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質問タイム

イフリーナに睨まれて数分、


シルフィードは教室の入り口に視線を向けた、


「どうしました?」


アスカレイヤが聞いてくる、


「おじいちゃんがこっちに来てるの、

おじいちゃんの足の振動が伝わってくるの、」


「シルフィって足からなんでも伝わってくるのですね、」


「これが師匠の修行の成果だよ、」


シルフィードが自慢げにそう言うと教室の扉が開いた、


教室のざわつきが消えた、


入ってきたのはマクスウェル、


マクスウェルは教壇に立つと、


「みなさん、

おはようございます、」


いつもと違うマクスウェルのためシルフィードが少し戸惑った、


「わしはこの学園の学園長をしているマクスウェル・メーテル・ホール、

まずはこの1年、

ともに世話になる、」


いつもと違って堅苦しい、


シルフィードは息を飲む、


「このクラスの授業は主に貴族、

王族に対する礼儀を覚えてもらう、

次に戦闘訓練、

城の騎士や冒険者を呼んで訓練をしてもらう、

そして魔法習得、

これはわしが直々に教える、

卒業までには上級魔法を最低は1つ覚えていって貰おう、」


更にクラス中が息を飲む、


「まずは自己紹介を始めてもらう、

順番は窓側の生徒から横に行ってもらう、」


マクスウェルがそう言うと窓側の最前列の生徒が立ち上がり自己紹介を始める、


自己紹介が終わり座ると横に座っていた生徒が立ち上がり自己紹介を始める、


次々と自己紹介をしていってシルフィードの番になる、


シルフィードは立ち上がる、


周りの生徒はシルフィードの自己紹介に興味を示す、


「私はシルフィード、

趣味は食べ物作りと修行です、

よろしくお願いします、」


そのあと優雅にお辞儀をする、


氷龍の礼儀の教育が今も行われているため王族にあっても丁寧で綺麗な対応ができる、


その優雅さに隣の席のアスカレイヤや後ろの席のイフリーナ、


他の生徒も見惚れた、


「うむ、

緊張せずにこのような対応ができるとは、

皆も見習うように、」


なぜか褒められる、


シルフィードは座りアスカレイヤが立つ、


「アスカレイヤ・ライトニング・レイクリードです、

王族ですがこの学園にいる間はただの生徒ですので気軽にお声をかけてください、

趣味は読書と修行です、」


シルフィードは少し目を丸くする、


アスカレイヤは座る際シルフィードの方を向いてニコリと微笑む、


趣味に修行を入れることはシルフィードとアスカレイヤの間に何かあると言っているようなものだから、


それとも2人の関係を自慢するように、


そして次々と自己紹介をして、


「私はイフリーナ・フレアリング・ボルケーノ、

ボルケーノ家の長女です、

よろしくお願いします、」


そう言ってお辞儀をする、


そのあと数名が自己紹介を行う、


その中に、


「ユーリシア・バークリートです、

アスカレイヤ様と同じ王族ですが気軽に声をかけてください、」


バークリートの姫が混じっていた、


空のような蒼い髪を肩まで伸ばしている少女、


Aクラスは貴族や王族が多い、


全ての生徒が自己紹介を終えると、


「紹介が済んだな、

次は各教科書を渡す、

これにそってこの1年は授業を受けてもらう、

途中ついていけなくなったらすぐに言うこと、

その時は適したクラスに移るように言おう、

では教科書を渡す、」


マクスウェルは教壇横に置いてあった本の山を風魔法で浮かせて1人1人配っていく、


生徒たちはマクスウェルの無詠唱に驚き尊敬の視線を向ける、


しかし、


一部の生徒はシルフィードに視線を向ける、


シルフィードも無詠唱の魔法を放つことができることを知っているからだ、


シルフィードの前には3冊の分厚い本が置かれた、


表紙には「王族に対する礼儀」と「騎士を目指す若者へ」と「マクスウェルによる魔法の覚え方」と書かれている、


シルフィードはザッと全てに目を通した、


そして頭に叩き込んだ、


「皆の者、

教科書は行き渡ったか?

