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龍姫の参上

ムルト達が喧嘩祭りの会場で戦闘を開始した時、ラビリスを守るための戦いも始まっていた。


「ちっ!クソ!援軍はまだか!」


「そろそろくると思うがなっ!」


「俺だけじゃこの数は捌ききれないぜ!」


「はっはっはっは!我を止めるのではないのか?!我だけで手一杯ではないか!」


ゴード1人に対して、ムサシ、トウショー、コルキン。そしてその他のアンデッドをダイチが相手をしている。


3人でやっとゴードを足止めできているが、ゴードには余裕さえ感じる。

ダイチも持ち前の強さでアンデッド達を次々に倒してはいるが、1人で数千を相手にしている。さすがに脇からすり抜けられてしまう。


「おい!あそこだ!」


そこへ、ギルドから来たと思われる冒険者達が来た。ラビリスに常駐している者、喧嘩祭りを見物しにきた者らで、数百人はいた。


「よし!決めた通り、混合の4人で1パーティ。1人は打撃系の武器を使うやつを入れろ!

光魔法、聖魔法を使える奴は2パーティで守りながら戦え!俺たちでラビリスを守るんだ!」


「「「うおおぉぉおおぉぉ!!!」」」


冒険者達は声を上げ、アンデッドに向かって走り出す。


「ふはは。我もそろそろ力を示すとしよう」


龍の頭蓋で出来たハンマーを振り、ムサシ達を引き離した。

そしてハンマーを両手で持ち、低く身構える。


「ぬん!!」


一歩で差を詰め、振り下ろす。

コルキンが両の拳を当て相殺しようとするが、重すぎる一撃に、無理だと判断し、避けた。その隙にムサシとトウショーが両脇から攻撃を仕掛けようとしたが、ゴードはハンマーを地面に固定したまま体を捻り、2人の攻撃を軽くあしらった。


「さっきよりもいい動きしやがる」


「先程は少々遊んでやったまで。我の本当の目的は、冒険者を多く殺すこと」


ギルドから応援にやってきた冒険者達はアンデッド達と混戦している。

ゴードはそれらを確認すると、両手を広げて、声を上げた。


「全軍!ラビリスに向かって進めぇ!!邪魔するものは薙ぎ倒し、陛下への忠誠を誓え!!」


アンデッド達の周りに黒い光が漂うと、冒険者達が押され始めた。


「な、なんだこりゃ」


「ふふふ。我が死の軍勢をただの雑魚だと思わぬよう」


どうやら、全てのアンデッドが強化された

ようだ。CランクはBランク並みの、BランクはAランク並みの強さになっている。


「ちっ、Aランクはさすがに俺たちじゃねぇと相手できねぇぞ。ここはお前らに任せる」


「あぁ。打撃を扱えるお前が行くのがいいだろう。ムサシ殿もそれでよいか」


「……」


コルキンが走り出そうとすると、ハンマーが落とされる。


「おいおい。先程は遊んでやったのに、どこに行くのかね?付き合ってもらおう」


「ちっ!」


走り出したコルキンの前にゴードが立ちふさがり、止めた。


「遊びは終わりだがな!我らの進軍は止まらない!厄介な貴様らを先に倒させてもらうぞ!」


3人で相手をすれば足止めできると思っていたが、それは無理なようだ。さっきまではわざと足を止めてもらっていたのだ。


「それは、それとして、少々掃除はさせていただこう」


ゴードが手を挙げ、それを前に出す。

すると、空を飛び、大人しくしていた骨で出来た龍が急降下し始めた。


「くそ、まさか」


「そうだなぁ。名付けるとすれば、ドラゴンダイブ、か。ただの体当たりだが」


混戦している中に、突っ込んで行く気のようだ。


「クソ!!逃げろ!!」


コルキンが声を荒げて言うが、気づいたところでもう遅い。アンデッド達と交戦している中で、すぐに走り出すというのは無理な話だ。それでも無理矢理に逃げようとした者は、強化されたアンデッドに背中から刺されている。


