やりたいことをすればいい
幽霊さんに型を見てもらったシルフィードはそのまま町のほうへと走っていた、
シルフィードが走り回れるようになったと同時に町に出たのだ、
この街はオルソンらが豪遊していたためか領主の力を借りずに生きてきた、
オルソンも豪遊をしてしまった負い目なのか税金を多くは徴収しないらしい、
街の人も真面目に領主をしているオルソンらに特に何も言わずにいる、
そのためかシルフィードが街に出ても皆は何も言わない、
子供には何も罪はないため言う必要がないのだ、
街に出たシルフィードはまず酒場に行った、
「マスター!こんにちはー!」
シルフィードは元気よく酒場の扉を開けた、
酒場内は昼間なのに何人もの大人が飲んでいたがシルフィードが入ってきても特に驚く事はなく、
孫を見るかのようにシルフィードを暖かく見る、
「いらっしゃい、シルフィード、」
奥のカウンター越しから40前半あたりのヒゲが少し出ている大柄の男性が入ってきたシルフィードに向かってそう言う、
彼の名はガルド、この酒場のマスターである、
「いらっしゃい、シルフィちゃん!」
ガルドの近くから若い女性の声が聞こえた、シルフィードは声のするほうへ顔を向けて、
「こんにちは!ターニャさん!」
元気よく挨拶をする、
ターニャ、
ガルドの娘である、
おそらくこの街で一番美人、
長く薄赤い髪が特徴、
幽霊さんがガルドの娘と聞いた時に、
(あのクマ人間からどうやってこんな美人ができた!さすが異世界!)と叫んだ、
「いらっしゃーい!シルフィ!」
更にターニャの隣からシルフィードと同じくらいの背丈の女の子がお盆を持って出てきた、
「こんにちは!タチアニャ!」
シルフィードが女の子の名前を呼ぶと、
「もー、私の名前はタチアナだよー、」
名前を間違えられても嬉しそうにするタチアナ、
これも同じくガルドの娘、
ターニャは18歳、
タチアナは10歳と以外にも年が離れている、
またまた幽霊さんが(マスター、ハッスルしすぎだろ、シルフィの親もそうだけど残っている若さを持て余しすぎ)とつぶやいてしまった、
ターニャと違って短く切られた薄赤いの髪が特徴、
「お手伝いに来ました!」
シルフィードがガルドにそう言う、
「わかった、注文聞いてきてくれ、」
ガルドは手短にシルフィードに言う、
「はーい!」
シルフィードは元気よく返事をして酒場の奥に行きエプロンを付ける、
その際中後ろから、
「いつもありがとねシルフィードちゃん」
女性の声がした、
シルフィードは振り返り、
「こんにちは、アリサさん」
お辞儀をする、
アリサ、
ガルドの妻、
短く赤い髪でガルドより2〜3と歳が違うはずなのに10歳も若く観れる、
そんなアリサのお腹は大きく膨らんでいる、
おそらくみんなもわかったと思うが、
シルフィードと出会った後に彼女は3人目の子を宿した、
またまたまた幽霊さんが(あのクマ人間、どんだけハッスルすれば気がすむんだよ、)とつぶやいていた、
「アリサさん、
寝ていなくて大丈夫ですか?」
「大丈夫よ、ありがとね、」
心配するシルフィードにアリサはそう言いシルフィードの頭を撫でる、
幽霊さんの予想ではもう2カ月くらいで生まれると思われる、
そんなこんなで準備が終わったシルフィードは
「いらっしゃいませ!
