表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/17

出会い

朝顔の話で盛り上がった頃、彼がふと柚季に尋ねた。

「君は女の子だよね? なのになぜ稽古着なんて着ているの」

なぜだろうか。よく考えてみると柚季にも分からない。

「なんでだろう。私にも分からない。気がついたらここにいたんだ。」

彼は驚いたような表情を浮かべた。

「でも、ひとつだけ分かるの。剣道をするためにここに来たんだな、って。ここがどこかすら分からないんだけどね」

柚季は少しだけ笑を交えて話した。

「剣道って剣術のことか?ならいいとこ教えてやるよ!」

彼は可愛いらしい笑顔を向けてきた。

「俺のいる道場なんだけど、試衛館ってとこ!」

また剣道ができる、そう思った柚季はなにも考えずに

「行きたい!」

と答えてしまったのだ。だから気がつくことが出来なかった。その試衛館が、後に幕末で新選組として活躍をする人達が食客として招かれていた道場だということなんて。

「じゃあ行こうぜ!」

彼に手をひかれる。

「俺は藤堂平助! お前は?」

キラキラな笑顔で尋ねた彼に柚季は負けないくらいの笑顔で答えた。

「東堂柚季! よろしくね!」

その後柚季は藤堂に手をひかれ、夕暮れの町を走った。その間に気がついた。高い建物がないこと、町の人が全員和服を着ていること......。全て、自分のいた時代ではありえない事ばかりだ。思いつく事としたら......タイムスリップ。

「藤堂さん。今って、何年......?」

藤堂はこちらを向いて、何を聞くんだ、という顔で答えた。

「文久二年だけど。」

文久二年ということは、西暦に直すと一八六二年。今までいた時代の約百五十年前。柚季は思った。本当に自分はタイムスリップをしているのではないかと。夢ではないか確かめるために柚季は一度自分の頬をつねった。......が、痛い。どうやら夢ではないようで。もしかしてあの女性がこの時代まで飛ばしてくれたのかな、と思い心の中で一度ありがとう、と呟いた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