模擬戦後
サンクチュアリが消えるまで数分、
その間は見物席の人達を魅了していた、
そして消えるサンクチュアリ、
シルフィードは急いでマクスウェルとバーボルトに治癒魔法をかける、
ボロボロになっている2人は気絶はしていないものの立つ気力はなかった、
「大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃ、
見事に負けたのう、
しかも新しい魔法まで使うからのう、」
「まったくだ、
大人気ないと思われないのか?」
バーボルトがそう言うと、
「女の子相手に大人2人が相手するのも大人気ないと思います、」
アスカレイヤが言い返す、
バーボルトは笑いそうだなと言った、
見物席の人達が少しづつざわめき出してきた、
もちろんマクスウェルが負けたこと、
バーボルトが負けたこと、
見たことのない狐族の少女のこと、
アスカレイヤの強さのこと、
マクスウェルは周りを見て、
「シルフィード殿、
今日はもう帰るのじゃ、
ここにいたら貴族達に囲まれるぞい、
明日はクラスを発表するから今日と同じ時間に来てくれぬか?」
今後の予定を口にする、
シルフィードの実力を知り更に珍しい狐族とわかり取り込もうとする輩が出てくる、
「うん、
ありがとう、
おじいちゃん、
バーボルトさん、
後でギルドに向かいますね、
アスカちゃん、
行こう!」
シルフィードはアスカレイヤの手を握る、
「はい!」
アスカレイヤがそう答えて2人は走り出す、
それを見送ったマクスウェルとバーボルトは、
「ああいう子達が次の世代を築いて行くのかのう、」
「マクスウェル様、
そうしみじみと言わないでください、
まだ現役じゃないですか、」
「じゃが、
わしはもう過去の人よ、
もうそろそろ舞台から降りぬといかんのう、」
「何を言っているんですか、
自分から舞台に入っていく人が、」
「ホッホッホ、
最近シルフィード殿といると退屈しないのでのう、」
「はぁ、
この人は、」
バーボルトのため息は周りの人達が搔き消した、
そして回復したばかりの体を無理やり動かしてギルドに向かった、
シルフィードとアスカレイヤはそのまま屋敷に戻った
そして部屋で着替える、
「アスカちゃん、
今回の戦いはどうだった?」
シルフィードの問いにアスカレイヤは難しい顔をしながら答える、
「経験の差が身に染みました、
マクスウェル様もバーボルト様も私のしたことがない経験をしています、」
アスカレイヤが戦いで感じたことを幽霊さんが腕を組みながら聞いている、
「即座に思いついたこともすぐに対策を立てられました、」
マクスウェルの戦いの時のライトセイバーのこと、
「少し粘れると思いましたがうまくいかないものですね、」
幽霊さんはシルフィードの口に取り憑く、
「アスカ、
戦いは自分の思い通りにならないのが普通だ、
俺も何回も戦っていたがその8割9割は思い通りにならなかった、
罠や増援、
人質、
囮、
脅し、
孤立、
戦いにはそのどれかが来る、
綺麗な戦いはない、
綺麗な戦いは誰かに見せるための戦いだ、
例えば王族に見せる演舞だ、
俺は演舞を教えるつもりはない、」
演舞では人は殺せない、
「アスカ、
今回の戦いで自分より上の人とその戦い方、
それがわかったはずだ、
バーボルトは斧だけでなく蹴りもやってきた、
マクスウェルは杖で殴ってくる、
決して綺麗とは思えないだろうが強かっただろ、」
アスカレイヤは頷く、
「アスカにも覚えることになる、
それが嫌なら無理に覚える必要はない、」
アスカレイヤが首を横に振る、
「教えてください、
賊はきっともっと汚い方法で戦ってきます、
それに、
お父様やお母様を守ると決めました、」
その瞳は嘘を言っていない、
幽霊さんはおもわず笑う、
「今更それを言うのは愚問か、
それなら卒業まで必ず強くしてやる、」
「はい!
宜しくお願いします!」
アスカレイヤが笑顔で頭をさげる、
「こちらこそ、
宜しくな、
アスカ、」
幽霊さんが手を差し出す、
アスカレイヤがそれを握る、
シルフィードはニコニコとそれを見守っていた、
「さて、
シルフィに変わろうか、
バーボルトが呼んでいるからな、」
幽霊さんがそう言ってシルフィードから離れる、
「アスカちゃん、
少ししたらバーボルトさんのところに行くね、」
「シルフィ、
私も行ってもいいですか?」
アスカレイヤが意外なことを言ってきた、
「いいけど、
面白くないよ、」
「それでもいいです、
それにギルドの中には興味がありますので、」
裏路地に興味を持つほどの探究心を持っているアスカレイヤ、
シルフィードはわかったと言い外に出る準備をした、
少しして2人はギルドに向かった、




