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緊急招集

ポーションを作ってひと月が経った、


ポーションはりんご味からオレンジ味、


蜂蜜味を作り合計100本、


更に各属性付きのポーションを10本ずつ作った、


全てシルフィードの収納魔法の中にある、


特に使うわけではないがなんとなく楽しくなったためシルフィードは作りまくった結果だ、


学園ではシルフィードは主にアスカレイヤかユーリシア、


イフリーナと話している、


他の生徒はたまに話しかけたりするがよそよそしい、


原因はシルフとの試合が終わったあの出来事、


アルバートはマクスウェルが家に押しかけてシルフィードを殴ったことについて話した、


アルバートはシルフィードを獣人だと押し通そうとしたがマクスウェルと更にマクスウェルが呼んだバーボルトの証言によって無意味に終わった、


アルバートはエルキンス家を追い出されてバークリートから遠い親戚のところに行った、


更にシルフィードに攻撃した教師は退職になった、


大勢に前で生徒に魔法を放ったりナイフで斬りかかろうとしたからだ、


他の生徒達も目撃している、


マクスウェル自身も見ているため教師は素直に退職した、


それが原因でシルフィードに関わると退学になると思われた、





マクスウェルは地下にある城の客間に来ていた、


「久しいのイルバータ、」


「お久しぶりです、

マクスウェル様、」


イルバータはお辞儀をする、


「どうしたのじゃ、

わしを呼び出して、

更に人払いもしおって、」


「実は、

南の魔族領前の関所の兵士があることを言っておりまして、」


「ほう、

なんと言っておるのじゃ?」


マクスウェルは髭を撫でる、


「はい、

山が動いていると、」


「山が?」


マクスウェルに手が止まる、


「はい、

初めは兵士の妄言かと思いましたがやけに具体的でして、

参考の意見までにマクスウェル様の意見を伺いたくてご足労をかけました、」


マクスウェルは考える、


そして口が開いた、


「わしが子供の頃エルフの森で耳が痛くなるほど聞かされた話があってのう、

当時から数百年前に一体の巨大な魔物がおってのう、

山と同じくらいの大きさで足だけでこのバークリートを簡単に覆うくらいでのう、

四足歩行で外見は亀のように見えるが口から炎を出すのじゃ、

背中には山を背負っており主に土の中にある鉱物を食べておるのじゃ、

だいたい食べ終えたら長い長い年月眠りにつくと言われたのう、」


イルバータは難しい顔をした、


「それは昔話ではないでしょうか?」


「最後まで聞くのじゃ、

其奴が暴れた時があってのう、

確か今では魔族領の場所でのう、

それは何人もの人やエルフ、

獣人に妖精、

魔族が死んだことやらと言っておってのう、」


「全ての種族が手を取り合ってたのですか?」


「その当時はじゃ、

何百といった者の命が散っていった、

それでなんとか其奴を封印したんじゃ、

長い長い眠りをさせるためにのう、」


イルバータは嫌な顔をする、


「まさかと思いますが今回のこの話はその魔物が眠りから覚めたといっているのですか?」


「可能性の話じゃがのう、

それにもう何百年と昔の話じゃ、

本当か嘘かはわしにはわからぬ、」


マクスウェルはそう言って椅子に深く身を落とす、


イルバータはそんなマクスウェルを見つめ続けた、




学園から帰っているシルフィードはギルドに立ち寄った、


薬草不足はシルフィードが持って来た大量の薬草で賄えた、


その後、


シルフィードの屋敷に直接礼を言いに来た人もいた、


「サーシェさん、

今日は何か依頼はありますか?」


シルフィードは受付にいたサーシェに声をかけた、


「シルフィードちゃん、

そうだね、

もう日が暮れるから数件の配達だけでお願いね、

これは依頼書だよ、」


サーシェはシルフィード専用の緑色の冊子を受け取る、


シルフィードはそれを受け取り走っていった、






時は同じく、


幽霊さんは酒場に来ていた、


情報収集を行うためである、


しかし酒場もガヤガヤとうるさいためなかなか情報を見つけるのが難しい、


そんな中、


「マスター!

