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骸骨は出会う

少しした後ミリアの母が来て月の教会の場所を教えてくれた。

俺はミリアや大将にもお礼を言い月の微笑みを後にした


(今日もここへ泊まろう…)


と決めたのであった





月の微笑みから少し歩いたところで目印として教えられていた慈愛の神ヴィーナスの教会を見つける


「ここがヴィーナスの教会か…ということは…こっちだな…」


ヴィーナスの教会を過ぎて左に曲がる。また少し歩くとようやく教えてもらった建物へ着いた


見た目は普通の教会と一緒だが、月の女神を信仰しているということで、月のシンボルマークのようなものがあった。


(ここで間違いないようだな)


俺は銀色のドアをゆっくり開け、中へ入っていく。


「おはようございます。月の教会へようこそおいでくださいました」


銀色の箱を持ったシスターがお辞儀をしてくる。ここはエントランスのようで客人を迎えるソファーそして礼拝堂や地下室へと通じるドアがある。少し狭いスペースには売店のようなものまである。

なぜ地下室があるのか。ミリアの母親の話によると地下室にはそれぞれの教会特有のものが展示物として見学ができるらしい。ちなみに慈愛神ヴィーナスのところは女性ものの下着が置いてあるのだとか…


そしてシスターの持つこの銀の箱、これはお布施、というものらしく、旅人や冒険者、そして観光客、その教会に属していない者が入場料としてお金を入れるらしい。最低は銅貨一枚でもいいと言っていた。売店などで別に儲けていて、この街では教会が経営難に陥っても救済をしてくれるのだとか


(お布施か…銅貨は持っていないし…銀貨1枚というのも月に失礼だ…50枚も渡すと持ってるシスターが重いだろう…あ、あれがあった)


「これでいいだろうか」


俺はお金を入れている袋から金貨を取り出しシスターに問う


「えっ!もっと安くても大丈夫ですよ。銀貨1枚でも十分でございます!」


「いや、銀貨1枚では月に、月の女神に失礼だと思ってな。気にすることはない」


俺はそう言い箱の中に金貨をいれる。


「なんとお礼を申し上げればよいのか…ありがとうございます!」


繰り返し深々と頭を下げる。こちらが何か悪いことをしてしまったのかと思ってしまう。


「気にすることはない。地下室の見学はもう行ってもいいのか?」


「可能ですよ。今は手の空いているシスターがいるのでご案内をさせていただくことができますがいかがいたしますか?」


「おぉ、そうなのか。ありがたい。月の女神に関しては無知なのでな。是非頼む」


「はい!ありがとうございます!それではこちらへどうぞ!」


シスターは銀の箱を別のシスターへ渡し地下室へ続くドアを開ける。どうやらこのシスターが案内をしてくれるそうだ


「それでは今回のご案内を務めさせていただきます。シスタービビアンです。よろしくお願いします」


「あぁ。スカルヘッドだ。よろしく頼む」


簡単な自己紹介をし地下室へと降りていく。地下と言っても真っ暗ではなく、しっかりとお洒落なれども、華美ではない壁紙や室内灯がついている。


少し進むとガラスのケースに入ったものや銅像が置かれている。

シスターの話は実に興味深かった。


例えば月のカケラ

この月のカケラは非常に希少で置いてある教会はここを合わせて僅か4つしかないらしいのだ。この月のカケラは月の女神の落とした涙と言われているらしく、空から落ちてきた隕石というものらしい。

月の表面のように丸いくぼみがある。


そして銅像や、月の女神アルテミスが使ったと言われる弓と矢のレプリカなどが置いてある。どれも非常に素晴らしく美しいものばかりであった。

実に有意義な見学は早くも終わってしまった。


「展示物は以上になります。どうでしたか?」


「非常に興味深く素晴らしい話ばかりだった。まさに月を具現したかのような銅像も素晴らしかった。これもビビアン殿の案内のおかげだろう」


「そ、そんな、滅相もありません!ですが…ありがとうございます…スカルヘッドさんは礼拝もいたしますよね?月の女神へ祈りを捧げるのです」


「あいにく礼拝の作法を知らないものでな…だが是非月へ祈りを捧げたい」


「はい!それではこちらへどうぞ!」


ビビアンに案内され礼拝堂へと進む。俺が入った時間はちょうど祈りを捧げている人間はおらず、俺ただ1人だけだった


「ちょうどいいですね。それでは月の教会での作法をお教えしますね」


「頼む」


「それではまず胸の前で手を組んでください」


「おっと、すまないが、この後は目を閉じながら教えてくれないだろうか。私の顔は大層醜いらしくてな。見せるのは申し訳がない」


「私は気にしませんよ。ですが、スカルヘッドさんが見られたくないと言うのであれば」


「あぁ。悪いな」


ビビアンは俺の言った通りに目を瞑ってくれた。俺はフードを脱ぎ、仮面を外し、青い骸骨の顔を露わにする


(神への御目通りで顔を隠すのは不敬というものだ…)


「次へいってもよろしいでしょうか?」


「あぁ。構わない」


「スカルヘッドさん、仮面を外した後の声はすごく低くていい声ですね。篭っていてうまく聞き取れなかったので…」


「いい声…か…ありがとう」


「い、いえ…それでは。続いて右膝をついてしゃがみます。これであとは祈るだけです」


「あぁ」


言われた通りにし膝を折り。祈る


(初めてお目にかかる。私の名前はスカル…いや、まだない。種族は月ノ骸骨という。スケルトン、モンスターだ。まずは私が人間ではないことを深くお詫びする)


『気にすることはありませんよ。顔をあげてください』


透き通るような、声が、聞こえた。

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