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【書籍発売中!】スケルトンは月を見た〜祝福を受けた骸骨は、心を求めて旅をする〜  作者: アルファル


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骸骨へお誘い

長らくお待たせいたしました。

体調が少しずつ良くなってきたので、なんとか更新していきたいと思います。

お待たせしてしまい、申し訳ありませんでした。

これからも応援よろしくお願いします



「あれが【シュネシュロス】か」


「お爺さんの言う通り、すごい場所にありますね」


「あぁ」


俺たちは今、小高い丘の上にいる。眼下には昨晩泊めてもらった老人に教えてもらった街【シュネシュロス】がある。

クレーターのように大きな穴が空いており、その街はその穴の中にある。穴、と言ってもそれほど深いものではない。街が少しだけ埋まっている感じだ。そして、街を囲っているのは土の壁ではなく、天然の雪の壁だ。

老人曰く、その雪の壁は魔法で補強されており、崩れにくくなっているそうだ。


「あそこが入り口みたいですね」


「そのようだ」


ハルカが指差した場所には、雪でできた階段がある。俺たちはそこへ向かった。


「やぁ、観光かい?とりあえず冒険者カードか何か持ってるかい?」


「あぁ。これを」


「ほう。2人ともBランクか、入っていいぞ」


「感謝する」


「楽しんでくれ〜」


階段をくだると、門があり、そこでいつもの通り入市税などを払い、街へ入る。


街は活気で溢れている。

シュネシュロスも寒いらしく、昨日立ち寄った村のように、毛皮のようなコートを羽織った者がほとんどだ。姿形や色などは多種多様だが、色々な種類があるようだ


「おぉ、あれは人狼族だな」


周りのようにコートではなく、軽い衣服のみを着て、パンを売っている。

ビットやジットが人狼になったときのようなピンとした耳ではないが、頭の上から耳が生えている。


「狼というよりは犬ではないでしょうか?」


「犬?」


「犬っていうのはですね……説明が難しいですね」


「ふむ。そうなのか」


ハルカが言うには、あのパンを売っている者の耳はタレ耳、というもので、ミニチュアダックスフントみたいだ。という。

胴が長い小動物らしいが、こっちの世界では未だに見たことがないという。


街の中を歩いていると、人間族ではないものがけっこうな数いた。

いわゆる、亜人と呼ばれる者だ。大半が獣人族、ちらほらとエルフや魔族が紛れている


「この街にはいろんな種族がいるのだな」


「聖国の後ですと、びっくりですね」


「あぁ。だが、こういうのが一番いいのだろうな」


「そうですね。私もそう思います」


見るからに平和、という感じだ。

とりあえず俺たちは今晩の宿を探し、部屋をとった。荷物を部屋に置き、また街の中を歩いていく


「でも、これだけいろんな種族がいるんでしたら、骨人族さんなどもいるのでしょうか」


「骨人族はあまり集落などから出ないとコットンが言っていたからな」


「そうなんですね」


「あぁ。だが、これだけいろんな種族がいるのだ。きっとそれを助けるような商店もあるはずだ」


「魔道具店とかですかね?」


「探してみるか」


「はい!」


魔道具店を探して10分ほど、店はあった。

そして獣人族やエルフ、ドワーフなどが使うものなどは売っていたが、骨人族の使う胃袋などは売っていなかった。

とりあえず手袋を2つ買っておいた


「ふむ。なさそうだな」


「ないですかね……」


しょんぼりとした足取りでハルカは歩いているが、別になくとも不便ではないので、俺はあまり気にしていない。とりあえず、この街を巡ってみようと思った


「何か出店で食べたいものなどはないか?」


「食べたいもの、ですか?」


「あぁ。俺も何か食べたい」


「ですが胃袋が、風魔法じゃMPが……」


「はっはっは、心配するな。それより、俺は何が美味しいかわからないからな。ハルカが選んでくれ」


「はい。それでは……」


ハルカは俺の手を引き、1つの出店の前にいく。かき氷、というものらしい。

大きな氷を削り、削った雪のようなものに赤や緑のシロップをかける。

ハルカは赤、俺は緑のシロップをかけたものを受けとった


「ムルト様、変温を使って食べてみてください」


「む?あぁ」


俺は変温をつけ、かき氷を口の中へと運ぶ

口の中が一瞬でひんやりとし、溶けていく。

シロップの甘さが口の中に広がり、鼻からいい匂いが抜けていく


「冷たくて美味しいな」


「はい!それがかき氷です!」


「あぁ。うまい」


ハルカは自分の赤いかき氷も俺に食べさせてくれた。俺のものとは違う甘さだったが、非常にうまい。確かに、これは変温を使いながら食べたほうがいいかもしれない。

かき氷に限らず、これから食事をとるときは変温をつけることにした


「ところでハルカ」


「あの」


「む?」


そこで、第三者からの声がかかる。

ハルカではない女性、それは俺の後ろからかけられたものだ。

俺は振り向き、その人物を見る


「リーン、殿?」


「はいっ!ボロガンの街以来でしょうか?お久しぶりです。骸骨さん!」


かつてボロガンの街へ向かう時、馬車に乗せてくれた人たちだ。あの時と同じ御者もいる。


「こんなところでまた会えるなんて、奇遇ですね!」


「あ、あぁ。だが、よく私だと気付いたな。見た目も仮面も変わっているのに」


「そこは勘、でしょうか?私、これでも女の勘には自信があるんですよっ」


「ほう。そうなのか」


「はいっ」


「お嬢様、そろそろお時間です」


あの時の御者が懐中時計を取り出し、リーンにそう言う。


「あら、もうそんな時間?仕方ないわね……あっ!骸骨さん、明後日の夜って空いているかしら?」


「ぬ?どうだろう?空いているとは思うが」


「そう?それではこれを渡しておくわね。クリスマスパーティの招待状」


「ぬ?パーティ?」


「えぇ!それじゃ時間だからまたね」


「あ、ちょっと待ってくれ」


「じゃ〜ね〜」


2人は陽気に歩いて行ってしまった。

別に追う気にもならず、早足で去っていくその後ろ姿を見送った


「ムルト様、あのお嬢様は?」


「あぁ。ボロガンという街に行く途中で会ってな……」


強引にも渡された招待状、俺とハルカ、二枚の招待状をもらった


「さて……どうしたものか」


スケルトンの体でパーティに行けるはずもなく、俺は断るしかないと、心の中で考えていた

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― 新着の感想 ―
[一言] 35部で主人公が犬を知っている描写があるので、まるで初めて聞いた様な表現は矛盾するかと。
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