カウンター席ですか?テーブル席ですか?」
今はタチアナと並ぶ元気のいい看板娘となっている、
なぜシルフィードが酒場の手伝いをしているか、
1年前のこと、
スカートをはいてその下に鎖でつながれた氷龍と虎炎を隠して幽霊さんと共にシルフィードは初めて街に出た、
シルフィードは物珍しそうに街を見て回っていた、
そんな中、
子供たちが集まっている場所に来たが、
「お前誰だ?」
いきなり見知らぬ子供がきたら不思議がる訳でして、
「私、シルフィードって言うのよろしくね、」
普通に挨拶した訳ですが子供は警戒心が強い訳でして、
「ふぅん、で?」
年上の男の子らしい子がシルフィードを見る、
シルフィードはそんな事御構い無しに
「一緒に遊びませんか?」
そう尋ねる、
男の子は友達の子と少しボソボソと話してから、
「いいぜ、だが条件がある、」
子供が生意気に条件の言葉を言ってきた、
シルフィードはコテンと首を傾げる、
「簡単だ、
俺とかけっこで勝ったら遊んでやってもいいぜ、」
男の子は勝負に勝った訳じゃないのに勝ち誇ったような顔をしている、
どうやら余程余裕があるらしい、が相手が悪かった、
「え?いいよ、」
シルフィードはすぐに返事をする、
ルールはこう、
この街の外周を1周する事、
ただ、途中曲がり角などがあるため曲がってショートカットされては困ると考えた男の子は友達の子に一定の間隔で立ってもらいちゃんと外周を走っているか確認してもらう、
友達の子達が配置についている間シルフィードは準備運動を始める、
突然走るより身体を慣れさせてから走ったほうが上手く走れる、
男の子は何もせずに余裕の笑みを浮かべている、
友達の子の一人がゴール地点に戻ってきた、
それを見た男の子はスタート地点に着いた、
シルフィードもスタート地点に着く、
友達の子は2人がスタート地点に着くとこを見ると、
「3、2、1、0でスタートな」
と言い2人の隣に来る、
そして、
「3・・・2・・・1・・・」
ゆっくりとしたカウントダウン、
シルフィードは一度唾を飲み込む、
「ゼロ!」
友達の子が叫ぶように言うと同時に2人は走り出す、
シルフィードは一気にスピードを上げる、
男の子はシルフィードがスピードを上げた事を少し驚いたがすぐに気にしなくなった、
すぐに疲れて遅くなると思っていたから、
しかし、その予想は外れた、
シルフィードはだんだんスピードを上げていく、
すでに男の子の目からシルフィードは豆粒くらい遠くに行っていた、
シルフィードは1人目の友達の子のところにきていた、
友達の子は目を丸くしていた、
それは男の子ではなくシルフィードが来たことなのか、
それともシルフィードの異常なスピードでなのかわからない、
シルフィードは目を丸くしている友達の子を気にせずに更にスピードを上げる、
それから何人の友達の子を抜いたかわからない、
ゴール地点が近ずくも、
シルフィードはもう一周走ることにした、
その理由は幽霊さんの教えが原因、
一つ、勝負を受けたら全力で挑め、
一つ、男に手加減しない、全力全開で挑め
一つ、徹底的にやれ、全力全壊で相手しろ
一つ、二度と歯向かわないように徹底的に叩きのめせ
一つ、相手を精神的に追いつめろ
一つ、精神が崩壊しても追いつめろ
最後に、殺しを楽しむな、
途中ネタが入っているが気にしない、
シルフィード精神的に追い詰める事にした(その時意味はわかっていない)、
シルフィードはそのスピードのまま特に疲れた様子もなくもう一周走る、
男の子が1人目の友達の子が見えた所にいた、
友達の子が驚愕の顔をしている、
きっとお前が女の子に負けるなんて、と言う顔だろうがその割には驚きすぎな気がする、
男の子はそう思っていた、が、実際は違っていた、
友達の子は男の子の後ろを見ていた、
男の子の後ろから迫ってくる女の子に、
男の子は女の子が横を通り過ぎるまで気がつかなかった、
足音を立てずに誰よりも早く走っている、男の子は唖然とした、
街としては小さいがそれでも子供にとっては大きいこの街はすぐに一周して追いつくのは子供では無理だ、
男の子は走る速度を落としそうになったがすぐに気を取り直して走り直す、
この時点で負けを決定していたが勝負を持ちかけた手前降参をしたくないのだろう、
男の子の中にある男の意地がそうさせたのだろう、男の子は先ほどよりも早く走る、
結果、
シルフィードはあの後男の子を3周の差をつけてかけっこを終了した、
男の子は息を切らして座り込んでいるのに対してシルフィードは息を切らすどころか汗ひとつかかずに立っている、
「お前、すごく速いな、」
男の子がシルフィードを見上げるようにそう言う、
シルフィードは腰に手を当てて少し怒りながら言う、
「私はお前じゃないよ!
