来ている。

ムルト、ハルカ、ダン、シシリー、レヴィア、キアラ、ミナミ、サキ、ゴン、ティング、ティア、ジュウベエ、ガロウス、ミチタカ。総勢14名、それも、そのほとんどが予選で健闘をした者、そして勝ち抜いた者が、物々しい雰囲気で街を出たのは注目されていたが、声をかけられることはなかった。


森の中でも、少しだけ広い場所に出た。


「ここらへんでいいわね」


「ふむ。我の腕輪などを預かってほしいのだが……」


「それならハルカかミナミかサキ。3人ともアイテムボックスのスキルを持っているわ」


「おぉ!3人とも転生者か!」


「いえ、転生しているのは私だけです」


「なるほど、転生と転移か。だが、どれもが異界の人間。ならばミチタカも」


「ほっほっほ。儂も使えるぞ、アイテムボックス」


ミチタカがそう言うと、ガロウスとミナミ以外の皆が驚く。


「ふはは!ならば我が盟友であるミチタカに預かってもらうとしよう!」


「構わんよ」


「じゃあ、龍になるから少し離れてて」


レヴィアはそう言い、体を変型させていく。全身を鱗が包み、手足が人から龍のものへと変わっていく。周りの木々よりも背の高い、なんとも美しい白銀の龍になる。

ムルトとハルカはその姿を久し振りに見た。

思い出が蘇る。


『モンスター組がこっちってことでいい?』


「はい。構いません」


「それでは、我の方は人間組か」


ガロウスはレヴィアと違い、すぐには龍化できない。というのも、腕輪、足輪、首輪で無理矢理人の形に留めているので、それらを外さなければいけないのだ。


ガロウスが両の腕輪を外すと、龍化したレヴィアの胴回りはある大きな龍の手になり、足輪を外せば巨大な足が。

そして首輪を外すと、人間の顔がすぐに龍の顔つきになり、首が伸び、体が膨らむ。

ミチタカがガロウスの枷を拾い、アイテムボックスに入れる時には、完全な龍になっていた。


周りの木々など龍化したガロウスの肘にすら届かない。レヴィアの10倍はあるだろうという、巨大な体。

ラビリスの方から警報を意味する鐘の音が聞こえるほどに、その姿は恐ろしい。


『さぁ、乗るといい』


ガロウスは尻尾をミナミ達の前に下ろし、登ってくるように言った。


レヴィアの背中にはムルト、ハルカ、ティング、キアラが乗り、ガロウスの背中には他の10名が乗った。


『さぁ!行こうぞ!』


『飛ばすから、置いてかれないでよね』


レヴィアが空に出ると、ガロウスがそれに続くように翼をはためかす。

それだけで周りの木々が根元から飛ばされている。


2匹の龍王が空を巻い、同じ方向に飛び始めた。


ムルト達は、これから王都へと向かう。

ミナミの力になるために、皆で向かう。


美徳と大罪にとって、過酷な戦いが待っているとも知らずに。

これにて喧嘩祭り編。終了です。

いつもご覧いただきありがとうございます。

最終回はもう見えてきていますが、最後は楽しんでいただけたら幸いです…!

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