「ちっ!」


「ふふふ、行かせないよ」


コルキン、トウショー、ムサシの前にはゴードが立ちふさがる。

狙われた冒険者達には申し訳ないが、助けることは不可能だ。


冒険者達が諦め始める中、それは起こった。


冒険者達に向かって斜めに急降下していたドラゴンに、何かが当たったのだ。

するとドラゴンは垂直に落下していき、

アンデッドがうじゃうじゃといる場所に落ちていった。


「なんだ……?」


交戦しながらもそちらが気になってしまう。

ゴードも、落ちた箇所を見ると、若い子2人の女性の声が聞こえる。


「敵地の真っ只中じゃないですか!もっとどうにかならなかったんですか?!」


「仕方ないじゃない!こうしないとあの人達死んじゃったでしょ!」


「そ、それはそうですけど……」


立ち込める土煙の中から顔を出したのは銀髪のツインテールの褐色の少女、その横には対照的に肌が真っ白な、誰が見ても惚れてしまいそうな美貌を持つ女性。胸はこれでもかというほど主張しているが、大きすぎず、小さすぎず、なんとも欲情をそそるような愛らしさをしている。


「さて、と」


「GIAAAAAAAAA!!!」


銀髪の少女が土を払うように手を叩いていると、コルキンが撃ち落とした亀が横からその少女を襲うように飛び出してきた。


「あ、危ねぇ!!」


少女の何十倍もある大顎。2人を簡単に飲み込んでしまう大口だったが、少女は拳を握り、魔力を纏わせ、目にも留まらぬ速さで飛び上がり、その拳を亀の頭蓋に叩き込む。


「うるさい」


「GOAA……」


その一撃で亀の頭蓋が粉々になる。

よく見れば、先程の龍の頭蓋も粉々になっていた。


その場にいる誰もが、この少女は只者ではないということがわかった。そして、この少女達は自分達の味方だと。


「ふっはっはっは!!Sランクモンスターがこうも簡単にやられてしまうとはなぁ!!」


ゴードは、コルキン達など眼中にないといった風に背を向け、少女達を見た。


「だが、我に勝てるかな?」


銀髪の少女は軽く伸びをしてから、とんとんとその場で軽く飛んだ。


「勝てるから……」


そして一足。一気にゴードとの距離を詰め、拳を叩き込んだ。


「ここにいるんでしょ!!」


「ぐぅ……!」


ゴードは、咄嗟にその攻撃をハンマーで受け止める。だが耐えきれずに吹っ飛ばされてしまった。


「手筈通り頼むわね、キアラ」


「わかってますよ。レヴィちゃん」


キアラと呼ばれた女性の背中から、蝙蝠のような羽が生え、飛んだ。


「冒険者の皆様!私を見てください!ー情色変換ー」


キアラは服をはだけさせ、胸が露わになる。

キアラの美貌は男性だけではなく、女性をも虜にする。


「私にたっぷり、欲情してくださいね」


キアラは自分の胸を揉んだ。指が食い込むほどの弾力。ハリのある肌。

それを見た男性は勃起してしまうほどの欲情をするはずだが、勃起している者は誰もいない。それが、全て力に変換されているから。


「キアラ、後は下がってなさい」


「わかってますよ。私は大罪の中でもバフ特化ですから」


「雑魚は頼んだわよ!」


「戦うのは私じゃありませんけど。皆さん!戦ってください!!生き残ることができたら……10人でも100人でも、夜のお相手できますからね」


「「「「うおおおぉぉぉぉお!!!」」」


はち切れんばかりの歓声が聞こえ、一気に形勢が逆転する。

欲情をすればするほど、それが力へと還元されていく。

それが情色変換の力。


色欲の大罪であるキアラの能力だ。


「さ、あんた達もあっち手伝ってきなさい」


「っ!あんた1人で大丈夫なのか?俺たち3人でも足止めすることしかできなかった……」


「大丈夫だから行けって言ってんの!あいつは私に任せなさい!」


「……あんたの強さ、疑うわけじゃないが、すぐに片付けて助けに戻る」


「その前にやっちゃうわよ。ほら、行きなさい」


ムサシ達はゴードをレヴィアに任せ、冒険者達に混じりにいった。


レヴィアは両の拳を合わせ、紫色の魔力を纏わせる。


「この感じ……お前もあの女も……」


「ご明察。あんたの親玉と同じ、大罪人よ。

色欲のキアラ、嫉妬のレヴィア。ま、知ったところであんたはすぐに死ぬけど、ね!!」


「ぬぐうぅぅぅ!!!」


レヴィアの拳に、ハンマーを合わせる。


この場でゴーグを倒せるのは、レヴィアしかいない。

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