酒を持ってこい!」


カウンターに座っている男が一段と大きな声を張り上げた、


「これで10杯目ですよ、

少し飲みすぎでは?」


「うるせえ!

飲まなきゃやってられねーぜ!」


「何があったか話してくれませんか?

話せば楽になれると思います、」


(マスターは大人だな、)


幽霊さんはぼそりと呟く、


男は大きなため息を吐いてから話し出した、


「俺は城に伝えたんだ、

山が動いていると、

それなのに城の兵士はそれを笑って終わらせた!

あれが魔物だったらこの国は終わりなんだぞ!

それなのに!

それなのに!」


男はついに泣き始めた、


マスターは男をなだめている、


幽霊さんは腕組みをした、


(山が動く・・・か、)


幽霊さんはある場所に向かった、






(マクスウェル、)


幽霊さんはマクスウェルの家に来た、


「どうしたんじゃ?

幽霊殿?」


マクスウェルは椅子に座っていた、


幸い周りにはメルヴィナいない、


(山ほどの大きな魔物って居るのか?)


マクスウェルは渋い顔をする、


「情報が早いのう、

その報告が城に来ておってのう、

儂はそれについて呼ばれてのう、

儂が子供の頃に聞いた話をしたんじゃ、

封印された魔物の話を・・・」






幽霊さんは急加速で南に向かった、




「儂が産まれる数百年前の話をの」





マクスウェルの話していた昔話が気になった、


数百年もの受け継がれて来た昔話、


それには訳があるはずだった、


なぜわざわざエルフがその昔話を覚えているのか、


そしてなぜエルフしか伝えられていないのか、


人は忘れられていた、


数百年前の惨劇を、


幽霊さんは南の関所に向かった、





しばらく飛んでいると逃げている兵士を見かける、


皆が怪我をしている、


しかしその兵士も魔物に襲われている、


幽霊さんは歯を噛み締めてそれを見送った、


実態ではないため助けることができないからだ、


そして、


(おいおい、

デカすぎだろ、)


途中見えていた山だがそれは奴の背中だった、


足は太く恐らくバークリートをも覆い尽くす、


四足歩行で背中には山を背負っていた、


亀に見えるが顔が竜に見える、


上犬歯が異常に発達している、


地面が焼けているから恐らく炎を吐き出す、


(亀と竜のハイブリッドか、)


幽霊さんは周りを見渡す、


関所は破壊されていて、


魔物がそれから逃げるように北に向かっている、


幽霊さんは急いで戻った、






幽霊さんが戻って来たのが深夜を回っていた、


真っ先にマクスウェルにそのことを伝えた、


マクスウェルはそれを聞いてすぐにギルドに向かった、


幽霊さんはシルフィードの所に向かった、


寝ているシルフィードを無理やり起こした、


(シルフィ!

起きろ!)


シルフィードはその声に素早く起きて拳を構えた、


(構えなくてもいい、

それより着替えておけ、

ギルドから誰かがこの家にくる、

念のためにポーションをリビングに置いておけ、

メモに戦いが終わったら怪我した冒険者に使ってくださいと、

使い方も書いておけ、)


シルフィードは着替えてキツネ耳と尻尾を出してリビングに向かいポーションの木箱をリビングの机に置いた、


その後に紙にポーションの使い方を書いた、


それと同時に玄関の扉が大きく叩かれた、


「シルフィードちゃん!

いる!?」


声の主はサーシェだった、


扉を開ける音にスズリナ達が起き出す、


シルフィードは扉を開ける、


「よかった!

夜遅くにごめんね!

緊急招集よ!」


シルフィードは頷いた、






サーシェは他の冒険者の所に向かった、


ギルドに着いたシルフィードはギルドの扉を開ける、


中は冒険者でごった返されていた、


1人の冒険者がシルフィードを見て、


「おい!

こんな時間にガキが来るんじゃねぇ!」


シルフィードを知らない冒険者らしい、


「来たらダメだったの?」


「あぁそうだ!