シルフィードだよ!」
それを見た男の子達は怒っているとはいえ皆から見たら可愛く見える、
男の子はなんでこの子に勝負を持ちかけたかわからない、
「ははははははっ!」
男の子は笑った、
そして、
「俺、リグトルって言うんだ、
よろしくな、シルフィード、」
男の子、リグトルはそう言ってシルフィードに手を出す、
シルフィードは笑顔でその手をつかんで、
「うん、改めてよろしくね、リグトルくん!」
ゆっくりと体を起こした、
その後リグトルの友達、
タチアナ、
カトル、
ツーゲン、
サリバン、
ムースの6人の友達ができた、
名前だけじゃ分かりにくいかもしれないがタチアナとムースは女の子です、
残りは男の子、
シルフィード達はリグトルが疲れていたため一度タチアナの両親が経営している酒場へと移動した、
ガルドはタチアナとその友達には少し甘くタチアナ同席の元なら水いっぱい提供してくれる(この世界にはジュースやお茶はまだできていない)
「ただいま〜!」
『こんにちは』
タチアナを筆頭にシルフィード達は酒場に入っていく、
「おかえり!タチアナ、それといらっしゃい、みんな!」
ターニャがタチアナ達の所にきて笑顔で言う、
そしてシルフィードに気づいた、
「あら?あなたは?」
ターニャはシルフィードに聞いた、
シルフィードは両手を自分のお腹の所に置いてゆっくりとお辞儀をして元気よく言う、
「初めまして、
私はシルフィードと言います
どうかよろしくお願いします!」
頭を下げられるとは思っていなかったターニャは少し戸惑ったが、
すぐに平常心になり挨拶をする、
「礼儀正しいのね!
初めまして、
私はターニャ、
タチアナのお姉さんよ、
よろしくね!」
自己紹介をした所でシルフィード達は酒場の奥の席にきて水を飲み次に何して遊ぶか話し合っていた、
「そういえばお姉ちゃん、
お父さんとお母さんは?」
タチアナはターニャに聞いた、
「二人は買い出し中だよ、
それにお昼過ぎだからそこまでお客さんもいないから今は私だけで大丈夫だよ、」
ターニャは笑顔でタチアナに答える、
タチアナは納得したように頷く、
シルフィードは酒場が初めてなので話を聞きながら周りを見渡す、
広い室内に多くの丸机と椅子、
カウンターがひとつ、
カウンターの奥には無数のボトル、
シルフィードは目をキラキラさせて周りを見続ける、
そんな時、酒場の扉が開いた、
「いらっしゃいませ!」
ターニャの元気な声が店内に響く、
シルフィードと幽霊さんは扉の方を見る、
そこにはファンタジーでありがちな剣や斧を持った冒険者みたいな二人組が来た、
「お席はテーブルですか?
カウンターですか?」
ターニャは笑顔で二人に聞くすると、
「へへ、そうだな、
とりあえず君が俺たちの相手をしてよ」
剣を持った冒険者の人がターニャに向かってそう言う、
ターニャはその言葉を聞いた瞬間一歩後退りをした、
「すいません、
ここはこのようなお店ではありません、」
ターニャは笑顔をできるだけ崩さずそう言う、
さすがこの店のウエイトレスだと幽霊さんは思った、
しかし、この二人は聞く耳を持たない、
「こんな辺境の田舎町にきて娼館もないんだ!
これくらいのサービスくらいしろや!」
斧を持った冒険者が威嚇するようにターニャに言う、
しかしターニャも引かない、
「ここは酒場です、
そのようなサービスもしておりません、
この田舎町に都会の人がなにをしに来たか問いませんが無駄足のようですね、
どうかお引き取り下さい、」
最後まで笑顔を崩さずターニャは頭を二人に下げてさっさと仕事に戻ろうとしたが、
「悪いけど俺たちは溜まっているんだ、
しかも君のような美人が目の前にいるんだ、
無理やりにでも俺たちの相手をしてもらうよ」
剣を持った冒険者が素早い(シルフィードよりはるかに遅いが)移動でターニャの前に行き邪魔をするように立つ、
その隙に斧を持った冒険者がターニャの背後に来て挟み撃ちをする、
ターニャは目の前に冒険者が来て一瞬戸惑う、
その隙にもう一人が羽交い締めにした、
「っ!?離してください!」
「それは無理だと言っておこう、
それにしても君は綺麗だね、
都会じゃ君のような女にはそうそう会えないよ」
冒険者はそう言ってターニャの胸に手を置こうとする、
そこに、
「お、おい!
