表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

218/330

予選Dブロック5/5


凄まじい爆発音が響き渡る。

ムルトがゴンを真っ二つに斬った後、ムルトはその剣をそのまま振り抜いた。

Dブロックのステージの地面まで斬り裂いたのだ。

地割れのようにヒビが入り、そこから次々と砕けていっていた。


「やはりコントロールは難しいな」


ムルトは剣の血を軽く払い、憤怒と黒い魔力を霧散させる。


「さて」


ムルトが見たのはティアとサキ、杖を構えながら2人は相対している。魔法を放ち続けたのか、2人の魔力はほとんど使われていたようだ。


「ティア、手を貸そうか」


「いらない」


「……そうか」


即答だった。


先ほど、ティアが骨の壁を出したことにムルトは気づいている。

骨の壁が出ていなくともムルトは足を止めることはなかったのだが、それがあったからこそゴンは足を止め、ムルトがその隙を突き、勝つことができた。

ティアには借りがあるのだ。


「はぁ、はぁ、ー黒薔薇の暴龍(ブラック・ローズ・ドラゴン)ー!」


「集まって、骸骨達」


サキの地面から棘の生えた幹が生えてきて、黒い華が咲いた。そしてそれらは絡み合い、一体の巨大な龍になる。

ティアの方も、召喚した骸骨達が集まる。

組みあい、骨を交換しながら、巨大な頭蓋骨になった。


「力を貸してー最期の輝き(エンド・ライフ)ー」


凄まじい地響きと共に、その頭蓋骨が光りだす。頭蓋骨からは背骨、肋骨、腕、脚などが生え、体を形成した。


「いってください!」


「いって」


「ギュオオオォォオン!」


「カタカタカタカタカタカタ」


薔薇の龍と、巨大な骸骨、双方の召喚したモンスターがぶつかり合う。

それと同時にそれぞれの魔法使いも戦い始めた。


「体術か」


ムルトはサキを見て驚く。

開戦した時点では杖を持ち、装備も魔法を使いやすくするためのものだ。

それなのに今では己の拳を使い戦っている。

ティアにもそうで、ティアは杖を鈍器として使い戦っている。ムルトは杖ではなくメイスだとすぐに気づく。


ムルトは微塵の油断も無しに怠惰の魔力を纏い、2人の戦いを見守っていた。


「ーグリーンブレスー!」


「ギュ……オオオォォォン!」


「耐えてっ」


黒薔薇の暴龍が鋭利な葉などを吐き出す。

ティアの骸骨はティアを包み込むように覆い、その攻撃に耐えているが、側面から徐々に骨を削られている。


(耐えきれない……か)


ムルトは走りだす。


(面倒くさいが、今借りを返そう)


