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骸骨は考える
エピローグが第一話となっております
彼の種族はスケルトン。名前はまだない
この暗い洞窟で、彼は仲間と一緒に過ごしている
仲間と言っても、意思の疎通は図れない。
彼が喋りかけても、カタカタと音を鳴らすだけ。
彼のように声は出せないのだ。
この洞窟には、彼以外に、声の出せるスケルトンはいないらしい。
たまに洞窟にくる人間を、彼の仲間、スケルトン達が襲う。
だが、彼は人間を襲わなくなった。なぜだかはわからないが、彼は考え、喋り始めるようになってから、人間を襲う気が起こらなくなっていた。攻撃してくる者には襲いかかるが、戦闘は基本避けている。
今日も彼は、天井に空いた穴から月を見上げる
(俺はこれからどうしよう…)
洞窟の中を照らす青い月は、何も答えてはくれなかった
「俺の種族はスケルトン。独りぼっちだ」