やめろよ!」
酒場のお客の一人の男が冒険者に近づいて言う、
剣を持った冒険者は手を止めて男の方を見る、
そして、
ザシュッ
幽霊さんとシルフィード以外なにがあったかわからなかった、
突然男の体が左斜め下から右斜め上にかけて一直線上に血が出る、
剣を持った冒険者の右手には剣が握られていてそれを抜いた後のように右斜め上に右手が来ていた、
剣の先端には血がついている、
男はそのまま倒れた、
幸い息はしている、
「邪魔しないでください、
次邪魔をするとわかるよね、」
この酒場の人全員に聞こえるように冒険者が言う、
リグトル達は震えた、
タチアナとムースは泣きそうになっている、
他のお客さんも唇を噛み締めている、
その光景を見たシルフィードは怒りを覚えた、
スカートを手でしわになる程握る、
そんなシルフィードに見かねた幽霊さんは声をかける、
(シルフィ、)
シルフィードは幽霊さんを見る、
(シルフィはどうしたい?)
幽霊さんの言葉にシルフィードはそんなの決まっている、って顔を向ける、
そして気づいた、
幽霊さんが言いたいことを、
その顔を見た幽霊さんは、
(だったらシルフィのやりたいようにすればいいよ、
俺も手伝う、)
(そうです、
シルフィードのやりたいようにすればいいです、)
氷龍がそっとシルフィードに言う、
(シルフィ、一丁やったれや!)
虎炎がシルフィードを激励する、
シルフィードは三人の言葉を聞いて大きく頷く、
「さーて、邪魔者はいなくなったしみんなに見せながらするのもいいね、」
冒険者が再びターニャの胸に手を伸ばそうとする、
ターニャも諦めたかのように唇を噛み締めて目を固く閉じる、
そして、
「やめなさい!」
突然店内に少女の声が響く、
冒険者は再び手を止めて舌打ちをしながら声のした方を見る、
シルフィードが立っていた、
誰もがシルフィードの方を見る、
「お嬢ちゃん、
今から大人の遊びをするんだ、
邪魔をしないでいただきたい、」
冒険者はシルフィードにそう言うがシルフィードは止まらない、
「ターニャさんにこれ以上ひどいことしないで!」
「物分かりの悪いけどお嬢ちゃんだな、
それとも混ざりたいのかな?
お嬢ちゃんのような毛の生えていない子供とするのは抵抗あるがそれはそれで良さそうだな、」
冒険者の言葉に反応したのはターニャだった、
「シルフィードちゃんに手を出さないで!
私はどうなってもいいからあの子には手を出さないで!」
ターニャは冒険者にそう言うがシルフィードは止まらない、
「ターニャさんは私が守る!」
それを聞いた冒険者は高笑いをする、
「あははははははは!
お嬢ちゃんは頭が悪いんだね、
お嬢ちゃんは子供で俺は大人だ!
子供が大人に勝てるわけないだろ!?」
冒険者はそう言い終えてなおも笑う、
幽霊さんはシルフィードの口に乗り移り、
「そうだな、
確かに勝てないかもしれないがそれでも0ではない、」
シルフィードの喋り方が変わって冒険者は高笑いを止めてシルフィードを見る、
「ま、あんたらが勝つことは一生ないけどね、」
幽霊さんはそう冒険者を挑発する言葉を言ってシルフィードから出る、
その言葉を聞いた冒険者は、
「調子にのるんじゃねーぞガキが!
気が変わった!
