風精霊との戦い2
シルフはシルフィードに斬りかかる、
使い慣れたような短剣さばきにシルフィードは驚くも正確に避ける、
更に風魔法も放つシルフ、
威力が桁違いのウインドカッターにより地面が抉れる、
シルフィードは避けることに徹底している、
殴ることができないシルフィード、
なぜこうなったのか分からない、
どうしたらいいのか分からない、
何をすればいいか分からない、
だから避けることしかできない、
「どうしたの!?
そんなに友達を傷つけるのが怖いの!?」
シルフが近づく、
シルフィードにとってそれほど速くないはずの速度、
けれども戦いに集中できていないシルフィードにとって速く感じている、
斬りかかるシルフ、
魔法を放つシルフ、
それを全て避けるシルフィード、
「いつまでも避けていたって意味ないよ!」
シルフは中級風魔法のサイクロンを唱える、
無詠唱で放つためすぐさまシルフィードの周りに巨大な竜巻が発生する、
対応が遅れたシルフィード、
そのまま服が裂かれて皮膚が傷ついて白いワンピースが出てきた血で赤く染まる、
シルフィードはその場にうずくまる、
痛みに耐えている、
サイクロンが収まりうずくまるシルフィードが見えた、
「シルフィ!」
アスカレイヤが悲鳴のように叫ぶ、
周りの生徒もまともに見る戦いと血で顔を背けるものもいる、
シルフィードはよろよろと立ち上がる、
腕から、
足から、
体から、
血が滴り落ちる、
シルフは短剣を構えシルフィードに向かって走る、
そして斬りかかる、
シルフィードはなんとか避けるものの短剣が体を掠める、
痛みにより動きが鈍くなっている、
更に斬りかかるシルフ、
シルフィードは避けるがいくつもの傷ができる、
シルフは勢いよく蹴りをシルフィードの腹部にお見舞いする、
シルフィードは防ぐことも避けることもできずに後方に吹き飛びころがる、
シルフィードは起き上がることもできずに倒れたままでいる、
幽霊さんはシルフィードに近づく、
(シルフィ、
なぜ反撃をしない?)
シルフィードは体を震わす、
(できないよ!
だってシルフちゃんは私の友達だもん!)
(だったら今のシルフの思いを受け止めて反撃しろ!)
(無理だよ!
友達なんだもん!
友達だから!
友達だから!)
(友達だったらその思いを受け止めろよ!
シルフの気持ちを考えないで勝手に決めつけてんな!)
(シルフちゃんの気持ち?)
(お前、
シルフのことをよく見てないだろ!?)
(見てるもん!
怖い顔で私に斬りかかってくるもん!)
(だったらその手も見たのか!?)
(手?)
(そうだ!
シルフの手はな!
ずっと震えていた!
斬りかかる時も!
魔法を放つ時も!
ずっと震えてた!)
シルフィードは思い出すためにゆっくりと目を閉じた、
斬りかかる時、
魔法を唱えた時、
震えていた、
かすかに、
(わかったか?)
シルフィードはかすかに頷く、
(お前に親しい人との戦いを教えなかった俺が悪かった、
その役目をシルフがしている、
あいつにとって初めての人間の友達だったんだ、
拝めることもせず、
利用しようとしない、
初めての人間の友達だったんだ、
そんな友達にシルフは自分から辛い道を選んだ、
シルフィに嫌われると思いながらも、
辛い道を選んだ、
お前に教えるために、)
(シルフちゃん、)
シルフィードは体に喝を入れてゆっくりと立ち上がる、
シルフはゆっくりとシルフィードに近づく、
(シルフは本当は泣きたいに違いない、
友達を傷つけたくないはず、
それでもあいつは、
我慢して、
お前と戦っているんだ、)
シルフィードは完全に立ち上がりシルフを見る、
(だから、
シルフィ、
お前はあいつの思いを全て受け止めるんだ、
友達だろ?)
(うん、)
シルフは短剣を振り上げて、
「残念だよ、
シルフィ、」
(行け!
シルフィ!)
(はい!)