今から大事な話がある!

だから邪魔だから家に帰れ!」


冒険者がそう言うと周りの冒険者が一斉にその冒険者を見た、


その中から、


「シルフィードも呼ばれたのか?」


Aランクパーティーデュランダルのディノンが現れた、


「ディノンさんこんばんは、

そうなんです、」


シルフィードはお辞儀をする、


冒険者は驚いた顔をする、


「ディノンさん、

このガキと知り合いですか?」


それを聞いたディノンは、


「口の聞き方には気をつけておけ、

シルフィードは俺らパーティー全員でかかっても無傷で俺らを倒す実力がある、

実力はAランク以上だ、」


「ディノンさん、

そんな冗談はよしてください、

こんなガキがディノンさん達より強い訳ないないじゃないですか、」


冒険者はハハハと笑うが周りはその冒険者を哀れんでいた、


「シルフィード、

すまない、」


ディノンが頭を下げる、


冒険者は更に驚く、


「ディノンさんが謝ることじゃないよ、

こう言うのにはもう慣れてるから、」


「それでもだ、

同じ冒険者として謝罪をさせてくれ、

シルフィードに全ての冒険者がこんなやつだけではない、」


「そうだぜ!

シルフィード!

俺はお前に助けられた!

それだけじゃない!

パーティーみんながお前に助けられた!

他の冒険者もお前ぬ助けられた!

お前には感謝しているんだ!」


「そうだよ、

初めはただの子供だと思ってた、

でも強くて優しくて可愛い子供だって私達は知ってるよ、」


「こんな男がなんて言おうと町のみんなや私達冒険者はシルフィードちゃんのこと好きよ、」


その言葉を皮切りに他の冒険者達が声を上げ始めた、


皆がシルフィードの味方だ、


冒険者が青い顔をする、


すると、


「何の騒ぎだ・・・

いや、

何となくわかった、

シルフィード関係か?」


バーボルトが出て来てそう言うと皆が頷く、


バーボルトはため息を吐いた、


「何で揉めたかわからんがシルフィードは俺より強い、

それはどの冒険者も知っている、

もし喧嘩を売るなら俺とマクスウェル様、

更にあるお方が出てくる、

どうなるか俺もわからん、

その覚悟があるなら喧嘩を売れ、」


冒険者は青い顔をしながら隅の方に移動した、


「さて、

夜遅くにすまない、

時間がないから急いで伝える、

南から魔物の群れと災害級の魔物が近づいているとの情報が入った、

その情報源はマクスウェル様だ、

魔物は南の関所を破壊してこっちに来ているとのことだ、

災害級の魔物は半信半疑だが何でも山ほどの大きな魔物だそうだ、」


冒険者がざわめき出す、


「話はまだ終わっていない!

ここでだ、

みんなには別れてもらう、

1つはこの街の住人を他の街に移動する際の護衛、

もう1つは俺と一緒にこの街で魔物を迎え撃ち時間を稼ぐために命をかける、

人命第一だ、

恐らくほとんどが護衛につくだろう、

だがもし俺1人だけになっても俺は残って魔物と戦う、

それがギルドマスターとしての仕事であり宿命だ、

護衛の方に行っても臆病者とは言わない、

逆に討伐の方に行っても英雄とは言わない、

報酬は支払うこともすぐにはできない、

死んだ者の弔いもできない、」


バーボルトが一度一呼吸を置いて、


「俺はこの街が好きだ、

だから命をかけてでも街と住人を守りたい、

魔物が到達するのは早くとも明後日の昼前だと思われる、

早くなるかもしれない、

遅くなるかもしれない、

もしかしたらこっちに来ないかもしれない、

だがその場合は他の村や町が襲われてしまう、

魔族領の魔物はかなり強い、

だが倒せない訳ではない、

明日の朝に護衛組はこのギルドに、

討伐組は南門に集合だ、

今日は解散だ、

また明日会おう、」


静寂に包まれたギルドからバーボルトは執務室に戻って行った、


シルフィードは決意した顔でギルドを後にした、

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