四肢の腱を切って壊れるまで犯してやる!」
怒ったらしくさっきまでとは違い荒々しくなり剣を構える、
(シルフィ、
初めての対人戦だ、
今まで教えたことを生かせば絶対に勝てる、
あのバカを気絶させてこい!)
「はい!師匠!」
幽霊さんの言葉にシルフィードは返事をする、
「なにをごちゃごちゃと言っている!
クソガキ!」
剣を持った冒険者が走り出そうとして一歩踏み出した瞬間、
剣を持った冒険者の視線の先のシルフィードが突然消えた、
「なっ!?」
剣を持った冒険者は驚きのあまり動きが止まる、
周りの人も驚く、
その瞬間、
ドガッ
剣を持った冒険者はなにがあったかわからなかった、
ただ突然顎の下から脳天を揺さぶる強い衝撃が来た、
剣を持った冒険者が一歩踏み出した直後、
シルフィードは瞬間的に剣を持った冒険者の懐に入った、
剣を持った冒険者も目で追うことができなかった速度のため消えたように見えた、
小柄のシルフィードは剣を持った冒険者の懐に入ってもすぐには気づかない、
更に剣を持った冒険者が一歩踏み出したことにより冒険者の顔が少し前に出ていた、
シルフィードはそれを狙い少し跳んで右の手の手根骨(手首の手の先側にある8つの骨をひとまとめにしたものだったはず)のある場所で顎に掌底を食らわす、
冒険者は気絶はしないもののよろめき後ろに一歩後退る、
だがシルフィードの攻撃は終わらない、
少し跳んで掌底を食らわした後、
シルフィードは少し宙に浮いたためそのまま左足で冒険者の急所を蹴り上げる、
地面に足をついたまま蹴り上げても届かないため宙に浮いた時に蹴り上げるのがベストだとシルフィードは思った、
その結果、
「お、おぉぉぉぉぉぉ・・・」
冒険者は急所を押さえて前かがみになる、
思いっきり蹴り上げたためかなり効いている、
前かがみになったため顔が低い位置に来る、
床に着地したシルフィードはすぐに冒険者の頭を掴み引き寄せると同時に左足で床を蹴り右膝で冒険者の顔面を蹴り上げる、
シルフィードが顔を引き寄せると同時に膝で顔面を蹴ったおかげで蹴り上げる力と体重を掛けて押し付ける力で顔を挟まれた、
そのため冒険者はそのまま白目をむき鼻血を出しながら前へ倒れる、
一連の動きを皆は見ていて驚きを隠せない、
そんな中いち早く驚きから覚めたのは、
「このガキが!」
ターニャを羽交い締めにしていた斧を持った冒険者だった、
斧を持った冒険者はターニャを横へ押しどかした、
「きゃっ!」
ターニャは床に倒れこむ、
シルフィードは心配そうにターニャを見る、
斧を持った冒険者はそんなシルフィードは見て腹を立てて持っていた斧を振り上げる、
「よそ見してんじゃねぇ!」
振り上げられた斧はシルフィードの頭を狙う、
子供相手にここまでするのか?と幽霊さんは思っていたが、
頭に血が上っているためそれくらいはするだろうと自問自答をして終わる、
斧が振り下ろされてシルフィードの頭に向かって来る、
シルフィードは斧が当たる寸前に避ける、
斧はそのまま床にあたり刺さる、
シルフィードは斧の柄の方に左足を乗せて跳び、
右膝で冒険者の顎を打ち上げる、
冒険者の顔は天井の方を向く、
シルフィードは更に右手の手根骨辺りで顔を天井に向けた冒険者の顔面に振り下ろすように掌底を食らわす、
その拍子でシルフィードは更に高い位置に浮かぶ、
鼻血は出ているも気絶はしていない、
しかし、後方へ倒れこむ冒険者、
宙に浮いたままのシルフィードは空中で正座をするかのように足を折り曲げて後方に倒れこむ冒険者めがけて落ちる、
冒険者が床に倒れこんだ、
そして、
「グゲェェェ!?」
初めて斧を持った冒険者が苦しげな声を上げた、
冒険者が床に倒れこんだと同時にシルフィードの両膝落としが冒険者の胸に直撃、
冒険者の胸が一気に沈み込み肺の空気が一気に口から出て行く、
子供の体重でもちょっと高いところから全体重を乗せて落ちれば大の男でも致命傷になる、
冒険者はそのまま気絶する、
シルフィードは安心すると突然幽霊さんがシルフィードの両足に取り付き走り飛ぶ、
そのまま剣を持った冒険者に向かって両膝落としをする、
「グガァァァ!」
剣を持った冒険者は悲鳴を上げた、
実は斧を持った冒険者を倒した後、
剣を持った冒険者は意識を取り戻していた、
そして安心していたシルフィードを襲うつもりだったが幽霊さんはそれに気づいた、
一安心したシルフィードはそれに気づくことはなく警戒を解こうとしていた、
シルフィードは少し驚いたが幽霊さんの行動をすぐに納得して後で反省と心で誓う、
その後、幽霊さんはシルフィードの唇に取り付き言う、
「気づいてないと思った?
