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骸骨と孤独な男


「まぁ、適当に座ってください」


ハンゾウと出会った場所から少し歩いた所に洞窟があった。

うさぎやイノシシのモンスターが解体され、吊るされていたり、氷を詰められていたりしている。


「ちょっと待っててね」


ちょうどリビングのような場所に通された。

椅子や机などはないが、足の低い机、座布団、そして藁のようなものが地面に敷かれていた。


少ししてハンゾウはコップと何やら不思議な形をした器を持ってきた


「それは、急須ですか?」


「その通り。ハルカさんはやはりわかるか。これを飲んでみてくれ。ははは、毒などは入ってないよ」


ハルカはハンゾウにそう尋ねる。初めて見るこれは急須というらしい。ポットに持ち手が増えたような、そんな形だ


「これは……日本茶ですか?」


「日本茶?茶には変わりないがな、やはりハルカさんは私と同じ国から来たようだな、和の国の人だろう?」


「和の国……私はハンゾウさんのいた時代より遠い未来、日本から来ました。日ノ本と呼ばれていました」


「日本?日ノ本?」


「はい。ハンゾウさん、あなたの本名は、もしかして服部半蔵(ハットリハンゾウ)というのではありませんか?そしてあなたは転移者であり、美徳の持ち主」


ハルカがそう聞いた瞬間、空気が凍ったような気がした。ハンゾウの目つきは、狩人のそれと化していた。だがそれは全くの別物、獲物を見つけた目ではなく、排除する敵を見つけた目、そしてその目つきのみでこの場の空気を支配したのだ。

俺は咄嗟に武器へと手を伸ばした。


パチンッ


自分が作ったその負の空気を打ち崩すかのようにハンゾウは手を打ち鳴らした。


「はっはっは。なぜハルカさんがそこまで俺のことを知っているかは知らないが、大当たりだ。私は服部半蔵を受け継いだ者。そして美徳所持者でもある。そのことに関しては、2人ともその目を通して私を見ればわかることだろう」


ハンゾウはそう言った。ハルカと同じ異世界のものであれば、鑑定眼を持っているだろう。当然俺のこともすでに鑑定眼で見ている。こちらの力のそこは既に知れているだろう。


茶を一口飲み、ハルカは説明を始めた


「なぜ私が服部半蔵さんのことを知っているか説明いたしますね」


「ハンゾウでいい。そちらに慣れてしまった」


ハルカはハンゾウについての説明をする。俺でも知らない情報だ。


ハンゾウは、忍者というハルカが住んでいた国で昔に存在していた秘密組織の有名な人物らしい。服部半蔵の他にも有名な忍者がいたらしいが、ハンゾウが知る者と、知らぬ者に別れた、これは生きていた時代の違いからだろう。


ハンゾウ、その他にも忍者という存在は、ハルカの住んでいた日本の現代では、書物などによって存在が明るみに出て、どんなことをしてきたかも細かくではないが公開されているらしい。テレビ、というもので放送ということもしていたらしく、一般人でも忍者の存在を知るものは多かったらしい。


「ふむ。未来ではそんなことになっていたのか」


「はい。忍者を知らない人はほとんどいないと言ってもいいでしょう。外国の方などは忍者や侍に憧れる人も多いです」


「ふん、島外共が、か。和の国を収めたのは、結局誰だ?」


「織田信長です」


「魔王、か。徳川氏はどうなった?」


「後に天下を取ります」


「そうか、天下を取ったか」


「はい。その、ハンゾウさんはいつからこの世界に?」


「そうだなぁ……20年ほどだろうか」


ハンゾウは、壁に刻まれた傷に手を当てながら答えた。この世界に来てから毎日こうやって壁に刻んでいるという。

ハンゾウは、それからこの世界に来てからのことを話してくれた。


戦乱の中、幾度もなく生死を彷徨ったが、その度に生をもぎとってきたらしい。

その最中、突然目の前の景色が変わった。

森の中で暗躍しながら敵を葬ってきたが、目の前の敵が突然いなくなり、血生臭く、赤く染まっていた森は消え、緑生い茂る土地が目の前に広がったらしい。

手負いのハンゾウの目の前にいたのは、今まで見たこともない熊だったらしい。

それは生前の市民が住んでいた家屋より大きく、その傍らには人が口齧られていた。

この世界に来て初めての命の取り合い。

ハンゾウは難なくそのモンスターに勝った。

だが問題はそれから、ハンゾウはその熊に食われていた人間を助けることができず、とりあえず生きることにした。

洞窟を見つけ、生きた。人里を探したりもした。見つけた。だが言葉は通じず、その度に門前払いを受けていた。

言葉を学び、この世界を学び、生きてきた。仲間もおらず、敵もいない。

ハンゾウはひたすらに自給自足を繰り返したらしい。土地を開墾し畑を作り、川から水を引き、獲物をとり、蓄えもある。


「そして、いつの間にか手に入れたのが【節制の美徳】だ」


ハンゾウは俺とハルカにステータスを見てみるように言った



名前:ハンゾウ・ハットリ

種族:人族


レベル:101/200

HP9820/9820

MP8210/8210


固有スキル

鑑定眼

魔力操作

アイテムボックス

限界突破

忍術

影の心得

節制の美徳



スキル

暗殺者Lv10

拳闘士Lv8

抜刀術Lv10

経験値UPLv10

火魔法Lv10

風魔法Lv10

水魔法Lv10

土魔法Lv10

聖天魔法Lv3

危険察知Lv10

隠密Lv10

身体強化Lv10

不意打ちLv10

カウンターLv10

状態異常耐性Lv10



称号

影の者、忍び寄る恐怖、暗殺者、転移者、転生神の加護、限界を超えし者



ハンゾウは、俺とハルカのステータスを遥かに超えていた。

持っているスキルはほとんどが上位のものになっているか、レベルが最大まで上がっているようだ。


「この20年、色々なことがあった」


「20年……でもハンゾウはあまり老けていないようだな」


「はい。私の歳は、本当は90歳ほどなのだが、ここに来た時、若返っていたのだ。そう、15ほどの青年になっていた」


「転移のせい、ですか」


「恐らく、な。神と名乗る者にもあったが……はっきり覚えていないんだ」


「ふむ……」


「とりあえず、しばらくここにいるといい。久しぶりの客だ。食料もある。ゆっくりしていけ」


「あぁ。厄介になる」


ハンゾウの圧倒的なステータス、だが魔法などにはあまり頼らず、自給自足、己の力のみで生活をしている。

この男ならば、俺が今求めている力を与えてくれるかもしれない。


「ハンゾウ、折り入って頼みがある」


俺は正座をし、手をつき、振り返ったハンゾウを見上げた。

そして息を吸い、覚悟を決め、その言葉を吐き出した

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