ティアの召喚している髑髏へ飛んでいく。

そして片手を髑髏へとつけ、そこに怠惰の青い魔力を注ぎ込んだ。

ムルトを敵だと判断していない髑髏はその魔力を受け入れた。怠惰の魔力が全身を包む。


「何をして」


「借りを返しただけだ」


黒薔薇の暴龍の攻撃は髑髏に効かなくなっていた。微塵も削られることなく、傷もつくことなく、その攻撃を耐えた。


「カタカタカタカタ」


巨大な髑髏は片手でティアを包んだまま、体を起こし、黒薔薇の暴龍に襲いかかる。

素早いフックがヒットする。


「ギュオッ」


「カタカタカタカタ」


繰り返し拳が振り落とされる。

黒薔薇の暴龍はそのまま元の薔薇と幹へと戻ってしまう。

黒薔薇の暴龍の体には棘が生えており、物理攻撃をしてくる敵に対して傷を負わせることができる召喚モンスターだが、相性が悪かった。

一方的に攻撃を受けやられてしまった。


そして、召喚モンスター同士の戦いが決した時、召喚者同士の戦いも決着する。


「あっ」


「終わり」


黒薔薇の暴龍がやられている時、髑髏はもう片方の手を動かしていた。伸びるその手はサキを襲っていた。

いくらサキでも、自分を覆うほど巨大な拳をいなすことはできなかった。

その拳を食らった後、手が開く。

中からはティア。ティアは勢いそのままにサキへとメイスを振り下ろしていた。


吹き飛ばされているサキは防御することができなかった。

Dブロック予選通過者、最後や一名は、あまりにあっけなく決まった。


そして、Dブロック予選終了の合図が聞こえる。


『Dブロック!!それまでぇえぇぇぇぇ!!さぁああぁぁ!!なんと熱い戦い!熱い展開!!各ブロック色々なドラマ、バトルがありました!まずは予選通過者たちへ惜しみない拍手を!!!』


「「「パチパチパチパチパチ!!!」」」


溢れんばかりの拍手喝采、ちょうど全ブロックの通過者が決まったようだ。


『さぁ!それでは興奮が冷める前に!見事喧嘩祭りの予選を通過した方々の紹介に移りたいと思います!!予選を通過した方々は休憩室がありますので、そこへお集まりください!今後の予定などをお話しさせていただきます!』


各ブロックの勝者は、ステージの横の出入り口へと案内される。


「ムルト様ああぁぁぁぁ!!」


「ん?」


Cブロック。そこからハルカがムルトへ向かって手を振っている。ムルトはそれに応えようと手をあげるが


「行こう」


ティアがムルトのあげた手を取り、出口へと向かっていく。


「え、な、なぜ」


「早く」


ムルトはなぜティアがそんな行動に出ているかわからなかったが、結局休憩室で会うのだ。とりあえずもう片手をあげ、ハルカに応えた。ハルカはそれを見て驚き半分、怒り半分といったところだ。


『さぁ!それじゃ情報が届いた!予選通過者の紹介だぁ!』


実況の男がさらに場を盛り上げる。


『Aブロック通過者1人目は!!

なんと今はあまり見ることのない吸血鬼!!その腕前と魔法は十分だ!吸血鬼のロンドオォォ!!』


『そして2人目、流れるような動きが特徴!吸血鬼ロンドに手を貸しているように見えたが、2人は一体なんなんだ!流水拳、ミチタカァァァァア!!』


『Bブロック予選通過者1人目は!!悪鬼の如く暴れる様は見応え十分!赤い鎧には幾人もの血がこびりついている!紅鬼、ジュウベエ!!』


『そしてそのジュウベエと対等な戦いを繰り広げていた者を倒し、最後までジュウベエを追い詰めた男!!骨人族、ティングゥゥゥ!!』


『Cブロック予選通過者1人目は!!綺麗な氷の魔術師!巨大な樹氷を作り、数多くの参加者を退場させた!氷獄の姫!ハルナあぁぁぁ!!』


『そして突如現れ、とてつもない強さを見つけた屈強な大男!詳細不明!ブラドオオォ!!』


『Dブロック!とてつもない三つ巴の戦いを勝ち抜き、その意志の強さを見つけた男!こちらも骨人族!メルトオォォォ!!』


『そしてこちらは人間!数少ない死霊術を扱う少女!骸骨を使役する姿はまさしく女王!骸骨嬢、ティアァァァァア!!』


『以上8名は予選を勝ち抜き、本選のトーナメントへ駒を進めることとなります!!

本選のトーナメントは1対1の勝負となります!助ける味方も、不意打ちする敵もございません!!安心して己の力を大いに振るっていただきます!本選は2日後!勝ち抜いた皆さんは英気を養い、敗退した皆さんも、自分が負けた相手の戦いを学び!また次の喧嘩祭りまで力を磨いてください!!それでは!喧嘩祭り予選!!これにて終了ー!!!』


「「「うおおぉぉぉぉおおお!!」」」


拍手、歓声、そして恨み辛み、全てがここで吐き出された。

ムルト、ハルカ、そして他の面々の戦いはこれから続く。


これにて予選終了です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