教科書は3冊、

もし届いてなかったり同じ本があったらすぐに言うんだ、」


生徒たちは特に何も言わなかった、


「それでは今日はお互いの親睦を深めるために質問をしていこう、

それに、

わしは堅苦しいのは嫌いじゃからのう、」


急に口調が元に戻るマクスウェル、


「いつもの口調じゃと舐められると思ってのう、

じゃがこのクラスは大丈夫そうじゃのう、」


ホッホッホッと笑うマクスウェル、


皆が唖然とする、


「昨日の集会の後、

他の職員から英雄らしくしろとうるさくてのう、

ここでは今まで通りの話し方で話すかのう、」


シルフィードはホッとした、


いつものマクスウェルに戻ったからだ、


「さて、

なんでもいろんな人に質問するのじゃ、

自分から発言することも将来役に立つからのう、」


煽るマクスウェル、


すると、


「はい!」


1人の男子生徒が手を挙げる、


「ふむ、

ハリオットくん、

どうぞ、」


ハリオットと呼ばれる生徒が立ち上がる、


「マクスウェル様は戦いに負けたことはありますか?」


まさかの質問に驚く生徒たち、


絶対に聞かないと思われていた質問、


更に昨日の模擬戦を見た生徒ならわかるがこのクラスにマクスウェルを負かした生徒がいる、


マクスウェルは数回頷いて、


「あるのう、」


そう答える、


「初めて負けた事は今でも覚えておる、

わしはエルフの里では負け知らずでのう、

里の中では無敗じゃった、

しかし、

100年前に勇者が来てのう、

旅についてきて欲しいと言われてのう、

わしは条件を出したのじゃ、

わしに勝てたらついていくと、

わしは自信があったのじゃが結果はもうわかるじゃろう、

負けたのじゃ、

わしはそこで知ったのじゃ、

外の世界にはもっと強いものがおることを、

そして旅について行ったのじゃ、

次に負けたのはかなり経ってからじゃ、

魔王との戦いじゃ、

魔王との魔法の力比べで負けたのじゃ、

詠唱破棄をしても勝てんだのう、

そのあと勇者がバッサリと切り倒したのじゃ、

次に負けたのが2年前じゃ、

1人の少女に負けてのう、

無詠唱をしてきてわしのとっておきの魔法を正面から打ち破ってのう、

わしは魔力切れで負けたのじゃ、」


少女との負け話をした瞬間数名の生徒がシルフィードの方を見る、


「次は1年前じゃ、

ある魔族に負けてのう、

覚えたての無詠唱を放つも慣れてなくてのう、

それでは詠唱破棄をしても魔族はかなり硬くなっていてのう、

わしの魔法はほとんど効かんかったのじゃ、

そして、

昨日じゃ、

模擬戦で負けたのじゃ、

2人の少女にのう、」


マクスウェルはシルフィードとアスカレイヤを見て微笑む、


「負けたからといって歩みを止めてはいかん、

わしは負けて魔法への歩みを再開したのじゃ、」


胸を張るマクスウェル、


「わしからはこれくらいかのう、

さて、

他におらんかのう、」


するとまた手を挙げる女子生徒がいた、


「ふむ、

メリベルじゃったな、」


メリベルが立ち上がる、


「アスカレイヤ様、

風の噂で聞きましたがアスカレイヤ様は学園に入学しないと聞きましたがなんで入学しようと決めたのですか?」


意外と突っ込んで聞いてくる、


アスカレイヤは静かに立ち上がり、


「確かに私は去年の夏の時期まで入学をしようと思いませんでした、

ですがある人たちと出会ってその人が学園に入学すると言ってたので入学を決意しました、」


シルフィードは頭を掻く、


照れているようだ、


「アスカレイヤ様、

差し違いがなければその方を教えてもらってもいいでしょうか?