意外と浅はかだね、」
「くそっ!化け物が!」
冒険者が言う、
その時、
「これはどういうことだ、」
酒場の入り口から男の声がした幽霊さんはシルフィードから離れてシルフィードとともに声のした方を見る、
そこには大柄の男性と綺麗な女性が立っていた、
「お父さん!お母さん!」
ターニャがその二人にそう言い駆け寄る、
幽霊さんは思わず目を見開いて、
(このクマ人間の娘がこの子!?
遺伝子おかしくね!?)
そう言ってしまった(シルフィードと氷龍、虎炎以外聞こえない)
ターニャから簡単に説明を受けたガルドはゆっくり剣を持った冒険者に近づき、
「二度とこの酒場にくるんじゃねーぞ、」
ドスの低い声で冒険者にそう言う、
冒険者はその恐怖からカクカクと首を上下に振る、
シルフィードは剣を持った冒険者から降りる、
すると剣を持った冒険者は斧を持った冒険者を引きずって酒場から出て行った、
ガルドは二人を見送った後シルフィードを見て近づいた、
シルフィードはガルドの大きい体と怖い顔により無意識のうちに警戒をして拳を構える、
「警戒を解け、
俺は何もしない、
アリサ、
そこの男の治癒をしてくれ、
ついでにこの娘の手もだ、」
ガルドは表情を変えずにシルフィードに言った後、
切られた男とシルフィードの手についていると思われる傷の手当をアリサに依頼する、
シルフィードは自分の手を開いて確認する、
血は付いていたがシルフィードの血ではなく冒険者の鼻血だった、
シルフィードは慌てて、
「だ、大丈夫です!
これはあの人たちの鼻血ですので拭けばすぐに取れます!」
ガルドに言う、
ガルドは無表情のままシルフィードから視線を外して、
「タチアナ、
何か拭く物を持ってこい、」
奥の席に座っているタチアナに言う、
タチアナはビクッと体を震わせたが急いで席から立ち上がり店の奥へと走っていった、
少ししてタチアナは白い布を持って戻ってきてシルフィードの前に立つ、
だがなかなかシルフィードに渡すことができない、
恐怖心があるのだろう、
自分よりも大きい男の人を簡単に倒してしまうシルフィードに、
タチアナの胸の内を知らないシルフィードは首を傾げて布を受け取ろうとてを伸ばした、
タチアナはシルフィードの開かれた手の平を見て思わず後ずさりをした、
真っ赤な血の付いた手が自分に襲いかかってくると勘違いしてしまった、
シルフィードは伸ばした手を止めた、
なんで怖がられたのかわからなかった、
6歳の頭でいっぱい考えた、
しかしわからなかった、
でも本当はわかっていた、
しかし認めたくないの思いが強く頑張って別の答えを考えていた、
自分は他の子供よりもはるかに強い大人を倒してしまった、
そして剣を持った冒険者が最後に言った言葉、
「化け物が!」
その言葉の意味をシルフィードはわからなかった、
しかし、タチアナの反応を見てわかってしまった、
自分は子供だけど剣を持った大人より強く危険な子供だということに、
シルフィードは止めた手の力を一気に抜いてダランとさせる、
そして、
小さな声で言う、
「ごめんなさい」




