最強(の種族)VS最強(の弟子)1
「シルフィード殿!」
マクスウェルがシルフィードの姿を見て思わず喜ぶ、
シルフィードは謁見の間に入る、
シウルもシルフィードの後についていき入る、
「マクスウェル殿、」
スレイプニルはマクスウェルにそう言う、
「スレイプ、
どうやらシルフィード殿に助けられたようじゃな、」
「はい、
この子がいなければ私も娘もどうなっていたかわかりません、」
スレイプニルはアスカレイヤの頭を撫でながらマクスウェルに向かってそう言った、
「どうやらアスカレイヤ姫も無事のようじゃな、」
「はい、
ご迷惑をおかけしました、」
アスカレイヤはマクスウェルに向かって頭を下げる、
「シウル殿もありがとう、」
「礼には及ばん、」
シウルはふんっと鼻を鳴らす、
会話しているうちに数名の魔族がマクスウェルの方に近寄ってくる、
シルフィードはアイスランスを無数に放つ、
アイスランスは魔族に飛んでいく、
魔族は剣でアイスランスは斬り落とそうとしたが早すぎて斬り落とせずに刺さったり、
剣がアイスランスに当たっても剣では斬れずに弾いて魔族を貫く、
初級魔法のはずなのに次々とアイスランスに貫かれて壁まで飛んでいき絶命する魔族、
生き残っている兵士も唖然としている、
アレクは慣れてしまっているため驚くことはなかった、
シルフィードがホッとしていると足元から不自然な振動が伝わってきたと思いきや突然横から誰かが斬りかかってきた、
シルフィードは難なく避ける、
「ちっ、
まさか反応すると思わなかったぜ、」
シルフィードは斬撃のあった方向を見ると1人の魔族がそこにはいた、
不自然な振動はこの魔族から来ていた、
すり足で来ていたため変な振動であった、
「まさかこんなガキに魔族がやられるなんて前代未聞だな、
しかもなんだ、
マクスウェルと同じく無詠唱を使えてマクスウェルより上手く使えるなんてなんの冗談だ、
お前の名前はなんて言うんだ?」
魔族がシルフィードにそう聞く、
「私はシルフィード、
そういうあなたはなんて名前なの?」
「俺か?
俺の名はカリグラ、
お前を殺す男だ!」
魔族、カリグラがシルフィードに再び斬りかかってきた、
シルフィードは避ける、
しかしカリグラの猛攻は止まらない、
何度も斬りかかってくる、
シルフィードは避けながら鎖を腕に巻く、
カリグラは更に攻めてくるが、
シルフィードは鎖を巻いた腕でそれを弾いた、
(シルフィ!
魔族に拳は通用しにくい!
ここは魔法で戦うんだ!)
幽霊さんはシルフィードに念話で伝えるがシルフィードは微かに首を横に振った、
(師匠、
確かに魔族は魔法が一番いいです、)
シルフィードはカリグラの剣撃を弾きながら幽霊さんと念話する、
(でも!
私は!
この魔族だけは!
自分の拳で戦いたいんです!)
ここまで怒りを表したシルフィードは初めて見た幽霊さん、
(この魔族のせいでアスカちゃんがひどい目に遭いそうになった!)
カリグラの剣撃は止まらない、
避けて、
弾いての繰り返し、
(アスカちゃんのお父さんがひどい目にあった!)
カリグラの力強い攻撃をシルフィードは腕を交差して受け止める、
その際に後方に吹き飛ぶ、
(おじいちゃんもアレクさんもこの魔族にひどい目にあわされた!)
シルフィードは地面に受け身をとって体制を整えてカリグラを睨みつける、
(今度はこの国の人達が危険な目に遭いそうになっている!)
その目は決意と怒りに満ち溢れている、
(だから!
この魔族だけは!
私の拳で倒さないと気が済まないの!
みんなの怒りと傷ついた人の分!
そして!
大切な友達のために!)
拳を握りなおしてシルフィードは構える、
(シルフィがここまで怒りを表すなんてな、
わかった、
行ってこい、
お前の想い、
怒り、
全てあいつにぶつけてこい!
そして思い知らせてやれ、
お前に喧嘩を売ったこと、
そして、
お前の友達に手を出したこと後悔させてやれ!)
「はい!」
シルフィードは返事と共に一気にカリグラとの距離を詰める、
カリグラはシルフィードの素早さに驚いた、
シルフィードはカリグラの腹部に拳を1発、
すぐに背後に周り背中に1発拳を入れる、
しかしカリグラはなんともなかったかのように剣を横に振る、
シルフィードは残像のごとく消えてカリグラの背後上空に現れてカリグラの首筋に向かってエルボーを喰らわす、
カリグラは本当に何事もなかったかのように振り返る、
シルフィードはカリグラが振り返る前に距離を離す、
「驚いた!
お前のようなガキがこんなにも強いなんて!
マクスウェルがゴブリンに見えてきたぞ!」
英雄をゴブリン扱いするカリグラ、
「しかもお前は魔術師ではないのか?
こんな動きをする人族は初めてだ!」
子供のようにはしゃぐカリグラ、
シルフィードはただ黙って拳を構える、
「おいおい、
お前も何かに話せよ、
こんな楽しい戦いなんだ、
黙っていても楽しくないぜ、」
カリグラがケラケラ笑うがシルフィードは何も言わずただ静かに構えている、
マクスウェルとアスカレイヤ、
スレイプニルにアレク、
生き残った兵士が2人の戦いを見守っている、
カリグラの笑い声が謁見の間に広がる、
「師匠が言っていた、」
突然シルフィードがそう言う、
不思議とその声は部屋に響いた、
カリグラが笑うのをやめる、
「戦いの最中におしゃべりをするのは三流のやることだって、」
シルフィードはそう言ってカリグラを小馬鹿にしたように鼻で笑う、
マクスウェルとアレクは驚きの顔をする、
シルフィードがそのように人を小馬鹿にするようなことをするとは思っていなかったからだ、
カリグラは子供に小馬鹿にされたことに腹を立てたのか額に青筋を浮かべた、
シルフィードは内心成功と思った、
初めて対人戦を行った時に幽霊さんが行ったこと、
相手を挑発することで冷静さを失わせる、
力任せの単調な攻撃になる、
「ガキが!
調子に乗ってんじゃねーぞ!」
カリグラが走ってくる、
「よし!
第2ラウンドの開始だよ!」
シルフィードは拳を構えてカリグラを迎え撃つ、




