入学前、
あれからすぐに寝たシルフィード達、
起きたのはだいたい昼前だった、
アスカレイヤはこの屋敷の購入金額を聞いてきた、
そのお金を父であるスレイプニルに伝えて全額払ってもらうようだ、
そのあと、
アスカレイヤの日用品を買いにシルフィードと2人で出掛ける、
アスカレイヤを見て驚く人もいるがシルフィードを見て人違いとわかる、
買うもの買って屋敷に戻り屋敷に入ると、
「お帰りなさいませ、
お嬢様、
アスカさん、
帰ってきてお疲れなのですがお客様です、」
「ありがとう、
スズリナさん、」
シルフィードとアスカレイヤは中に入る、
客間にはマクスウェルが座っていた、
「待っておったぞシルフィード殿、
アスカレイヤ様、」
「おじいちゃんどうしたの?」
シルフィードがマクスウェルに聞いた、
「うむ、
実はな、
シルフィード殿に大切なことを伝えることを忘れておってな、」
珍しく真剣な顔をするマクスウェルにシルフィードとアスカレイヤが息を飲む、
「実はのう、
明日が魔法学園の入学式じゃ、」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「へっ?」
思わずマヌケな声を出すシルフィード、
「うむ、
明日が魔法学園の入学式じゃ!」
今度は語尾を力強くして言うマクスウェル、
「えっと、
それだけ?」
シルフィードは思わずそう言う、
真剣な顔をしたからには何か重要なことを言うと思っていた、
「なんじゃ、
驚かんのか?」
「えっと、
明日入学式なのは驚いたけどそこまで驚かないかなって、」
「残念じゃのう、」
なぜか拗ねるマクスウェル、
おじさんが拗ねても可愛くない、
「それともうひとつあるのじゃ、
明日はクラスを決める模擬戦もあるのじゃ、
これにはバーボルトもくるのじゃ、」
「バーボルト様、
確かにバークリートのギルドマスターですね、」
「そうじゃ、
あやつもやる気じゃ、
特にシルフィード殿と戦うことにな、」
マクスウェルがなぜかいい笑顔になって言う、
「ついでにわしも一緒にバーボルトと戦うぞい、」
それを聞いたアスカレイヤが渋い顔をする、
「マクスウェル様、
さすがにそれは大人気ないです、
2人してシルフィと戦うなんて、」
「そう思ったのじゃが、
何度バーボルトと作戦を練っても負ける結果しか見えてこないのじゃ、」
(そうだろうな、
シルフィの戦闘能力はマクスウェルとバーボルトが揃ってもかなわないだろう、
バーボルトの成長具合がどこまでのものじゃ知らないがな、)
幽霊さんはマクスウェルに聞こえるように言う、
それを聞いたマクスウェルは愉快そうに笑う、
「そうじゃろう、
わしもバーボルトも特訓をしているがまだ勝てないと思うのじゃ、
しかしのう、
もう一度戦いたいのじゃ、
成長したわしらとシルフィード殿、
どこまで通じるかのう、」
マクスウェルの真剣な顔に再び息を飲むシルフィード、
(嫌いじゃないぞ、
その心意気、
昔の俺と同じだ、
師匠に何度も負けては何度も立ち向かった、
何度も何度も、
負けるとわかっていても挑みたくなるもんだ、
結局一度も勝てなかったけどな、)
幽霊さんは笑う、
「師匠は武神様に何度も負けたんですか?」
(あぁ、
何千何万も負けた、
惜しいところまで行くたびに師匠に驚かれたがすぐに負けた、
すぐに戦い方を直して行く、
その度に先を読んで、
何度も何度も戦い方を変えて戦った、
スピードを上げてフェイントをしたりしなかったり、
攻撃を防御のために使ったり、
時には宙を舞ったり水に潜ったり、
それでも勝てなかった、)
「ほへーーーー、
武神様ってすごいね、」
シルフィードは武神に感心する、
「お話はわかりませんが幽霊様は武神様に何度も負けては挑んだようなお話をされているんですね、
武神様と戦った人は恐らく幽霊様しかいないと思います、
尊敬します、」
アスカレイヤが微笑み言う、
「そうじゃな、
尊敬するのう、
何度も武神様と戦うなんて、
わしは恐らく魔法を放つ前に一撃で終わるじゃろう、」
(結局、
マクスウェルも俺と同じ負けず嫌いなんだ、
シルフィ、
マクスウェルのわがままだ、
それを聞いてもいいんじゃないか?
それに試合で2人相手もいい修行だ、)
「わかりました、
明日、
楽しみにしています、」
「うむ、
ありがとう、」
マクスウェルは強く頷く、
アスカレイヤは少しだけ心配になっていた