個人的にも興味があります、」


シルフィードのことを知らないらしい、


アスカレイヤはシルフィードを一瞬見る、


シルフィードは小さく頷く、


「それはこのクラスにおりますシルフィードです、」


アスカレイヤはシルフィードの方を向いてそう言う、


シルフィードは笑顔を向ける、


何人かはやっぱりと言う顔をする、


そして数名は驚く、


「失礼ですがシルフィードは平民では?

王族のアスカレイヤ様との接点はないはずでは?」


更に聞いてくるメリベル、


そこにマクスウェルが口を挟む、


「わしが1年前にシルフィード殿をレイクリードまで連れて行ったのじゃ、

シルフィード殿には恩があってのう、

その礼としてレイクリードへ護衛として一緒に行ったんじゃ、

そこでアスカレイヤ様に会うての、」


「シルフィのおかげで私の家族も国も助かりました、

シルフィは私達家族の恩人です、」


ここまでくると何人かの生徒が察した、


1人の男子生徒が手を上げて聞く、


「もしかしてレイクリードに魔族が来たんですか?」


「はい、

マクスウェル様と私の話で分かったと思いますがシルフィは魔族と戦い勝ちました、」


皆が驚愕の顔をしてシルフィードを見る、


シルフィードは照れ臭そうにしている、


「12歳の子供が魔族を倒せるのか?

それに護衛って冒険者なのか?」


更に1人の男子生徒がそう言う、


「シルフィード殿は10歳じゃ、

そしてBランク冒険者じゃよ、」


更に驚く生徒たち、


「わしが頼み込んで入学をしてもらったわい、」


高笑いするマクスウェル、


頭が追いついていないクラスの生徒たち、


「マクスウェル様、

これ以上話すと皆さんの頭がついていかないと思いますので私はこれで終わりたいと思います、」


「そうじゃのう、

では他におらんかのう?」


今まともに聞いているのはシルフィードとアスカレイヤくらいだ、


シルフィードが手を挙げる、


「うむ、

シルフィード殿、」


「ユーリシアさんに質問です、」


シルフィードがそう言うとユーリシアは思考を戻す、


「は、はい!?

なんですかシルフィードさん、」


「バークリートのお城はどこにあるんですか?」


ユーリシアは固まった、


マクスウェルも固まった、


「ここにきて1年以上はいるけどお城がないの、

どこにあるの?」


「そうじゃったのう、

バークリートに城がある事教えてないのう、

すまんがユーリシア様、

説明してくれぬかのう、」


「わかりました、

シルフィードさん、

お城は地下にあるのです、」


予想を斜め上にいく回答が帰ってきた、


「地下に?」


「はい、

お城はこの魔法学園が出来た後に建てられました、

しかし英雄のマクスウェル様が建てられました魔法学園があまりにも広く大きいため城を作れる土地がなかったのです、

そこでマクスウェル様は地下に城を作る事を提案したとの事です、

そのあとが大変でした、

どこの誰もがした事のない取り組みのため莫大な費用と時間がかかりました、

それでも30年という年月をえて完成しました、

地下3階の城です、

また城から街を囲む城壁に出るようにしています、

城を作る事に大変だった事は井戸の水や下水路とぶつかり合わないようにしないといけないからです、

間違えれば国民の生活に支障が出ますので、」


どこかのダンジョンかと思ってしまう幽霊さん(ずっとシルフィードの背後に浮いていました)


「入り口はいたるところにあります、

その入り口に兵を立たせていますのでわかりやすいです、」


「そうなんだ、

今度入り口を探してみるね、

ありがとう、」


シルフィードがお礼を言う、


「さて、

まだ皆が元に戻っておらぬからこの時間はこれでいいかのう、」


「そうですね、

まだ時間がかかると思います、」


「うむ、

では質問はこれで終わりじゃ、

次は昨日行った試合場に行くのじゃ、

良いな?」


そう言って質問タイムが終わった、

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