勢いよく振り下ろす、
シルフィードはそれを避けると同時にシルフの腹部に拳を入れる、
いきなりの攻撃にシルフは驚きもろに喰らう、
更にもう一撃入れるシルフィード、
シルフはそれももろに喰らい後方に下がる、
シルフィードはキツネ耳と尻尾を出す、
そして収納魔法から浴衣を取り出して治癒魔法をかけながら一瞬にして早替えを行う、
浴衣を着たシルフィード、
傷は何1つなくなる、
「お待たせ、
これからが私の番だよ!」
「それでこそシルフィ、
来て!」
シルフは体制を立て直してシルフィードに向かって走り出す、
シルフィードも走り出す、
斬りかかるシルフ、
シルフィードは一回転して避けて裏拳をシルフの後頭部に見舞う、
前方によろめくシルフ、
シルフィードは更に一回転して回し蹴りを行う、
側頭部に蹴りを喰らいシルフはよろめく、
シルフィードはもう一度蹴りを放つがシルフが避ける、
シルフィードはアースウォールを出してシルフの進行方向を邪魔する、
壁にぶつかるシルフはシルフィードとの距離を詰める、
短剣の突きを行いうシルフ、
それを避けたりそらしたりするシルフィード、
周りはその動きが目で追えなくなっている、
シルフィードが風魔法を放つ、
シルフも風魔法を放つ、
魔法同士が当たり消滅する、
「わざわざ風精霊に風魔法を放つの?」
シルフが聞いてきた、
「相手の得意なことで勝つことも大切だって言ってた、
それが本当の勝利だっていう時もあるんだって、」
シルフは幽霊さんを見た、
腕組みをして黙って浮いている、
シルフィードは魔法を放ちつつ距離を詰める、
シルフも魔法を放ちつつ短剣を構えて待つ、
シルフィードはシルフに殴りかかる、
シルフは短剣を突き刺そうとする、
シルフィードは掌を開いて指の間に短剣を挟みながらシルフの手を掴む、
シルフはもう片方の手の短剣で斬りかかる、
シルフィードはそれも止めて腕を掴む、
「だああああああああああああああ!!!」
シルフィードが叫びシルフを押す、
今まで戦いになっても叫ぶことのないシルフィードが叫ぶ、
その叫びはまるで、
「だああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
獣のように、
シルフを壁まで叫び押す、
「ぐっ!」
「はあああああああああああああああ!!!!」
シルフィードは両手を離すと共にシルフの腹部にドロップキックを放ち後方に跳ぶ、
壁に少しめり込む、
シルフィードは更に風魔法で追い打ちを行う、
シルフは苦しみながらも風魔法で応戦、
シルフは再び近づいて拳を打ち込む、
腹部に連打を行うシルフィード、
容赦なく打ち込まれる拳にシルフは苦しむ、
シルフィードは胸ぐらを掴んで試合場の中央に向けて投げる、
少女とは思えない力強さに周りが目をみはる、
中央付近に飛ばされたシルフ、
シルフはシルフィードの方を見るも、
「えっ?」
いなかった、
すると、
背中から激痛が走る、
シルフは振り返る、
誰もいない、
更に脇腹や背中、
更に正面からの顎にまで激痛が走る、
(僕の速さを大きく上回っている!?)
どこからかくる攻撃に対応できないシルフ、
何度も、
何度も、
何度も、
激痛に襲われて、
そして、
「これでおわりいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!
げええええええんんんんぶうううううさあああああつううううううううう!!!!!!!!
じょうがくううううううう!!!!!」
幻舞殺・上顎
命名はやはり虎炎、
幻舞殺を終えた後に相手に前に立ち顎を打ち上げる技、
幻舞殺の強化技と虎炎は言っていた、
幻舞殺はスピードを使った手数の技、
スピードが乗れば拳の威力が上がるが一度殴れば乗せたスピードがほぼ半分以下になる、
ギルドで戦ったバーボルトが幻舞殺を喰らって立ち上がったのは最終的には威力不足が原因であった、
そのため改良された幻舞殺・上顎、
確実に相手を戦闘不能にする技、
シルフィードはシルフの顎にアッパーを行う、
初めて友達に向ける本気の一撃、
震える拳を抑えるために叫んだ咆哮、
シルフは見た、
打ち上げられる寸前のシルフィードの顔を、
その顔は、
涙でぐしゃぐしゃだった、
(甘い子だよ、
シルフィ、
でも、
そんな君が好きだよ、)
そして、
シルフは打ち上げられた、
シルフィードはシルフを抱えて治癒魔法を全力でかけている、
「シルフィ、
僕は死なないよ、
だから泣かないでよ、」
「泣いてないもん!
泣いてないもん!」
でも泣いている、
「全く、
精霊があれくらいで死なないよ、
もう泣かないでよ、」
「泣いてないもん!
泣いてないもん!」
鼻水まで出ている、
「こんなど真ん中で膝枕されるの恥ずかしいから、
だから泣かないでよ、」
「泣いてないもん!
泣いてないもん!」
目が真っ赤になっている、
周りがひそひそと話す、
「獣人?」
「全く見えなかった、」
「無詠唱で魔法を使ってた、」
「精霊に勝った、」
「化け物?」
疑問に思うのはシルフィードの事、
本格的に獣人と思われている、
更に狐族だと思われているため奴隷にされるかもしれない、
イフリーナとユーリシアはシルフィードの耳と尻尾に驚いている、
「シルフィ!」
アスカレイヤが2人に近づく、
「ほら、
友達も来たからもう泣き止んでよ、」
「泣いてないもん!
泣いてないもん!」
シルフは呆れるように、
そして嬉しそうに微笑む、
そのあと試合場の修理のため授業が終わった、




