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予選Dブロック3


サキの風身鶏がティアの召喚した走者(ランナー)の頭蓋骨を貫きながら進んで行く。

回者(スピナー)達はそれを避けながら回転したままサキへと迫っていく。


「ー枝壁ー」


サキが魔法を唱えると、両側の地面から木の枝が何重にも伸びてくる。回者はその壁に阻まれサキへとは辿りつくことはできなかった。

木の枝は回者達を巻き込みながら一枚の巨大な壁となった。


砲者(ガンナー)2」


ティアの足元から新しい骸骨が現れる。肋骨からは大砲のような筒がついている。


「各自装填狙撃」


砲者は足を地につけ立ち止まる。走者達が砲者の後ろに立ち、自分の骨を注ぎ込む。


「させないっ!」


「ピュイー!」


風身鶏が鳴き声をあげながら走者達を倒そうと飛ぶ。だがそこには巨大な壁が立ち塞がった。


「ー骨の壁ー」


サキの出した枝壁のように、何重にも入り乱れた骨でできた壁が現れる。風身鶏はその壁を貫通させようと回転をかけながら突っ込んでいったが、表面の骨が削れただけで、貫通することはできなかった。

風身鶏の体の風は霧散する。


大防者(ビッグ・ディフェンダー)


その大きな骨の壁はブルブルと揺れ始め、大きな骨の体を形成していった。


「ーツリーマンー!」


サキも枝の壁を使い、ゴーレムのようなものを作った。ティア回者はすでに消えており、枝のみで作られている。


「いけ」


「いってください!」


ツリーマンと大防者がぶつかり合う。

その横をもう1体のツリーマンが通過し、砲者と走者を襲う。


ティアはそれらを無視しながらサキへと一直線に迫っていた。

サキは目まぐるしく行われた召喚に自分の魔法をぶつけていたことでその接近を許してしまう。

ティアの振るった一撃を杖で耐える。


「重いっ……」


ティアの一撃は想像以上に重かった。小柄な体、そして魔法使いのティアにしては重い一撃。


「見た目で判断しちゃ、ダメ」


ティアは受け止められた杖に重心をかけながら、左足を軸にして回り、後ろ蹴りを放った。

サキはそれを避けれずまともに受けてしまい、後ずさる。


「っ!」


ティアはそれを見ながらクルクルと杖を回しながらサキへと接近する。

ティアの杖の先端についている骸骨の目が怪しく光っていた。


「それは……杖ではなく、メイスですね」


「よく、わかったね」


「ワンドにしては、ショートカットに使っていませんもん」


「ショートカット?それは知らないけど、確かに省略をこれでは行っていない」


そう、ティアの使っている杖は杖ではなく、戦棍、メイスだったのだ。

ティアは回していたメイスを握った。


攻者(アタッカー)


拳が肥大した骸骨が出てくる。

ティアはその骸骨と共にサキへと突進していく。ティアと骸骨の攻撃をサキは耐えることしかできなかった。どちらかの防御に徹すれば、どちらかの攻撃を受けてしまう。


サキは魔法の才はあっても、武道の才はなかった。だが、そんなサキにも武器はある。


「ふっ!」


ティアのメイスを杖で受け止め、骸骨を蹴りながら後ろへ飛んだ。その時に杖を離した。


「杖を手放した……諦めた?」


ティアは少し距離を取りながら、サキへと問いかける。サキはその問いを聞きながら構えた。足を前後に開き、両手を少し開きつつ構える。


「諦めるわけが、ありませんよ」


「……その構えは?」


「合気道です」


そう、サキは合気道をしていたのだ。空手も少々、元々杖を使って戦う方が苦手なのだ。


「と言っても、杖を手放したら弱くなる」


「いえ、大丈夫ですよ。ー突風ー!」


瞬間、サキの体がブレた。目にも留まらぬ速さでティアの目の前に移動してきたのだ。その風を孕んだ拳で、攻者の頭蓋骨を粉砕する。


(やばいっ!)


「ー烈風脚ー!」


サキは体を捻りながら続けざまに蹴りをティアに放った。ティアはその蹴りをギリギリメイスに当てることができたが踏ん張ることはできなかった。威力そのままに蹴り飛ばされてしまった。


サキは油断せず構えを整えティアを注視する。


「さぁ、戦いはまだ始まったばかりですっ!私は……負けません!」


ティアは体勢を整えながらメイスを握りしめた。


「私も……負けられない」


2人はさらに魔力を練り上げる





「ふっ!」


「はっ!」


「むぅん!」


ムルト、ゴン、聖騎士の3人は未だに乱れながら戦っていた。聖騎士の剣がムルトを襲う。ムルトがその剣を耐え、ゴンが聖騎士へと攻撃を繰り出す。聖騎士はそれを避け、その隙にムルトの繰り出した攻撃を受け止める。その隙にゴンはムルトへ攻撃を出す。ムルトはその攻撃を避けながら聖騎士を仕留めるために動く。


このような三つ巴の戦いを続けている。


「埒があかないっ!な!」


「そうだなっ!!」


「だが、これが1番楽しい!」


「ぬおぉ!」


ムルトは憤怒の魔力、戦斧に変え、振り回す。2人は後ろに飛びそれを避けた。

ムルトはすぐに怠惰の魔力を全身に纏わせ、多節鞭へと変え、それを両手に持つ。


「面白い仮面だな、ムルト」


「あぁ。自慢の一品さ」


ムルトの仮面は憤怒の魔力を纏っている時は角が生え、怠惰の魔力を纏っている時は触手のようなものが髭のように伸びる。


「行くぞ!」


「こい!ムルト!」


「僕もいるよっ!」


ムルトは両手の多節鞭を使いながら、丁寧に2人の攻撃を受け止める。


「ゴン!すまない!」


ムルトはそう言いながらゴンの隙を見つけ攻撃を繰り出す。ゴンはそんなこと当然のように串で受ける。


「戦いだ!謝るな!」


「すまない!」


そう言いながら3人はさらに乱れる。

1対1対1

魔法を使わず己の腕のみでその戦いは続いていった。

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